
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2025年4月30日(令和7年4月30日)
日本政府の統計情報に深刻な瑕疵があるかもしれない
国が推計する空き家の数が過大である可能性があることが分かった。
最新データで所有者や用途が不明な物件は全国におよそ385.6万戸あるとされる。
東京都世田谷区の独自調査では空き家の数は国の推計の4%弱だった。
国の空き家対策は絞り込みが甘く、非効率になっている恐れがある。
政治経済系のブログで空き家を取り扱うなんて、拙ブログぐらいと言えます。
上記引用元記事によると、日本政府が推計する空き家の数が想定よりも多く、実際は空き家はずっと少ないようです。
東京都世田谷区の独自調査では、空き家の数が日本政府の推計値の4%弱だったとのこと。
総務省の『令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果』の結果概要を確認しますと、以下のような現状のようです。
賃貸用の空き家が約443万戸、売却用の空き家が約32万戸、二次的住宅が約38万戸、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家が約385万戸とのこと。
念のため説明させていただきますと、二次的住宅というのは別荘や一時的に寝止まるするための住宅という意味です。
一般的に空き家というのは、統計上の賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家が該当します。
これが約385万戸存在するという話だったのですが、仮に推計値の5%だと仮定すると約19万戸が実態の空き家数ということになります。
ちなみに拙ブログにおいては以前にも同様の問題を取り上げており、懸念を表明しておりました。
参考記事:空き家率の統計情報に疑義あり。日本国内の住宅は供給不足の可能性も
地方自治体の厳密な調査手法を確立するべき
戸別訪問の際はまず調査員が空き家かどうかを目視などで判別する。
これにより、国は広義の空き家900.2万戸やその他の空き家385.6万戸といった数を算出している。
(中略)
市区町村によっては職員が現地調査をより厳密に実施しているところがあり、国の統計との差が明確になっている例がある。
世田谷区では住宅・土地統計調査で23年10月に所有者や用途が不明な空き家が2万3840戸あると推計された。
だが21年度の区の独自調査の結果は883棟だった。
総務省の『令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果』においては、調査員が空き家かどうかを目視確認するのだそうです。
そもそも目視確認で、二次的住宅なのか、空き家なのか判別できるのか疑問ですよね。
地方自治体においては、職員が厳密に実施していることがあり、総務省の統計との差が明確になっています。
地方自治体の厳密な調査手法を確立し、極めて実態に近い数値を得るための全国的な土地・住宅調査をやるべきです。
なぜならば、調査時期、調査内容などが地方自治体によってバラバラであり、統一的な統計情報として政策判断材料としては不十分だからです。
圧倒的な人員が一時的に必要であり、草の根的な活動こそ就業保証プログラム(JGP)に適しています。
地方自治体側の管理体制さえ整えることができれば、割と成果が出やすい分野なのではと考えます。
新築禁止という抜本対策が国益の観点から破壊結果になるかも
このように、社会問題になるほど家が余っているのか、実は逆に家が足りないのか、どちらが正しい現状認識なのかによって、必要な政策は大きく変わる。
上記引用元記事において、宗健氏(以下敬称略)が正しい現状認識を問うておりますが、政策論としてあまりにも正しいと言えます。
住宅が余っているという事実認識と住宅が足りないという事実認識ではそこから生まれる政策は全く正反対と言えますね。
私は住宅が余っていて、質も悪いから、新築を一時的に禁止して、リフォームもしくはリノベーションを促進するべきと主張しておりました。
したがって、私の主張どおりの政策が実行された場合、悪影響が発生するかもしれません。
住宅供給量が少ないため、住宅価格が上昇してしまい、一般の日本国民が住宅を購入できない可能性が高まります。
また、既存住宅への需要が高まり過ぎて、住宅バブルを引き起こすかもしれません。
なお、今回紹介した内容の詳細については、宗健の論文「住宅・土地統計調査空き家率の検証(日本建築学会計画系論文集・2017)」を参考にしてください。
仮に、空き家が推計値の5%だったらどのような住宅政策を立案するべきなのか
私はデフレ脱却のためにも消費税廃止を行うべきと主張しております。
けれども、国民生活のために増税が必要だと言うのであれば、躊躇いなく増税を主張する人間です。
仮に空き家の推計数がずっと少ないならば、住宅政策の優先度合としては、賃貸用の空き家を減少させることが優先となります。
そもそも、賃貸用の空き家は住宅投資の無駄と言えます。
賃貸用の空き家に課税を行い、集合住宅の区分所有を禁止するべきです。
なぜならば、越後湯沢の倒壊寸前のマンションのような悲劇を繰り返さないようにしなければならないからです。
参考記事:越後湯沢のリゾートマンションが負の不動産と化した。新築を禁止せよ
詳細は上記の参考記事を見ていただきたいのですが、簡単に説明しますと以下のようになります。
老朽化したマンションを建て替えもしくは解体するとなると、マンション住民の合意が必要となります。
政府はマンションの改修や取り壊しなどに必要となる住民の同意のハードルを下げる。
現在は区分所有者全員の賛成が求められる1棟丸ごとのリノベーションや解体を、5分の4以上の賛同で可能にする。
老朽物件は年々増加しており、要件緩和で再生を後押しする。
上記のように合意要件が緩和されたとは言え、賛成が5分の4以上は必要になります。
様々な属性、様々な人種の入居が想定されるマンションで、合意形成をするというのはどう考えても途方もない時間が必要です。
それがマンションの老朽化や倒壊につながってしまったら、人命が失われてしまいます。
マンションの区分所有を禁止し、一棟すべてを個人もしくは法人で所有することになれば、意思決定は早まります。
また、マンションに何か問題があった場合の責任の所在も明確になります。
以前は空き家への課税を主張してきましたが、住宅政策の重点は区分所有禁止・賃貸用空き家対策に移ると思われます。
以上です。