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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年12月27日(令和2年12月27日)
消極財政の終焉は来るのか
今日では政策当局が経済の安定化を金融政策だけに頼らず、むしろ財政政策を主軸に据えるようになっている。
引用元:雇用創出・教育へ投資果敢に コロナ危機と財政膨張
国際通貨基金(IMF)でさえ、中央銀行が政府債務積み増しの大部分を手当てすることで財政拡大が容易になったと認め、それが歴史的な低金利の維持に寄与したとしている。
この政策転換は、主流派マクロ経済学者の長年の主張と真っ向から対立する。
彼らは財政赤字および政府債務の拡大と中銀による大規模な国債購入は災厄を招くと警告してきたが、この予想は全く当たらなかった。
本日は現代貨幣理論の提唱者であるミッチェル教授の記事をご紹介できればと思います。
まず、上記の通り、緊縮派と目されていたIMF(国際通貨基金)が財政拡大を容認するような姿勢に変化することによって、マクロ経済学という領域に変化が出るかもしれません。
消極財政ではなく、積極財政に舵を切っていただきたいですね。
ミッチェル教授は国債金利の推移と、政策金利の推移などのグラフを提示しながら、財政拡大しても問題は生じていないことを説明しています。
現実を見て欲しいですよ。
主流派経済学者の皆様には。
金本位制の時代は終焉した
米国がドルの金兌換(だかん)を打ち切った71年に不換通貨時代が始まったことで、通貨発行権を持つ政府の財政余地は拡大した。
引用元:雇用創出・教育へ投資果敢に コロナ危機と財政膨張
ドル基軸の固定相場制を定めたブレトンウッズ体制下では政府支出は税収か借り入れで埋め合わせねばならないが、変動相場制となればその縛りはない。
つまり政府支出には財政制約がなくなったわけだ。
政府発行通貨で手に入る財やサービスであれば、未活用労働力も含め、何でも調達できる。
ミッチェル教授はアメリカが金本位制を放棄したことにより、通貨発行権を保有する連邦政府の財政余地は拡大したと評価しております。
簡単に言えば、財政拡大を行うと金(Gold)とアメリカドルとの交換比率が変化してしまいます。
民間経済にアメリカドルが供給され、需要と供給のバランスが崩れるからです。
アメリカドルと金(Gold)の兌換比率を保つために、増税などで、民間経済に存在するアメリカドルを調節する必要がありましたが、金(Gold)との兌換を停止することでそういった制約は無くなりました。
いわゆる変動相場制への移行により、財政赤字を拡大することで、民間黒字を増やし続けてもデメリットが少なくなったのです。
キーボードタッチ・マネーで政府支出
第1に中銀が政府の中銀当座預金勘定に数字を打ち込むだけで政府支出は可能になる。
引用元:雇用創出・教育へ投資果敢に コロナ危機と財政膨張
税収を使ったり、国債を売り出したり、紙幣を印刷したりする必要はない。
数字を打ち込む操作を税収や国債収入の支出のように見せかける会計手法と制度的手続きは、政府に政治的規律を課すための任意の取り決めにすぎない。
自国通貨を保有している中央政府は、中銀当座預金をキーボードタッチ・マネーで増やせば、政府支出が可能であり、税収は不要ですし、国債も紙幣を印刷する必要はないのです。
投資家としては、国債へ投資できないので、国債を無くすのだけはポートフォリオ上、めちゃくちゃ困りますし、リスクの高い金融派生商品(デリバティブ)に対する抑止になるので、無くては困りますね。
それはさておき。
我が国日本の場合は日銀は政府の日銀当座預金をキーボードタッチ・マネーで増やせば、政府支出は可能ということなのです。
キーボードタッチ・マネーでお金を増やすために、対価は本来必要ありません。
政府支出が投資効率を上げる
第2に支出というものは何であれインフレリスクを伴う。
引用元:雇用創出・教育へ投資果敢に コロナ危機と財政膨張
名目支出の増加が生産能力を上回ったら、インフレ圧力が生じる。
とはいえ政府支出は遊休資源を活用できるから、インフレを誘発することはない。
デフレ経済下において、中央政府や地方自治体が政府支出を増やすということは、何らかの物やサービスが追加的に生産されるということですから、民間企業の生産効率は上昇しますし、設備投資も無駄にはならないでしょう。
したがって、デフレ経済下においては使用されない設備投資が稼働するので、投資効率が上昇するのですよ。
インフレ認識とインフレ対処も独特
仮にインフレが誘発されても、多くの場合、需要抑制策をとる必要はない。
引用元:雇用創出・教育へ投資果敢に コロナ危機と財政膨張
市場競争がゆがめられている場合には規制を変更すればよい。
政府は各産業の労働需給をはじめボトルネックを常に見越して、労働者が必要条件を満たせるようスキル開発を支援すべきだ。
有用なインフラを建設する大規模な公共事業も、経済状況に応じて調節すべきだ。
いずれにせよ、今後しばらくデマンドプル(需要主導)型のインフレが起きる可能性はほとんどない。
ミッチェル教授は政府支出を増やした結果、インフレになったとしても、多くの場合は需要抑制策を採用する必要は無いと明言されてます。
政府は各産業の労働需給や各種問題を見越して、職業訓練などによって労働者のスキル開発を支援すべきということのようです。
これは私なりの解釈なのですが、ミッチェル教授は需要抑制策ではなく、供給拡大策でインフレに対処するべきとのお考えなのではないかと思いました。
また、インフラを建設する大規模公共事業なども経済状況に応じて調節するべきとのこと。
ミッチェル教授は裁量的財政政策に否定的ではないということのようです。
ちょっと驚いたのは、デマンドプル・インフレ、拙ブログでご紹介したところの需要増大型物価上昇が今後しばらく起きる可能性はほとんどないと主張していることです。
政府支出増加によるインフレに対しては強気の姿勢らしいですね。
ミッチェル教授はユニバーサル・ベーシックインカムに否定的なことから、あまり良い印象を持っていなかったのですが、少なくとも政府支出及びそれに伴うインフレに対しては強気という点は合意できそうです。
以上です。