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ウクライナは東西分裂するか。シーパワーとランドパワーの鍔迫り合い

投稿日:

ウクライナ

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年1月22日(令和4年1月22日)

バイデン大統領は対露経済制裁に踏み切るのか

バイデン米大統領は19日、ホワイトハウスで記者会見し、ロシアのプーチン大統領が2014年に続きウクライナへの軍事侵攻に踏み切るとの見方を示した。
「私の推測では彼は侵攻するだろう」と述べた。
侵攻した場合はロシアの銀行によるドル取引を停止する措置を検討していると明かした。

引用元:米大統領「ロシアのウクライナ侵攻想定」 金融制裁検討

支持率低迷に喘いでいるバイデン大統領として、ロシアに対して強硬姿勢を堅持して、支持率の上昇を狙いたいところです。

おそらくバイデン大統領はウクライナ侵攻と同時に金融制裁に踏み切るでしょう。

上記引用元記事によると、バイデン大統領はロシアの銀行によるドル取引を停止する措置を検討しているということでございますが、ロシアのプーチン大統領に対する脅迫としては弱いと言わざるを得ません。

仮にドル取引を停止するとなっても通貨決済を一旦ルーブル、人民元、スイスフラン、日本円などで行ってからアメリカドルへ両替すればいいですから、手数料が発生するという打撃にはなりますけども決済ができないということは考えにくいです。

また、2014年にもロシアはウクライナへ侵攻しましたが、その際に課せられた経済制裁にも怯むことなくプーチン大統領はウクライナ侵攻の準備を着々と進めてきました。

ドル取引を停止するという金融制裁だけではロシアのウクライナ侵攻を止めることはできません。
武力行使でロシアに対抗するか、武力を背景とした外交を展開するかの2択だと思います。

シーパワー国家としての矜持がアメリカにあるのであれば、逃げるべきではありません。
戦争を辞さない覚悟こそが平和の礎です。

まるで日露戦争前夜のようなイギリスの振る舞い

トラス英外相は21日、緊張が続くウクライナ情勢をめぐり、「ひどい戦略的ミスを犯す前にウクライナから手を引くよう強く要求する」と述べ、ロシアを強くけん制した。

引用元:英外相、ロシアをけん制 ウクライナ侵略は「泥沼招く」

ロシアの勢力拡大を望まないイギリスというシーパワーがロシアを牽制するような発言をしているようです。
まるで日露戦争前夜のようなイギリスの振る舞いに、歴史的な重みを感じますね。

シーパワーであるイギリスとしてはランドパワーの台頭は許容できませんし、ウクライナ侵攻によって黒海からロシア艦隊が出撃してくるリスクを勘案すると当然の対応と言えます。

ウクライナを東西で分割するロシア

ロシアのボロジン下院議長は21日、ウクライナ東部の親ロシア派が支配する2地域を独立国家として承認するようプーチン大統領に要請するかどうか、来週協議すると明らかにした。

引用元:ウクライナ東部親ロ地域の独立承認、ロシア議会が検討へ=議長

ロシアの下院議長はウクライナ東部の親ロシア派が実効支配している「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認するかどうかという点を協議するとのこと。

協議するのではなくほぼ確実に独立主権国家として承認するつもりでしょう。
「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」はウクライナからの独立を宣言しており、ロシアとしては傀儡国家として利用したいからです。

仮に、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加入したとしても、上記2か国を緩衝地帯(バッファーゾーン)として利用して、自国の安全を確保したいとプーチン大統領は考えたのではないでしょうか。

今後の展開としては西ウクライナと東ウクライナという東西分裂国家になることも十分あり得ます。
私のブログを2014年から見てくださっている方ならご理解いただけると思いますが、私は2014年の段階からウクライナの東西分裂を予期しておりました。

悪い意味で私の予測が当たりましたね。

ロシアは軍事的脅威に怯える手負いの白熊である

欧米諸国はロシアがウクライナに侵攻する可能性があると警戒を強める。
プーチン氏はウクライナへの侵攻を否定するとともに、NATOこそが緊張を高めている原因だとして「NATOの東方拡大を排除する信頼ある法的に定められた保証」を要請。

引用元:ロシア、米国に安全保障案を提示 ウクライナ情勢巡り

ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻を否定しつつ、NATO(北大西洋条約機構)が軍事的緊張を高めている原因であるとしてNATOの東方拡大を止めるよう要請しました。

実は、これは荒唐無稽な主張というわけではなく、一理ございます。
NATO(北大西洋条約機構)はどう考えてもアメリカを盟主とするシーパワー軍事同盟でございまして、ロシアを包囲するように着々と同盟を増やしてきました。

ロシアとしては、軍事的に対立しなければならない国家が欧州地域において増えてしまっており、軍事的脅威を感じるのは当然です。

ただ、NATO側としては独立主権国家がNATOに加盟したいと言っているのに、仮想敵国の要請で加盟を拒否することはできませんので、ロシアの要求を飲み込むことは土台無理なのです。

完全なる泥沼の外交戦が展開され、軍事的な侵攻にはならないと思いますが、油断はできませんね。

中国とロシアの共闘が深化していないのが唯一の救い

ロシアのウクライナ侵攻の可能性が指摘され情勢が緊迫する中、中国はロシアへの肩入れを避けている。
軍事技術の入手先としてウクライナとの関係を重視しているためだ。
ロシア系住民の「自決」を口実にウクライナに介入する手法も、台湾や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などで問題を抱える中国としては支持できない。

引用元:中露共闘、ウクライナ情勢では溝生む事情

ロシアのウクライナ侵攻という危機的状況下において、唯一の救いなのが、ランドパワーの結束が強まっていないということです。

より具体的に申し上げるならば中露同盟が深化してしまうのはなんとしても妨害するべきです。
現状では中国がロシアに味方することにはなっていないようです。

中国はウクライナから空母(スキージャンプ式なのでかなりの旧型)を購入したという経緯もあり、ロシアの軍事技術を間接的に入手するためにウクライナを利用したいのです。

しかし、ロシアが独立を承認したい東ウクライナはウクライナの工業地帯でございまして、軍事的な価値も大きく、このままではウクライナから間接的に軍事的技術を入手しにくくなります。

さらに言えば、ロシアがウクライナを間接侵略する方法も中国側からしたら都合が悪いと言えます。
ロシアは親ロシア派が多い地域の民族自決を口実に一旦は独立させ、場合によっては自国領土に編入するという手法を採用しています。

中国としては、チベット、ウイグル、内モンゴルなどの地域が民族自決を掲げて独立してもらっては困るので、ロシアのやり方に賛同することができません。

ウクライナという地域を巡って、ロシアと中国は共同歩調を採用することができないのは幸運ですね。

以上です。

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