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【解釈版】雇用、利子、お金の一般理論。ケインズ経済学速習【前篇】

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大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年1月1日(令和3年1月1日)

今年は読書を強化します。
読みたくても時間が無くて読めない本が積み上がっているので、何とか消化したいと思います。

ケインズ経済学の聖典である『雇用、利子、お金の一般理論』を読んで、勉強になったことを備忘録的に残したいと思います。
※私なりの解釈なので、間違っている可能性ありありです。

以前にも読んでいたのですが、現代貨幣理論やバランスシート不況の書籍を読んだ上ですと、別の見方ができます。
とても面白く感じることが多々ありました。

J・M・ケインズ著『雇用、利子、お金の一般理論』とは

物が売れない、職がない―なぜ市場は自由放任では機能しなくなることがあるのか。
世界的不況のなか、ケインズは自らも通暁する古典派経済学の誤謬と限界を徹底的に見据え、ついに現代経済学の基礎となる本書に至った。
現実世界と向き合い理論をラディカルに更新する、社会科学という営みの理想形。
本書の概略を定式化したヒックスの重要論文も採録。

ジョン.メイナード・ケインズ
1883~1946年。イギリス大蔵省など公職を務めた後、ケンブリッジ大で経済学者として活動。「マクロ経済学」の基礎を本書により確立した。著書に『確率論』『貨幣論』など。

引用元:雇用、利子、お金の一般理論

ケインズの『雇用、利子、お金の一般理論』とは、経済学における革命と言えるような書籍でございました。

古典派経済学の理論を根底から覆し、財政拡大の理論的支柱となりました。

摩擦的失業と自発的失業を再度学ぶ

雇用の一般理論の中で、失業に言及するところがございまして、摩擦的失業と自発的失業を再度学びました。

摩擦的失業とは、専門技能職において労働需給の一時的な不一致が生じるための失業であり、予想外の変化の結果として生じる時間的な遅れによる失業、あるいは、ある仕事から別の仕事への転職の間の一時的な失業と言えます。

自発的失業とは、現在の賃金水準では働くことを拒否している場合の失業であり、法制度や社会慣習や団体交渉のための団結の結果生じる失業であり、または働くことへの恐怖や引っ込み思案を起因とした失業と言えます。

ケインズ経済学では非自発的失業に対してフォーカスが当たるので、こういった基本的なところを再確認しました。

私の失業に対する考えは一部間違っていたようですね。
真摯に反省して、改善したいと思いました。

ちなみに、非自発的失業とは、現在の賃金水準で働く意思があるのに労働需要よりも労働供給が大きいために生じる失業です。

有効需要とは

有効需要とは、事業者たちが、現在提供しようと決めた雇用量に基づいて受け取ると期待している総所得(または売り上げ)のことであるとケインズは定義しています。

いわゆる有効需要の原理に言及しているわけですよ。

総需要と総供給が一致している場合の所得水準と雇用量が一国の経済規模であり、現在のように非自発的失業が生じており、言い換えるならば完全雇用ではない場合は有効需要が足りないので、需要を喚起する必要があります。

数式で表すならば、Y(総所得)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+EX(輸出)-IM(輸入)なのです。

Yを増やすには、Yを構成する項目を増やす必要があるということになります。
※もちろんIM(輸入)は控除項目なので、増やしたら駄目です。

自国政府が主体的かつ間接的に増やせる項目とは、国内項目であり、消費、投資、政府支出なので、減税や政府支出増で国内項目を刺激して、有効需要を喚起するべきなのです。

バブル崩壊後の大不況において、何もしないくらいならば、穴を掘って埋める方が良いと言えます。

不況になったら穴を掘って埋めろとケインズは主張していません。
何もしないよりかは良いということであり、住宅や公共事業などの有用な分野への投資を推奨しています。

消費性向を決定する客観的要因とは

消費性向とは、所得の内で消費に回す割合のことです。
例えば、年間300万円の所得を得ているビジネスマンがいて、そのうち270万円を消費していたら、消費性向は9割ということになります。

