大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年8月27日(令和元年8月27日)
空き家所有者の特定には税情報が有効
総務省は22日、自治体による空き家対策の実態調査結果を公表した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40296520S9A120C1000000/?n_cid=SPTMG002
現場が抱える悩みへの対応策を共有するのが狙いで、建物の所有者特定には固定資産税情報の活用が有効だと指摘。
危険な家屋の撤去費を巡り、分割払いの導入などで回収率を上げている事例もあるとして、国土交通省などに周知を求めた。
総務省は2019年1月22日、自治体がどのように空き家の所有者を効率的に特定していたのかという実体調査結果を公表しました。
建物の所有者特定には固定資産税情報の活用が有効だと指摘しています。
ある意味、税金の取り立てに不備があるというのは考えにくいので、当たり前と言えば当たり前ですが(笑)
空き家を利活用するなり、除却するなり、購入するなり、売却するなり、様々な対処法がございますが、所有者がわからない場合は対処が難しくなってしまいます。
したがって、空き家対策に本腰を入れるということになれば、空き家の所有者を特定するところから始めなければなりません。
これにはマンパワーが絶対に不可欠なのです。
仮に、JGP(ジョブギャランティプログラム)雇用保障プログラムが本格的に導入されるとなれば、空き家の所有者の特定という仕事は是非とも請け負っていただきたいと考えています。
なぜ空き家の所有者が不明になるのか
空き家問題が複雑化するのは、空き家の所有者がわからないという問題が原因です。
なぜ空き家の所有者が不明になってしまうのでしょうか。
我が国日本は日本国憲法により、私有財産制の国家なので、空き家をどのように処分するのかは所有者が決めることであり、公権力(日本政府や地方自治体)が何らかの行政処分を下す際にも、まずは所有者に勧告しなければなりません。
空き家という不動産の所有権を明らかにするのは、法務局にある不動産登記簿です。
不動産の所有権を明らかにするデータベースのようなものなのですが、我が国日本においては、不動産登記は任意なのです。
言い換えれば、不動産登記は義務行為ではないということです。
例えば、不動産売買が行われたときや不動産相続が行われたときに、不動産登記が行われないと、誰が所有しているのかわからなくなってしまいます。
しかも、不動産登記がなされず、どんどん相続や不動産売買が繰り返された場合、所有権を保有する可能性がある人がどんどん増えてしまいます。
参考URL:https://president.jp/articles/-/23722
なぜ不動産登記がなされないのかと申しますと、手続きが煩雑で、不動産登記料が発生してしまうからです。
法務省法務局HPを参照してみたところ、かなり複雑でした。
参照URL:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki1.html
また、不動産登記は義務ではなく、任意であるため、不動産登記料を節約しようと考える方がいらっしゃるようです。
法務省としても、不動産登記されないことが不動産所有の把握を困難にしている原因であると認め、不動産登記をすることのメリットを説明しています。
相続登記に関しては手続の簡素化やその利便性の向上に取り組み、様々な制度変更を推進しているとのことです。
具体的には相続登記の申請をする際に提供する必要がある添付情報の見直しを実施したと発表しています。
参考URL:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00207.html
ここで単純な疑問をお持ちの読者もいらっしゃるはずです。
不動産には固定資産税がかかるはずなので、不動産登記とは別に行政は現在の所有者を把握しているはずではないかと。
市区町村は法務局の登記情報に基づいて固定資産税を課税しています。
しかしながら、その登記情報が本当に正しいのか否かまでは調査されないのです。
市町村としては、固定資産税を支払ってくれさえすればいいので、不動産登記上、本当に正しい所有者が登記されているかまでは把握していないのです。
また、相続登記が長年放置される不動産などは免税点(※課税対象にならない資産額。土地は30万円、建物は20万円)未満のものが多く、課税対象にならない場合は人手不測のため、人員を割くことができません。
参考URL:https://president.jp/articles/-/23722
したがって、不動産登記はそのままとされ、正確さを欠くことになってしまいます。
空き家の放置は経済損失である
空き家が発生しているということは、住宅市場において需要と供給のバランスが崩れているということです。
需要と供給を比較した場合、供給が多いということになります。
したがって、住宅価格が漸進的に下落する可能性が高いのです。
その結果、損してしまうのが、持ち家世帯です。
持ち家世帯が住宅の修繕・保守を怠った場合などは住宅を購入した世帯の自己責任ですが、空き家増加という住宅政策の失敗の影響で損することになります。
仮に、新築で一戸建を5000万円で購入し、維持管理・修繕工事などをしっかりと行ったのに、30年後に1000万円という資産評価を受けてしまった場合、4000万円の価値毀損となります。
資産価格の下落により、実質的に損してしまった家計が採る行動とは節約にほかなりません。
住宅価格の漸進的下落とは、家計の消費意欲の減退を招きます。
デフレ経済下において、消費を喚起しなければならないのに、消費を減退させるような事態が表には出ない形で進行することになります。
以上です。