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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年11月12日(令和3年11月12日)
賢い支出の定義を教えてくれ
政府が19日にまとめる経済対策が財政支出ベースで40兆円超に膨らむ見通しになった。
引用元:経済対策、財政支出40兆円超に ばらまき色強く
18歳以下への10万円相当の給付など、与党が衆院選の公約に盛り込んだ支援策が全体を押し上げた。
政府は一部を国債の増発でまかなうが、その償還財源は明示していない。
中長期的な成長につながる「賢い支出」なのか検証が求められる。
本日は日経新聞が岸田総理の経済対策について評論している記事を細かく分析する記事でございます。
少々抽象的な話になる可能性がございますが、経済対策を分析する上で重要なことを様々な形で読者様に提供できればと思います。
岸田総理がまず始めにやることとしては、経済対策、つまりは補正予算の策定なのでございますが、財政支出ベースで40兆円を超える規模になるようです。
変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有している中央政府に財政的予算制約は存在しないわけですから、財源を気にする必要はございませんし、税金は財源ではございません。
税金が仮に無くなったとしても、日本政府は国庫短期証券を発行して、日本銀行に持っていき、日銀当座預金と交換して、各種支払いに充てることができますから、税金が存在しなくても政府支出は可能でございます。
それ以上に日経新聞の記事で気になったことがございます「賢い支出」という単語を使用して、経済政策を検証せよとの主張です。
「賢い支出」というのは、中長期的な成長につながる支出のことを指していると思われますが、あまりにも抽象的で理解が難しく、定義が曖昧です。
日経新聞としては、政府支出を増やすことは一時的には可能だが、毎年継続することは不可能だから、政府支出を将来的に減額しても経済成長できるような日本経済にするために、適切なお金の使い方をしているのかを検証せよと主張しているのだと私は解釈しております。
発券銀行である日本銀行から資金調達可能な日本政府が資金枯渇に陥ることはありません。
それは発券銀行という概念を義務教育で学んでいれば理解できることです。
しかし、日経新聞としては政府支出増加の持続可能性は限りなく低いという誤った前提で、経済対策を評価しているのです。
また、GDPが継続して増えることを経済成長と定義するのであれば、政府支出増加そのものが経済成長なのです。
GDPの内訳の一つとして、政府最終消費支出という項目がございますから、政府支出増加は経済成長と言えるのです。
資金が枯渇しない経済主体に継続的に支出させるわけですから、政府支出増加は賢い支出と言えるのではないでしょうか。
家計や民間企業などの資金枯渇や債務不履行に陥る可能性がある経済主体に支出させようとする経済ならば、それは廃業や自己破産のリスクと隣り合わせの危険な状態と言えます。
デフレ・ギャップは埋められるのだろうか
与党内には経済対策について「30兆円超」(自民党の世耕弘成参院幹事長)の規模を求める声があった。
引用元:経済対策、財政支出40兆円超に ばらまき色強く
根拠としていたのは、国全体の需要と供給力の差を示す国内総生産(GDP)ギャップでみた需要不足を賄う規模の対策が必要だとの考え方だ。
内閣府は4~6月期の実質GDP改定値を基に、年換算で22兆円の需要不足だと試算している。
内閣府が計算したデフレ・ギャップは年換算で22兆円の需要不足ということですが、これがそもそも怪しいです。
本当にその程度の需要不足なのかは疑問が残ります。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済停滞で失われた所得を取り戻そうと民間企業は生産活動に励みますが、これまで以上に政府の公的支援策には頼れないと猜疑心を持ってしまっています。
それ故に、これまで以上に現金預金を保有する割合を増やす企業が増え、従業員への還元や設備投資に及び腰になっているのではないかと思われます。
いわゆるデフレ・マインドが強まり、節約志向が強まるのではないかと個人的には判断しております。
これでは乗数効果が低く抑えられ、景気浮揚は見込めず、景気浮揚効果が見込めない経済対策に対し、財務省の反転攻勢が開始されるでしょう。
財政破綻の悪徳プロパガンダにて、岸田総理は増税に追い込まれるということになるでしょう。
本来ならば、民間企業に設備投資を促すための減税を行いつつ、現金給付も実施して、供給能力と購買力を同時に高めて、インフレ対策をデフレ経済下で行うべきです。
政府支出の大きさは名目的な金額で計測するべきではない
これまでで最大だったのは新型コロナの感染拡大を受けて20年4月に閣議決定された緊急経済対策で、財政支出額は48.4兆円だった。
引用元:経済対策、財政支出40兆円超に ばらまき色強く
リーマン危機後の09年4月にまとめた国費ベース15.4兆円の経済対策と比べても突出して大きかったが、今回はそれと肩を並べる規模になる。
私は政府支出の大きさを名目支出額で判断するのは誤りだと思います。
日本政府は自国通貨発行権がございますから、お金を無尽蔵に刷ることが可能です。
ただ、無尽蔵にお金を支出して民間経済の供給能力を超えてしまうと過度なインフレになり、低所得者が物やサービスを手に入れるのが難しい経済が現実のものになるかもしれません。
そういったことを避けるためにも、政府支出の上限はインフレ率であるべきなのです。
言い換えるならば、インフレにできないレベルの政府支出なのであれば、どんなに名目支出額が大きいものであっても過少支出と言えます。
我が国日本の2021年9月のコアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数)は対前年同月比マイナス0.5%でした。
※総務省統計局『2020年基準 消費者物価指数 全国 2021年(令和3年)9月分 (2021年10月22日公表)』より
どう考えてもデフレが継続している現状がございます。
これでコアコアCPIがマイナスから脱却できない、または2%に到達することができないということであれば、岸田総理が満を持して策定した経済対策は規模が小さいということになります。
※参考記事:消費者物価指数の算出基準を改定。デフレが予想以上に深刻化している
アメリカは現金給付を実施しておりますが?
米欧などもコロナ危機からの出口に向けて巨額の財政支出に動き出している。
引用元:経済対策、財政支出40兆円超に ばらまき色強く
環境やデジタルなどの成長分野へ投資する意識が強い。
現金給付など「ばらまき」の議論が多い日本とは対照的だ。
あえて率直に申し上げますが、この日経新聞の記事を書いた記者は誰なのでしょうか。
どこの異世界転生者なのでしょうか。
アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化に対抗するため、現金給付を何度も行っており、バイデン政権はつい先日インフラ投資法案を上下院で通したばかりですよ?
※参考記事:米インフラ法案、バイデン氏が15日署名・成立へ
※参考記事:自由か支援か、譲らず 「働かずとも週10万円」批判
日経新聞でもその旨はしっかりと報道されていたはずですが、記憶喪失になったのでしょうか。
それとも、普段経済記事を読まない情報弱者を騙すための記事なのでしょうか。
これは悪質な記事と断言せざるを得ませんね。
以上です。