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日本経済

空き家率の統計情報に疑義あり。日本国内の住宅は供給不足の可能性も

投稿日:

空き家

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年2月20日(令和3年2月20日)

空き家が氾濫しているという事実認識が揺らぐ

日本には空き家があふれていて大変だ……。
そういった報道を目にすることが増えている。
その際によく使われるのは、総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査(以下、住調)」の数値だ。
この調査は5年ごとに行われており、最新の2018年の調査では、全国の総住宅数約6240万戸のうち約849万戸、実に13.6%が空き家とされている。

引用元:「都内の空き家率10%」は本当か 調査の実態とは

空き家の中ではどのような分類があるのでしょうか。
総務省の平成30年住宅・土地統計調査の用語の解説より、空き家の分類を確認しましょう。

なお、特別に断りがない場合、本書にて使用される用語は総務省の平成30年住宅・土地統計調査の用語の解説に準拠します。

参考URL:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_yougo.pdf

二次的住宅 

別 荘・・・・・週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で,ふだんは人が住んでいない住宅

その他・・・・・ふだん住んでいる住宅とは別に,残業で遅くなったときに寝泊まりするなど,たまに寝泊まりしている人がいる住宅

賃貸用の住宅

新築・中古を問わず,賃貸のために空き家になっている住宅

売却用の住宅

新築・中古を問わず,売却のために空き家になっている住宅

その他の住宅

上記以外の人が住んでいない住宅で,例えば,転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

※空き家の区分の判断が困難な住宅を含む。

平成30年(2018年)の調査では空き家総数(約846万戸)であり、分類別で見ると、以下のようになります。

賃貸用の住宅(約431万戸)、売却用の住宅(約29万戸)、二次的住宅(約38万戸)、その他の住宅(約347万戸)

以下、わかりやすく図表でまとめてみました。

普通の日本国民としては「その他の住宅」が空き家と言われて一番ご納得できるものだと思います。

私は上記の事実認識に基づき、空き家を撲滅すべきと主張している稀有な存在でございますが、どうやらその事実認識が誤っている可能性がございます。

※実はこの問題には気づいておりましたが、確信が持てなかったので、記事にはしておりませんでした。

地方自治体の空き家調査との乖離

空き家率について、実は住調とは全く異なる調査結果も存在している。
全国数百の自治体が独自に調査して公表している空き家実態調査報告書だ。

(中略)
いずれも同時期の住調と比べると、かなり低い値にとどまっている。
これらの空き家実態調査は11~13年と調査時期が少し古いが、最近の調査でも傾向は変わらない。

引用元:「都内の空き家率10%」は本当か 調査の実態とは

簡単に言えば、総務省統計局のような中央政府の全国調査と、地方自治体の空き家調査の乖離があるとのこと。

全国調査よりも地方自治体の空き家調査の方が空き家率が低く算出されているようなのです。
※詳細は上記引用元を参照のこと

麗澤大学客員准教授の宗健氏(以下敬称略)は国土交通省が5年ごとに行う「空家実態調査(19年からは『空き家所有者実態調査』)」のデータを比較検討し、全国に800万戸もの空き家が存在する可能性はほぼないと主張してます。

なぜ総務省のような全国調査と地方自治体の空き家調査の空き家率において乖離が発生してしまうのでしょうか。

空き家を目視確認するのはサボタージュではないか

住調の数値が過大だと考えられるのは、その調査方法にある。
「空き家などの居住世帯のない住宅については、調査員が外観等から判断することにより、調査項目の一部について調査した」とされており、曖昧な判断基準によって空き家がカウントされている可能性が高いのだ。

引用元:「都内の空き家率10%」は本当か 調査の実態とは

総務省統計局の住宅・土地統計調査では、空き家などの居住世帯の無い住宅を外見で判断しているとのことから、曖昧な判断で空き家が過大にカウントされている可能性が高いとのこと。

確かに、私もこの点は認識していたのですが、他の調査報告との比較検討を怠ってしまったのでスルーしてしまったところです。

常識的に考えて、空き家を外見で判断するというのはサボタージュです。

最近のマンションや賃貸アパートでオートロック機能があった場合、建物の中に入ることができず、外観から空き家かどうかを判断できるわけがありません。

宗健は昨今は様々な調査で調査票の未回収率の高さが問題となっており、住調でも未回収の場合が空き家として判断されている可能性があると主張しています。

本当の空き家率に気づけない構造問題

住調はそもそも空き家の把握を主目的としたものではないし、調査の継続性を重視しているため、時代に合わせて調査方法を変更することが難しい。
そのことを理解したうえでデータを取り扱うべきだが、メディアなどでは空き家の数値だけが一人歩きしているのが現状だ。
そして残念なことに、多くの自治体の空き家実態調査報告書では住調のような空き家率を明示しておらず、住調との差異についての言及もほとんどない。
そのため、空き家問題が実はそれほど深刻ではないかもしれないということに気づきにくくなっている。

引用元:「都内の空き家率10%」は本当か 調査の実態とは

多くの自治体の空き家実態調査報告書では空き家率を明示しておらず、総務省統計局の土地・住宅統計調査との差異についての言及がほとんどないということになれば、私のような個人で空き家を研究している人間は気づけませんよ。

空き家問題は実はそれほど深刻ではないかもしれないということになれば、私が主張していることの根底が崩壊してしまいます。

究極の空き家対策という電子書籍を販売している人間としては由々しき問題であると言わざるを得ないです。

新築禁止という抜本対策が国益の観点から破壊結果になるかも

このように、社会問題になるほど家が余っているのか、実は逆に家が足りないのか、どちらが正しい現状認識なのかによって、必要な政策は大きく変わる。

引用元:「都内の空き家率10%」は本当か 調査の実態とは

宗健は上記のように主張しており、政策論としてあまりにも正しいと言えます。

住宅が余っているという事実認識と住宅が足りないという事実認識ではそこから生まれる政策は全く正反対と言えますね。

私は住宅が余っていて、質も悪いから、新築を一時的に禁止して、リフォームもしくはリノベーションを促進するべきと主張しておりましたので、私の主張どおりの政策が実行された場合、破壊的結果を招く可能性が高いです。

住宅供給量が少ないため、住宅価格が上昇してしまい、一般の日本国民が住宅を購入できないばかりか、既存住宅への需要が高まり過ぎて、住宅バブルを引き起こす可能性が高くなります。

なお、今回紹介した内容の詳細については、宗健の論文「住宅・土地統計調査空き家率の検証(日本建築学会計画系論文集・2017)」を参考にしてください。

以上です。

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