ケインズはどのような要因によって消費性向は変化するのかという点についても言及しています。

1、時給(労働によって支払われる賃金単位)が変化する場合
2、資産価格が予想外に変化した場合
3、一般物価や為替レートが将来時点で変化すると予想される場合

4、税率や政府支出額が変化した場合
5、期待される将来時点の所得水準が変化した場合

時給が増えたら、消費性向が上昇するでしょうし、資産がバブル崩壊によって暴落してしまったら、消費性向が低下してしまうでしょう。

一般物価が将来において高くなるとなれば、現時点において消費性向が低下するでしょうし、為替レートが上昇(自国通貨高)するならば、消費性向が低下するでしょう。

消費税が増税されたら、消費性向が低下しますし、政府支出が減少したら所得が減ってしまうので消費性向が低下します。

民間企業の従業員に対し、定期昇給が今後は行われないとなれば、消費性向が低下します。

公共投資と民間投資の認識されない共通点

公共投資を増やすことによって、国内経済の総所得を増やすという政策に対して、将来に禍根を残すという考えが提示され、批判的な論調になる方がいらっしゃいます。

この人口減少時代において、住宅、道路、電力網、橋、水道などの公共財をたくさん供給したら、今後どうするのかという批判です。

作り過ぎて有効活用されない場合はどうするのか、修繕や保守はどうするのかという批判と解釈できます。

ただ、この批判は民間投資にも当てはまりますよね?
工場や何らかの生産設備、または住宅が大量供給された場合も修繕や保守の問題が発生しますし、作りすぎて有効活用されない場合はどうするのでしょうか。

我が国日本においては、空き家問題として顕在化しております。
公共投資だけことさらに批判されて、民間投資は批判されないというのはおかしくないか?と思います。

支出を抑制する動機とは

個人が所得の支出を控える主要な動機や目的は八つございます。

1、予想外の出来事に備えて貯金したいから
2、将来時点において予想される支出増への対処
3、金利収入や財産価値上昇を享受するため

4、支出を徐々に増やしたいとき
5、独立したいから
6、事業を継続するか、新たな事業を起こす場合

7、子孫のために財産を遺したいから
8、節約することがその人の喜びである場合

1とは用心動機、2とは予見動機、3とは計算動機、4とは改善動機、5とは独立動機、6とは事業動機、7とは自尊心動機、8とは守銭奴動機と呼べるとのこと。

将来時点で子どもの養育費が増えると予見できる場合は、予見動機による支出抑制であり、投資したいため支出を減らすということであれば計算動機(私は投資動機と呼びたい)であり、改善動機に関しては理解できません。

個人以外(主に民間企業など)が所得の支出を控える動機や目的は四つです。

1、事業動機(事業継続のために必要なお金を確保するため)
2、流動性動機(緊急事態や不景気に対処するため流動性のあるお金を確保するため)

3、改善動機(所得が確実に増加するようにすること)
4、財務健全性と「黒字側」動機(債務を返済して、財務が健全であり企業の存続を確実なものにしたいから)

正直に申し上げて、3に関しては理解できません。
所得を確実に増加するための設備投資などを自己資本で可能にするためなのか?と解釈できかもしれませんが、確信できず。

4に関してバランスシート修復動機という方が分かりやすいのではないかと思います。
もっと言えば、債務返済動機でしょうか。

公共投資増のデメリット

中央政府が公共投資をすることで、乗数効果が発生し、雪だるま式に所得が増えていくというのは、基本中の基本ですが、公共投資を増やすことによって生じるデメリットもあるかもしれないとのこと。

1、金利上昇で民間投資が抑制される可能性
2、世の中が混乱した場合は不安に駆られ、民間企業が設備投資に前向きになれず、家計は貯蓄に励むことで乗数効果が減殺される可能性

3、外国との貿易を基本的には自由に行っている開放経済(現在の日本)においては公共投資を増やすことによって所得が増え、それに伴い輸入も増える可能性

金利上昇に関しては日銀が量的緩和とゼロ金利政策を実施することで対処可能ですし、設備投資減税と設備投資補助金で設備投資をさらに後押しすることで対処可能です。

公共投資を増やすことによって輸入も増えるのはある程度やむを得ないので、経常収支赤字が莫大にならないよう留意する程度でよろしいでしょう。

アニマル・スピリット

設備投資がどのような要因によって決定されるのかということを明らかにすることができれば、設備投資を増減させる方法が明確になります。

かの有名なジョン・メイナード・ケインズの著作において有名な概念である「アニマル・スピリット」をご紹介します。

投機による不安定性以外に、人間の天性が持つ特徴からくる不安定性もあります。
人々の積極的な活動の相当部分は、道徳的だろうと快楽的だろうと経済的だろうと、数学的な期待よりは、自然に湧いてくる楽観論によるものなのです。
たぶん、かなりたってからでないと結果の全貌がわからないようなことを積極的にやろうという人々の決断は、ほとんどがアニマル・スピリットの結果でしかないのでしょう-これは手をこまねくより何かをしようという、自然に湧いてくる衝動です。

引用元:ジョン・メイナード・ケインズ/山形浩生訳『雇用、利子、お金の一般理論』講談社学術文庫、2012年-p232

アニマル・スピリットとは「手をこまねくより何かしようという、自然に湧いてくる衝動」とケインズは定義しました。

投資とは、結局のところ、やってみなければ成功するか失敗するかわからないという不確実性が伴います。

当然のことながら、企業経営者は不確実性を可能な限り少なくするために努力します。

投資案件に対する情報を収集し、外部の意見を参考にして、将来時点の経営環境を念頭に置きつつ、投資を決断することになります。

前篇は以上です。

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