大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年8月14日(令和3年8月14日)
ポートフォリオに債券を組み込むのは選択肢の一つ
長期的な資産運用を考えた場合、株式だけでなく債券を購入することも選択肢の一つだと思います。
株式市場全体が暴落する局面でむしろ値上がりするような資産を事前に購入しておき、実際に株式市場全体が下落したら、その値上がりした資産を売却して、株式投資の資金源とすればいいと考えています。
その資産とはレバレッジ債券ETFのTMFです。
アメリカの20年国債の価格変動に3倍のレバレッジを掛けた債券ETFです。
2020年4月頃になりますが、株式市場全体が暴落している局面において、約20ドルから25ドル近辺で推移していた債券価格が一気に40ドル以上となり、価格が跳ね上がりました。
もしも、私がレバレッジ債券ETFのTMFを20ドルで事前に購入しており、逆指値で40ドルで売却していれば、一気に債券に割り振っていた資金が倍になります。
そこで生まれた資金と元々保有していた現金を株式市場全体に投下することができれば、仮に株価低迷が3年から5年くらい継続していたとしても、かなりのリターンを稼ぐことができると思われます。
本日の記事は、以上を踏まえて、長期的な資産運用を考えた場合、日本国債をポートフォリオに組み入れるべきなのかを考えてみたいと思います。
結論から言えば、あまりにも優等生過ぎて投資妙味に欠け、投資不適格と言わざるを得ません。
キャリーロールダウン戦略とは
キャリーロールダウンとは、債券の利払いによる収益(キャリー)と、国債の償還までの期間が近づくことによる値上がり(ロールダウン)を組み合わせた戦略を指す。
引用元:国内・海外勢とも日本国債買い 長期金利、マイナス視野
償還まで持ち続けるのではなく、一定期間保有して値上がりしたタイミングで売却することで収益を確保する。
大手の海外ファンドは日本国債を大量購入しているようでして、キャリーロールダウン戦略を採用しているとのことです。
キャリーロールダウン戦略とは、日本国債を保有することに伴う利子収入(インカムゲイン)と国債の償還期限までの間の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う戦略のようです。
高配当株式投資の債券バージョンのようですね。
高配当株式投資とは、株式の配当と株価の値上がりを同時に狙う投資手法です。
日本の新規発行10年物国債(長期国債)の利回りは一時0%まで落ち込み、国債価格自体は上昇したようです。
※参考: 国内・海外勢とも日本国債買い 長期金利、マイナス視野
大手の海外ファンドは日本国債が今後も値上がりすると見込んでいるということのようです。
財政破綻するわけがないという前提の上での債券投資に踏み切っているようです。
これは私個人の推測でございますが、日本国債の価格変動は少ないですが、豊富な資金力を活用して、堅実に利益を稼ぐつもりなのではないかと思います。
たった0.01%の利回りの変動でも債券を大量保有しているのであれば、多額の利益を得られるでしょう。
逆に言えば、長期の資産運用で個人投資家の投資対象としては不適格と言えます。
少額資金でレバレッジ取引なんてできませんし、大量買い付けもできません。
日本の長期金利はマイナスになるだろう
日本証券業協会のデータによると、6月に外国人は2018年12月以来の規模となる1兆7000億円の長期国債を買い越した。
引用元:国内・海外勢とも日本国債買い 長期金利、マイナス視野
財務省によると、7月4~10日には1週間として比較可能な14年以降で最大の中長期債の買い越しを記録した。
世界的に金利低下傾向が継続しております。
国債の新規発行は行ってはおりますが、先進国(日本やアメリカなど)においては、中央銀行が量的緩和を継続しておりますので、長期金利は低下しますし、政策金利も金融緩和の一環として低下しています。
財政破綻論者は息をしているのでしょうか。
国債発行残高があまりにも大きいため、国債の投げ売りは発生するという主張はどこへ???
