大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年11月24日(令和4年11月24日)
本日は解雇規制に関するリライト記事でございます。
実は各方面から、解雇規制の記事を再度アップロードしてほしいという要望がありまして。
基本的なところから、解雇に関してもう一度学習してみましょう。
解雇にはどのような種類があるのか
メディアや識者は「解雇規制の緩和」を唱えるが、解雇ができない、あるいはしてはいけないといった法律はない。
引用元:黒字なのにリストラに取り組む大企業が増えている理由
そのような判決や判例はないはずだ。
だからこそ、懲戒、普通、整理と3種類の解雇がある。
解雇は、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の三種類があります。
懲戒解雇に関しては、民間企業の不祥事などでニュースになったときによく耳にするのですが、詳細はわからないですよね。
以下において、できるだけ専門用語を使用しないで説明したいと思います。
※参考サイト:解雇の種類(普通解雇・懲戒解雇・整理解雇など)
まず、普通解雇について説明します。
普通解雇とは、主に労働者側に原因があって、雇用主側からその職を解かれることです。
例えば、職務怠慢、労働者の能力不足、労働者の健康状態の悪化による能力低下、業務命令無視などによる解雇が普通解雇に該当します。
整理解雇とは
次に、整理解雇について説明します。
整理解雇とは、経営不振や経営合理化という民間企業側に原因があって、人員削減を目的とした解雇のことです。
いわゆる景気後退期のリストラはこれに該当します。
整理解雇の場合は、会社から一方的に解雇されてしまうのですから、労働者を解雇するための条件は厳しくなります。
いわゆる整理解雇の4条件(または4要件)と呼ばれ、これをすべて満たす必要がございます。
1、人員削減の必要性がある
2、解雇回避努力義務を果たす
3、被解雇者選定に妥当性がある
4、労働者や労働組合への説明責任を果たし、手続きにも正当性がある
簡単に言えば、人員削減して人件費を削減しないと経営が厳しい場合じゃないと解雇は厳しいということです。
新規採用の停止、役員報酬カット、昇給停止、賞与の減額・停止、時間外労働の削減、非正規労働者の雇止め。
または、一時帰休、希望退職者募集、配転・出向等の様々な人件費削減措置を講じる必要があります。
さらに付言するならば、勤務成績を考慮することや、解雇による打撃が少ない人物を選定するなど合理的な基準で解雇対象者を選別する必要があります。
また、整理方針や手続・規模や解雇条件などを労働者や労働組合側にも説明しなければなりません。
懲戒解雇とは
最後に懲戒解雇について説明します。
懲戒解雇とは、労働者に罰を与えるための解雇です。
具体的には、業務上横領、無断欠勤、セクハラ、パワハラ、経歴詐称などを行ってしまった労働者を解雇する場合には懲戒解雇となります。
普通解雇の場合は労働者側に原因があるとは言え、やむを得ない場合やグレーゾーンの場合の解雇と言えます。
懲戒解雇となると、ほぼ確実にブラックなことをやってしまった労働者へのペナルティ的側面が強いです。
※参考サイト:【わかりやすく】懲戒解雇とは? 条件・理由、処分後の手続き
解雇規制を緩和するというのは雑な議論過ぎる
竹中平蔵氏(以下敬称略)は朝まで生テレビに出演した際、以下のような発言がございました。
「正規雇用と言われるものはほとんど首を切れない。それで非正規雇用をだんだん増やさざるを得なかった」「首を切れない社員なんて雇えないですよ!普通」
引用元:竹中平蔵氏が発言した「正規雇用は解雇できない」は本当なのか?
解雇規制というものを理解している人間であれば、上記のような発言は恥ずかしくてできません。
解雇が難しいという発言なら理解できますが、ほとんど解雇できないというのは事実誤認なのです。
なぜならば、普通解雇も規定されている以上、普通解雇自体は可能ですし、整理解雇だって4条件を満たせば可能だからです。
整理解雇の場合、その前には希望退職者の募集などを実施する必要があります。
したがって、希望退職者の募集それ自体が解雇のようなものだと言えます。
懲戒解雇も民間企業の不祥事においてニュースになりますから、機能していることは明白です。
「なぜ日本企業は雇用を増やさないのか」という議論がよくなされます。
その議論の中で「解雇規制が厳しいため雇用を増やせない、解雇規制を緩和するべき」という主張をする方がいらっしゃいます。
私としては、解雇には3種類あるがどの解雇を対象として規制を緩和するのかという議論がなされていないのが不思議です。
また、解雇条件のどの条件をどのように緩和するのかという精密な議論がなされる必要があると思います。
解雇規制の再構築が必要であるならば
仮に解雇規制を緩和しなければならない場合、労働者の能力不足が客観的に判明した段階で解雇できるように規制緩和するべきだと思います。
一方で、一時金(3年分の年収相当を目安とする)を民間企業から労働者へ支払うように法整備を行うべきでしょう。
要するに、普通解雇の能力不足という点に関して緩和するが、金銭的補償を付随するということです。
経営者と労働者側双方にメリットがあるように規制改革するのはありなのではないかと。
経営者としても著しく能力不足である社員を長期間に渡って雇用し続けるのはリスクでしかありません。
また、労働者側としても解雇されるならば転職活動するためにもお金が必要でしょう。
竹中平蔵のような解雇規制が厳しいから雇用できないという雑な議論をするべきではありません。
その点だけは、拙ブログの読者様にはご理解いただきたいです。
解雇規制の緩和には反対する
上記の解雇規制改革の一案を見ていただければ、私が解雇規制緩和に賛成ではありません。
むしろ現実的な解雇規制の再構築を主張しているということは、ご理解いただけると思います。
そもそも解雇規制とは、労働者という立場が弱い方々を守るためのものであり、易々と緩和するべきではありません。
解雇しやすい世の中とはアメリカのような不確実性たっぷりの労働環境に近づくということです。
私もIT企業で勤務する労働者ですので、労働者としての立場から申し上げたいことがあります。
仮に、解雇規制が考えなしに緩和された場合、安心して業務に打ち込むことができなくなります。
なぜならば、常に転職のための情報収集や転職のためのコネクションを作るためにイベント参加せざるを得ないからです。
精神的にも肉体的にも疲れますから、パフォーマンスが下がること必定ですよ。
積極財政で解雇されても怖くない経済状況を創造せよ
解雇規制の議論においては、決定的にマクロ的視点が欠如しております。
変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有する中央政府に財政的予算制約は存在しません。
したがって、日本政府はお金が足りないから支出できない、減税できないということはあり得ません。
日本政府がお金を支出するということは日本政府からお金を貰って仕事を受注する企業が儲かります。
それに付随して設備投資が増え、雇用が創出されれば、お金がどんどん現実社会で動き、好景気になります。
好景気になれば、解雇されたときの失敗確率が下がります。
したがって、解雇された人材の再挑戦が容易となり、新たな商品やサービスが生まれる可能性が高まります。
雇用を最大化したい場合でも、前提条件として好景気が必要なのです。
まずは前提条件を整えるべきではありませんか。
一方で人に雇われず、起業するという方法もございます。
失敗したときのセーフティネットが脆弱で成功確率が低いデフレ不況下の日本で起業できますか?
できるとしたら、よほどの強者かよほどの無鉄砲なのかのどちらかです。
その個人の能力はどれほどなのかにも関係しますので、様々例外はございますし、起業することを否定するものではございません。
しかしながら、一般人に起業をお勧めするというのは暴論と言えましょう。
以上です。