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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年11月10日(令和元年11月10日)
MDとは天空のマジノ線である
MDとは、海上自衛隊のイージス艦に搭載するSM3(海上配備型スタンダードミサイル3、大気圏外での核弾頭迎撃)と、地上に配備されるPAC3(地上配備型パトリオット、地上付近での核弾頭迎撃)によって構成されています。。
しかしながら、迎撃率が低いと言われています。
一説には20%と言われていますし、「ピストルで発射された弾をピストルで撃ち落とすようなものだ」とも言われていて、万全でないと考えるべきです。
MD(ミサイル防衛)はいまだ実験段階であり、実戦段階ではない。
マサチューセッツ工科大学のセオドア・ポストル教授は「SAPIO」に寄稿した論文をまとめると、
PAC3では技術的課題(PAC3のスピードがノドンより遅い、実験結果が不明)からノドンの一発も撃ち落とせない。
「SAPIO」2005年7月27日号
SM3では、囮の風船であっても形が同じなら見分けがつかない。
(筆者注:つまり敵国がダミー・ミサイル・ストラテジー「偽ミサイル戦術」を採用したら対応できない。)
だから希望を持ってはいけない。迎撃ミサイルで戦闘機を撃ち落とすことはできるが、弾道ミサイルを迎撃するシステムは機能しない。
アメリカ政府は多額の予算をさいて国家防衛を果たしているように思えるがMDは大々的な政治的トリックに過ぎないのだ
マサチューセッツ工科大学教授セオドア・ポストル の論文より
また、MDにとって重要な視覚と聴覚である軍事衛星が破壊されてしまったら機能不全に陥ります。
実際、中国軍は2007年1月に衛星破壊実験に成功しています。
中国軍や北朝鮮軍は、米軍と自衛隊の使用するレーダー施設、イージス艦、PAC3の上空で核ミサイルを故意に空中爆発させることにより、電磁波を激しく攪乱して、MDのレーダー、センサー、コンピューター、通信機能を麻痺させることが可能です。
つまり、迎撃率は0%になる。迎撃率が20%であろうが、80%であろうが、100%であろうが、それは正常に機能したらの話なのです。
中国軍はMD対抗兵器とMD対抗戦術の研究が着々と進んでいて、「多数の核ミサイルを同時に発射する」「多数の核ミサイルによる波状攻撃を行う」「途中でコースを変更できる核弾頭を開発する」「本物と偽物の見分けがつかない核弾頭と核ミサイルを、多数同時に発射する」「MDシステムのレーダー、センサー、通信機能を破壊することだけを目的としたミサイルと無人飛行機を開発する」「いままでとは違う、低い軌道に乗る弾道ミサイルを開発する」「地上、海上、海中、空中の数カ所から多数の弾道核ミサイルと巡航核ミサイルを同時に発射する」等々の行為により、米国製MDシステムは無効になる。
伊藤貫『 中国の「核」が世界を制す』 より
米国製のMDとは所詮、「単発の弾道ミサイルが、あらかじめ想定されたコースを想定された速度で飛んでくれた場合、運が良ければ迎撃できるかもしれない。
日本にとって怖いのは、高価なMDシステムを無効化できる安価な巡航核ミサイルや弾道ミサイルで複数同時攻撃される・・・もしくは、「同時に使用するぞ」というニュークリアブラックメールをかけてくることです。
巡航ミサイルは、一基が一億円という安価な兵器で、隠すことが容易で、あまり熱を発生させずに低空を、弾道ミサイルよりも低速であるが、自由にコースを変えながら飛行するのでレーダーで捕捉し難いという特徴を持ってます。
さらに、MDとは米国の日本に対する操縦政策であるという側面があります。
北朝鮮の核実験により、「やはり米国に頼っているだけでは駄目だ、自主的な核抑止力を持たないと、日本を守れない」と考える日本人が増えてきた。
私もその一人であり、対米自立を目指す日本人です。
しかしながら、米国は日本の自主的な核抑止力の構築に反対です。
日本を「普通の国」にしたくないと考えている米国人が多数派です。
なぜならば、米国はいつでも日本に拒否権を行使できる状態を維持していたい、日本が米国の国益からみて都合の悪い外交政策や経済政策を採用しようとするとき、米国は日本に対して、拒否権を行使できる状態を維持したいからです。
交渉事とは、所詮軍事力を背景としたパワーゲームです。
MDとは日本に対する搾取です。
MDとは高価格な装置で、毎年、毎年、グレード・アップのために巨額の追加投資を半永久的に必要とし、MD費用は米国の軍事産業に流れてしまいます。
MDとは「日本に自立能力を与えず、しかも高利益を確保できる」という米国の日本管理政策であり、ビッグビジネスなのです。
したがって、欧米の軍事関係者からは「天空のマジノ線である」と言われたりします。
MDによる「拒否的抑止」は親米派による戯言
聞きなれないような単語で恐縮ですが、いわゆる「拒否的抑止」について論じたいと思います。
単刀直入に言えば、「拒否的抑止」は親米派の戯言に過ぎません。
そもそもの前提条件としてMDが100%の迎撃率がないと「拒否的抑止」は成立しません。
なぜなら、撃ち漏らした一発の弾道ミサイルが核弾頭搭載の弾道ミサイルだったなら日本側の被害は甚大だからです。
どんなにMDが技術進歩したとしても100%にはならないでしょう。
仮に迎撃率が100%になったとしても北朝鮮や中国のような国が国際的な批判を恐れて核攻撃を思いとどまるでしょうか。
国際的な批判を恐れるような国が日本人を拉致したり、チベット人を虐殺したりするでしょうか。
国際的な批判を恐れるのは日本のような自己主張のできない弱虫国家だけでしょう。
消極的な専守防衛政策のせいで、このような極めて危険な事態にまでなってしまったと言えます。
日本は座して死を待つだけなのでしょうか。
日本には中国や北朝鮮の核攻撃に怯えながら一日一日をかろうじて延命するというみじめな未来しかないのでしょうか。
続く。