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矢野事務次官の財政破綻論から自分を疑えないエリートの悪癖を感じる

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大変お世話になっております。
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uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年11月21日(令和3年11月21日)

本日は進撃の庶民の管理人である高橋様(ヤン様)の論考をご紹介しつつ、矢野事務次官の財政破綻論を論破していきたいと思います。

財務省の事務次官が財務省公式見解に反旗を翻すとは

衆院選が迫る中、2021年10月10日に文藝春秋11月号で矢野事務次官が「このままでは国家財政は破綻する」との寄稿をしました。
現役の財務相事務次官の寄稿であり、世間では大きな波紋を呼びました。

引用元:矢野次官の「バラマキ批判」寄稿は間違い!? 今の日本が財政破綻しないワケ

拙ブログにお越しの皆様は一般人よりも情報収集能力が高いと思いますので、既にご存知のことかと存じますが、財務省の事務次官である矢野事務次官が財政破綻を煽る論文を文藝春秋に寄稿しました。

高橋様は矢野事務次官の論文の主旨を以下のようにまとめていらっしゃいます。

  1. 国庫は無尽蔵ではない
  2. 日本国債が増加していけば、いつか破綻する
  3. ないし、破綻の代わりに大きな国民負担がのしかかる
  4. いつ破綻するかは誰にもわからない
  5. だから、財政規律を守り、財政健全化を行うべき

引用元:矢野次官の「バラマキ批判」寄稿は間違い!? 今の日本が財政破綻しないワケ

奇妙なことに、財政規律とは何か、財政健全化とは何か、財政破綻とは何かという点について、矢野事務次官は何も定義していないようです。

この点を奇妙に思えるか否かが一般人と知識人の差であると思います。
拙ブログにお越しの皆様もそこを疑問に思えた時点で「知識人」と言えます。

どうやら矢野事務次官は財政破綻はいつ発生するのか誰にもわからないが、とにかく財政破綻に恐怖して思考停止して、政府支出拡大を阻止せよと無能な下級国民にお説教したいという歪んだ欲望を持っており、文藝春秋という媒体でストレス解消を行ったようです。

財政破綻の定義を明らかにしないのは、別の理由もあるのでは

では、矢野事務次官はなぜ、財政破綻の危険性を訴えながら、財政破綻の定義について行も触れなかったのでしょうか?
筆者は、財政破綻の定義に触れてしまうと、矢野事務次官の論理が崩壊してしまうからだと考えます。

引用元:矢野次官の「バラマキ批判」寄稿は間違い!? 今の日本が財政破綻しないワケ

高橋様も私と同様のお考えのようでして、財政規律、財政健全化、財政破綻とは何かという定義について明確にしなかったのは、財政破綻論が崩壊してしまうからだと主張しています。

私は別の理由も存在しているのではないかと考えています。
いわゆるエリートの悪癖というものでございまして、論理の前提条件を疑えないというエリートの悪癖が染みついてしまっているため、そもそも定義を明確にして理論構築するという発想が無いのです。

少々、わかりにくい話になると思いますが、あえて申し上げますと、帰納法と演繹法のバランスが完全に崩れていると言えます。

帰納法とは、さまざまな事実や事例から導き出される傾向をまとめあげて結論につなげる論理的推論方法を指します。

蜘蛛は死ぬ、象は死ぬ、人は死ぬ、したがって、生き物は死ぬという結論を得るのが、帰納法です。
生き物は死ぬという前提条件を再確認したり、議論の前提条件を説明するときに使用します。

演繹法とは、一般的かつ普遍的な事実(ルール・セオリー)を前提として、そこから結論を導きだす方法です。

生き物は死ぬ(普遍的事実)、猫は生き物である、したがって、猫は死ぬという結論を得るのが演繹法です。

参考記事:帰納法、演繹法【今更聞けない問題解決のための推論】

矢野事務次官は議論の前提条件を再確認したり、議論の前提条件が本当に正しいのかという点を検証せずに、日本国債の発行残高が累積したらいずれ財政破綻すると思いこみ、議論を展開しているのです。

まさに天動説を信じ込んで地動説を唱える人間を断罪してしまうとある宗教関係者と同じような発想になってしまっております。

後世の時代にいきている人間としては、ガリレオが本当は正しく、ガリレオを断罪してしまった人間は愚かであり、我々にとっては無関係と信じ込んでいる方もいらっしゃと思いますが、それと同様の愚かしいことが現代の日本でも発生しているというのが、私の見立てでございます。

政治を学ぶということ、政策を立案するということは自分を疑うという作業が欠かせませんし、それは凡人には行えないことなのです。

自分を疑うって精神的に厳しいものがございますので、辛くて孤独な作業なのですが、それが無いとこのような醜態を世間に晒すことになりますので、避けては通れません。

話を財政破綻論に対する批判に戻したいと思います。

財務省の公式見解に反旗を翻す財務省の事務次官

日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。
デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。

引用元:財務省HP「外国格付け会社宛意見書要旨」

財政破綻とは、中央政府が発行した国債が債務不履行(デフォルト)に陥ることです。
要するに、日本政府が発行した日本国債の償還または利払いができない場合には、財政破綻したということになります。

ただ、そのような事態は考えられないと主張しているのが、我らが財務省でございまして、外国の国債の格付けをしている会社に対して、日本国債の格付けが低すぎるとして抗議した文書が公表されているのです。

財務省の公式見解として、先進国の自国通貨建て国債の債務不履行(デフォルト)は考えられないと発表しているのに、財務省の事務次官(いわゆる事務方のトップ)が財政破綻論を煽っているのです。

組織の意見と個人の意見は完全に一致することは無いと思いますが、ここまで見事な矛盾があるのであれば、矢野事務次官は財務省の公式見解のどこが間違っているのかを明言するべきでしょう。

変動相場制を採用して、自国通貨発行権を保有する日本政府に財政的予算制約は存在しません。
日本円で取引される日本国債の償還を求められたら、日本円を発行して支払えばよいだけであり、利払いも同様ですよ。

固定相場制を維持するために、自国通貨の発行を抑制する必要はございません。
変動相場制を採用しているのですから、過度な為替変動さえ発生しなければ、放置して問題ありません。

物価変動に関しても、過度な物価上昇(年率10%以上)にならなければ、問題ありません。
今現在の日本においては、消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)を見ると、マイナス0.7%(※1)です。

※1:総務省統計局「消費者物価指数」2021年10月の数値(前年同月比)

まずは、デフレを脱却していただいてから、紙幣乱発型物価上昇を心配なさっても遅くはありませんし、法人税や所得税などの景気の自動調節機能が日本経済には埋め込まれておりますので、物価上昇が止まらないということも杞憂です。

マクロ経済政策の基礎の基礎を知っているだけで、義務教育で学んだであろう日本銀行の発券銀行としての機能を理解しているだけで、財政破綻論に陥ることは無いと思いますが、まさか財務省の事務次官が義務教育も修了していないと思えるかのような論文を発表されるとは・・・世も末ですな。

以上です。

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