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北大西洋条約機構が北方拡大へ。トルコは外交巧者でロシアは外交下手

投稿日:

ロシア

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年7月2日(令和4年7月2日)

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟にトルコが賛成

スウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)への加盟に反対していたトルコが28日、一転して支持することで合意した。

引用元:スウェーデンとフィンランドのNATO加盟、トルコが一転支持

拙ブログでも取り上げていた件で進展がございましたので、ご報告致します。

スウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)への加盟がほぼ決定したようです。

トルコがスウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)への加盟に反対していたのですが、賛成するように外交方針が変わったようです。

簡単に経緯を説明させていただきます。

ロシアのウクライナ侵攻によって、欧州の安全保障環境が激変しました。

以前からロシアとは国境を接しながらも中立を保ってきたスウェーデンとフィンランドが自国の安全保障の危機が高まったと判断したようです。

ロシアの隣国である北欧諸国の内、スウェーデンとフィンランドがNATO(北大西洋条約機構)に加盟したいと、正式に申請しました。

ただ、NATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟に加盟するためには、既存加盟国全ての加盟賛同を取り付けなければなりません。

トルコがスウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)加盟へ反対姿勢を明確にしており、今後の展開に注目が集まっておりました。

政治的妥協を引き出したトルコ

NATOのストルテンベルグ事務総長によると、スウェーデンはトルコから武装組織の容疑者の引き渡しを求められた際に、取り組みを強化することに同意した。
また、フィンランドとスウェーデンは、トルコに対する武器売却の制限を解除するという。

引用元:スウェーデンとフィンランドのNATO加盟、トルコが一転支持

トルコとスウェーデンとフィンランドの首脳とNATO(北大西洋条約機構)の事務総長がスペインのマドリードで会談し、共同安全保障に関する覚書に署名しました。

その内容としてはトルコの政治的要求が完全ではないにしろ盛り込まれたものでした。

以前から、トルコのエルドアン大統領がテロ組織として認定しているクルド人武装勢力に対する弾圧に対して、スウェーデンとフィンランドが抗議していることに不満を持っていました。

また、トルコ国内のクルド人武装勢力弾圧問題とも関連して、トルコへの武器輸出制限を実施していたことも不満だったようです。

詳細に関しては上記引用元記事を参照していただければと存じます。

トルコはNATO(北大西洋条約機構)への加盟問題を人質に自国の政治的要求をスウェーデンとフィンランドに飲ませることに成功したようです。

その結果、NATO(北大西洋条約機構)の北方拡大がほぼ既定路線となりました。

ウクライナがミサイル防衛システムを要求

ウクライナ南部オデッサ州でロシア軍によるミサイル攻撃があったことを受け、ウクライナのクレバ外相は1日、米欧などに最新のミサイル防衛システムを提供するよう要求した。
ロシア軍のミサイル攻撃は急増しており、民間人が犠牲になるケースが後を絶たない。

引用元:ウクライナ、最新のミサイル防衛システムを要求 米欧に

ウクライナのクレバ外相は西側諸国に対して、最新のミサイル防衛システム(おそらくイスラエル製になる可能性大)を提供するように要求しました。
ウクライナは苦境に陥っているようです。

ロシアからのミサイル攻撃によってウクライナの国土が蹂躙され、軍事作戦の停滞や補給路の遮断などで打撃を受けています。

ただ、ミサイル防衛システムというのは、ミサイルでミサイルを撃ち落とすことであり、費用対効果が極めて悪いのです。

したがって、ミサイル防衛システムを要求するのではなく、ロシア側のミサイル発射プラットフォームを破壊するミサイルを要求するべきです。

巡航ミサイルで少なくとも固定目標は確実に撃破するべきでしょう。
攻撃こそ最大の防御なのです。

欧州にとっての敵国として認定されるロシア

NATOはこの日、スペイン・マドリードで開かれている首脳会談で、今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択した。
ウクライナに侵攻したロシアについては、「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」だとした。
(中略)
NATOはさらに、2023年以降、緊急時に対応する即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増強することで合意した。

引用元:NATO、「ロシアは直接の脅威」 アメリカは欧州での軍事プレゼンス拡大へ

NATO(北大西洋条約機構)は軍事同盟であり、東西冷戦の残滓と言い切ってよく、ロシアを仮想敵国としておりました。

ただ、ロシアのウクライナ侵攻によって仮想敵国ではなく、直接的な脅威として認定されてしまった模様です。

つまりは、ロシアは明確にNATO(北大西洋条約機構)の敵国になりました。

ある意味、想定内と言いますか、隣人が殺人事件を引き起こしたのだから当然ですね。

さらに、NATO(北大西洋条約機構)は緊急時に投入できる即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増強することになりました。

ロシアからの奇襲に備えるという意味では当然です。

今回のウクライナ侵攻においても、ロシアは軍事演習を装って奇襲してきましたから、防備を怠るべきではありません。

プーチン大統領の脅し

ロシアのプーチン大統領は29日、フィンランドとスウェーデンの加盟後に北大西洋条約機構(NATO)が両国に部隊を配備し、軍事インフラを設置した場合、ロシアも相応の対応を行うと述べた。

引用元:ロシア大統領、NATOが北欧2国に軍備なら「相応の対応」

やはり、ロシアにとってはNATO(北大西洋条約機構)の北方拡大は脅威として映るようです。

国際政治におけるブラックメール(軍事侵攻するぞという脅し)がプーチン大統領から発せられた格好となりました。

NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大を阻止するため、ウクライナ侵攻に踏み切ったら、NATO(北大西洋条約機構)の北方拡大を招いたのはプーチン大統領です。

国内の支持を取り付けるためにもこのような強気発言をしないと権力基盤が揺らぐのではないかと推察します。

スウェーデンの財務相が現実路線を表明

スウェーデンのダンベリ財務相は日本経済新聞のインタビューに応じ、北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現した場合でも、NATO軍の恒久的な基地は置かない方針を示した。
NATOの拡大に反発するロシアの刺激を避けたい考えがあるとみられる。

引用元:スウェーデン財務相「NATO軍の恒久基地と核兵器不要」

やはり、スウェーデンとフィンランドがNATO(北大西洋条約機構)に加盟してめでたしという話ではないようです。

スウェーデンの財務大臣がNATO(北大西洋条約機構)に加盟しても、恒久的な軍事基地は置かず、核兵器も持ち込ませない方針を示しました。

ロシアがNATO(北大西洋条約機構)に対して機敏になっているのは軍事基地が設置されるのか、攻撃システムが配備されるのかどうかと明確に示しているので、ロシアを刺激しないように外交的に配慮しているようです。

2028年までに国防費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げる方針も表明した。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると21年のスウェーデンの防衛費は79億ドル(約1兆円)で、GDP比はこの10年間1%強の水準が続いていた。

引用元:スウェーデン財務相「NATO軍の恒久基地と核兵器不要」

ただ、一方で自国の防衛力整備を実施する方針を表明し、国内総生産(GDP)比2%以上に国防費を引き上げるようです。

他国との連携は強化しつつ、基本的には自国の防衛力を強化するとは素晴らしいご判断だと思います。

以上です。

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