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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年4月21日(令和2年4月21日)
原油価格がマイナスへ急降下
20日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近5月物の清算値は1バレルマイナス37.63ドルで、前日から55.9ドル下落した。
引用元:NY原油先物、初の価格「マイナス」 5月物投げ売り殺到
朝から売りが先行したが、拍車がかかったのは午後に入ってからだ。
正午すぎに10ドルを割ると、10分おきに1ドル下がるような展開になった。
午後2時すぎに節目の0ドルを割ると午後2時30分には一気にマイナス40ドル強まで崩れた。
WTI原油先物において、原油価格が急降下して、一時マイナス40ドルという前代未聞の価格まで下がってしまいました。
原油などのコモディティがマイナス価格というのは本当に驚きました。
本日は基本的なところから、原油先物がマイナス価格というトンデモ事象について解説していきたいと思います。
まずは、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)とは何かというところから解説します。
WTIはウエスト・テキサス・インターミディエートの略で、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指します。
引用元:https://chartpark.com/wti.html
(中略)
原油価格の代表的な指標には、WTI原油先物のほか、欧州産の北海ブレント原油先物、中東産のドバイ原油スポット価格があり、これらが世界の3大原油指標と言われています。
そのなかでも、WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっています。
WTIとは原油価格の代表的な指標のことであり、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、流動性や透明性が高く、経済指標の1つにもなっています。
日本の投資家の中でも、WTIの原油先物を購入している人も多くいます。
最近は新型コロナウイルスの影響とOPECプラスの減産合意決裂ということが重なり、原油価格が暴落していました。
いわゆる底値買いということをしていた投資家が一定数以上いたようでございます。
確かに、チャート的には1バレル=20USドル近辺が底と勘違いしそうな相場でございました。
原油のマイナス価格とは
例えば、20日の価格(マイナス37.63ドル)で新たに1000バレル買い、そのまま取引終了を迎えると、同量の原油とともに3万7千ドル(約400万円)の現金を受け取る。
引用元:NY原油先物、初の価格「マイナス」 5月物投げ売り殺到
売り手なら、逆に400万円を支払って原油を引き取ってもらう。通常では考えられない事態だ。
原油価格がプラスだと、原油を引き取る代わりにお金を支払いますが、原油価格がマイナスだと、原油を引き取りつつお金が貰えます。
原油の備蓄コストのために、お金を渡してでも引き取ってもらいたいという原油関連企業が存在するということのようです。
空き家や老朽化マンションのようにマイナス価格の不動産と同じようなものであるとご想像いただければより身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
なぜ原油価格は暴落したのか
背景には需要激減と原油保管スペースの枯渇がある。
引用元:NY原油先物、初の価格「マイナス」 5月物投げ売り殺到
米国では外出規制でガソリンの使用が激減しているほか、企業のエネルギー需要も急減している。
米エネルギー情報局(EIA)によると、4月2週の米原油在庫(戦略備蓄除く)は5億バレル強と3週間で5千万バレル以上増えた。
全米の貯蔵能力は約6億5千万バレルとされ、余地はなくなりつつある。
新型コロナウイルスによる需要が激減し、原油の保管スペースが枯渇したことが原因のようです。
そこまで厳しい状況なのであれば、原油の生産を止めればいいのではないかというご意見もあるかと存じます。
実は原油は温泉と同じで、掘ったらその分噴き出してしまうらしく、そのまま噴き出すので、少なくとも急には生産量をゼロにするのが難しいらしいのです。
したがって、ある程度の量は原油を生産し続けることになり、一方では需要が激減し、さらに原油保管スペースが枯渇しつつあるとのこと。
そのタイムリミットが5月に迫っているということのようで、原油の投げ売りが発生してしまったという事情のようです。
いわゆる需給関係の急激な悪化を背景とした暴落であり、それがあまりにも急スピードだったため、マイナス価格という前代未聞の領域まで到達してしまったということのようです。
産油国の財政悪化は不可避
生産コストが高く、経済が原油頼みとなっている国は特に打撃が大きい。イラクは歳入の9割を原油の販売に依存する。
引用元:産油国に信用リスク、格下げ相次ぐ 米銀は債権売却も
現在の原油価格では公務員給与の半分も支払うことができない。
石油輸出国機構(OPEC)盟主のサウジアラビアやロシアは格下げを免れているが、両国とも財政の悪化は確実。
今後の資金調達は条件が悪化する可能性がある。
国際通貨基金(IMF)によると、中東アフリカ産油国の外貨準備は2019年で14カ月分の輸入をまかなえる水準だったが、21年には9カ月分に減る。
原油価格の大暴落によって一番利益を得るのは、世界でも我が国日本と一部の先進国ぐらいであり、日本以外の国家で産油国は財政悪化は不可避となります。
例えば、イラク、ロシア、サウジアラビアは原油価格が下落すると、財政悪化により公務員にお給料を支払うのが難しくなります。
こうなると政情不安が勃発する可能性が飛躍的に高まるでしょう。
テロと暴力の連鎖が始まります。
とても悲しい時代に突入したことになります。
以上です。