現実の債券市場においては「売り手がいない」が実情であり、日本国債売りに回るような理由もございません。
むしろ長期国債の買い付けに動いているようです。
したがって、我が国日本は長期国債を新規発行する余地がまだまだ残されているということになります。
政府支出を拡大しつつ、減税と直接給付が必要
先日の記事でもご紹介しましたが、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)の算出基準が改訂されまして、日本経済は確実にデフレが深刻化しているということがわかりました。
デフレとは継続的に物価が下落している状況でございますから、大多数の日本国民が貧しくなってしまう経済環境なのです。
そのような状況下においては誰かが支出を増やし、有効需要を喚起し、デフレから脱却しなければなりません。
変動相場制を採用し、自国通貨を保有する日本政府に財政的予算制約は存在しません。
したがって、過度なインフレにならないように、コアコアCPIの動向を注視しつつ、政府支出を拡大しつつ、減税と直接給付を行うべきなのです。
1、消費税廃止
2、粗利補償と休業補償
3、特別定額給付金の再支給
4、国土強靭化と防衛力整備
その他諸々やらねばならぬことはございますが、少なくとも上記を実現し、200兆円以上の政府支出を行うべきです。
財政政策こそが主役なのです。
裁量的財政政策と非裁量的財政政策の違いとは何か
さらに議論を深めたいと思います。
財政政策には、裁量的財政政策と非裁量的財政政策がございます。
裁量的財政政策とは、公共事業のように議会で予算案を新たに作成した上で政府支出を増減する、もしくは暫定的に税率を変更することで行われる財政政策のことです。
非裁量的財政政策とは、所得税や失業保険などのように景気変動の自動安定化機能を持つ制度によって行われる財政政策のことです。
例えば、景気が過熱したら所得税の税収が増え、景気が落ち込んだら所得税の税収が少なくなり、失業保険給付が増えるなど予めプログラムされています。
ここで厄介なのは、財政出動や財政政策に比較的肯定的な方でも、上記の2つのどちらを優先させるかという点で、意見が割れてしまうのです。
ここでは誰がどちらの財政政策を支持しているのかという点にはあえて踏み込みません。
※単純に面倒だからです(笑)
私個人の意見としては、どちらも重視すると言いますか、デフレ経済下であるならば、インフレ制約に激突しないのであれば、どちらの財政政策もやってほしいというのが正直なところなのです。
まずは法人税やキャピタルゲイン税を累進税化するのであれば、非裁量的財政政策の強化となりますし、生活保護や失業保険給付を手厚くするのであれば、非裁量的財政政策になります。
また、国家安全保障上の危機が発生したということなのであれば、防衛費の増額という裁量的財政政策も必要で、インフラが老朽化しているのであれば、公共投資という裁量的財政政策が必要です。
たが、非裁量的財政政策は機動的ではありますが、想定外に対処しにくいという弱点がございますし、裁量的財政政策は予算案の策定や実行に時間が必要ですが、柔軟に対応できるという強みがございます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の蒸発という急激な経済情勢の変化に対処できるのは、非裁量的財政政策というよりも裁量的財政政策であると言い切れるでしょう。
念のために申し上げますが、私は非裁量的財政政策を否定しておりませんし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済情勢の変化に非裁量的財政政策は無力だったと主張したいわけではないのです。
ただ、持続化給付金や特別定額給付金などの支給を日本政府が決定したことで、助かった方も多いのではないでしょうか。
※もちろん金額が少ないという批判は当然あり得ますけども。
結局、裁量的財政政策だろうが非裁量的財政政策だろうが、過度なインフレにならない限り、どんどん実行せよという話であり、裁量的財政政策だから駄目とか、非裁量的財政政策だから駄目という話はナンセンスということです。
もちろん、インフレ制約がございますので、GDPデフレーターとコアコアCPIが4%程度になるよう計量シミュレーションを行い、規模や予算執行期間に関しては熟考するべきです。
以上です。