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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年7月5日(令和2年7月5日)
コロナショックで需要が蒸発した日本経済
戦後最悪の不況となったコロナ危機に対しては、財政健全化を金科玉条としてきた日本政府ですら、巨額の財政支出でもって、これにあたるほかなかった。
引用元:石橋湛山と下村治の慧眼に学ぶ「積極財政」論
財務省は、2020年度の基礎的財政収支の赤字が56兆9000億円拡大して、66兆1000億円になるとの見通しを示している。
しかし、この数値の大きさに狼狽して、日本の財政危機を心配するのは、根本的に間違っている。
というのも、政府が自国通貨建て国債の返済が不可能になることはありえないのであり、そして、日本政府が発行する国債はすべて自国通貨建てだからだ。
これは、近年、あたかもMMT(現代貨幣理論)という新理論による特異な主張であるかのように言われているが、実際には、財務省ですら認めている事実にすぎない。
(中略)
経済全体の需要不足が深刻すぎるため、財政赤字による需要創出がまだ不十分だということだ。ということは、日本の財政赤字は大きすぎるのではなく、むしろ小さすぎるということになろう。
財政赤字が過大か否かは、その規模ではなく、インフレ率でもって判断すべきなのである。
現代貨幣理論への誤った批判として「どれほど財政赤字を垂れ流しても問題ない、無制限に国債を発行しても問題ないという理論」という声がございます。
拙ブログをご存知の方であれば、そんな誤った批判に対しては正確に反論できると思います。
「変動相場制を採用しており、自国通貨を保有する政府には財政的予算制約は無い」ということであり、無制限に財政赤字を増やしていいわけではございません。
財政赤字を増やし続けると、政府支出増や減税ということになり、民間経済にお金が溢れ、インフレになります。
それが過度なインフレになってしまったら、インフレによる害悪が大きくなるので、それ以上の政府支出増や減税は困難になります。
簡潔に言えば、インフレ制約があるので、無制限に財政赤字を垂れ流しても問題ないということを主張しているわけではないのです。
我が国日本はデフレ基調(コアコアCPI及びGDPデフレータが2%未満)なのに、インフレ恐怖症に陥っており、適切な財政出動ができないという馬鹿な現状が継続しております。
インフレの原因別で対処法は異なる
当時、大蔵大臣であった石橋湛山も同じ考えであった。
引用元:石橋湛山と下村治の慧眼に学ぶ「積極財政」論
インフレの原因は需要過多ではなく、供給過少にあると診断した石橋蔵相は、政府の資金を生産部門に投入して、供給力を増強しようとした。
石橋の積極的な財政金融政策は、需要増によるインフレという弊害はあるものの、生産力を強化するものであるとして、下村はこれを支持したのであった。
(中略)
したがって、財政政策は、次のように考えなければならない。
デフレ(需要不足)である現在は、積極的な財政支出によって政府投資を拡大し、需要を拡大し、デフレから脱却する。
デフレからインフレに転ずれば、民間投資も増える。
そして、その政府投資や民間投資は、中長期的には、社会インフラや生産設備となって供給力を増大させる。
これが将来のインフレの高進を防ぐのである。
要するに、本気でインフレを恐れているならば、むしろ財政赤字を拡大すべきだということだ。
第二次世界大戦(大東亜戦争)が終結した後のインフレに対して、石橋湛山はどのように認識していたのかという話が上記の引用元記事に出ておりました。
戦争によって、工場が壊され、物流も寸断されてしまったということで、供給能力低下型物価上昇が発生してしまったという見方を石橋湛山はされていたようです。
戦後のインフレを需要増大型物価上昇と認識してしまうと、需要を減少させるために、増税や政府支出減に手を出すということをしなければなりませんので、最悪の場合、内乱になっていた可能性がございます。
したがって、現実の経済を正しく診断して、どういった要因でインフレが生じているのか、どういった要因でデフレに陥っているのかということを理解して、正しい政策を実行しなければなりません。
インフレの要因を分類してみた
1、有効需要増大型物価上昇
需要側の原因で生じる物価上昇のことです。
オークションでの価格上昇を想像してもらうとわかりやすいでしょう。
物やサービスが欲しいと言う人(需要)がどんどん膨らむことにより、需要が供給を上回る場合に該当します。
第2次世界大戦後の緩やかな物価上昇がこれに該当します。
2、生産費用増大型物価上昇
供給側の原因で生じる物価上昇のことです。
物やサービスを生産する際、資源価格の高騰等による生産費用増大が発生した場合に該当します。
民間企業の自助努力ではどうにもできない場合に、物やサービスの価格へ上乗せされてしまいます。
我が国日本でも「狂乱物価」と言われる時期もありました。
原油価格が高騰してしまったために、トイレットペーパーの買い占めなどが発生しました。
3、紙幣乱発型物価上昇
紙幣の過度な発行によって、通貨の価値が大幅に下落してしまった場合に該当します。
通貨価値の大幅な下落が一般物価の大幅な上昇の引き金になってしまったのです。
第1次世界大戦後のドイツや西暦2000年以降のジンバブエが該当しました。
4、供給能力低下型物価上昇
災害等による物流の寸断、生産設備の老朽化、戦争による生産設備の破壊、物やサービスを供給するための土地が消失、民間企業から人材が離れる、
物やサービスを生産するのに必要な原材料を調達する資金の欠如などといった理由により物価が上がる場合に該当します。
生産するための費用が増大したのではなく、物やサービスを生産できない、供給できないという状況によって発生するインフレです。
この場合にも、第1次世界大戦後のドイツや西暦2000年以降のジンバブエが該当しました。
設備投資減税と設備投資補助金が必要
今回のコロナ・ショックでは、我が国日本において民間企業の自主廃業や休業が相次ぎまして、国家全体の供給能力が低下してしまいました。
おそらく民間企業は設備投資をするための余裕が少なくなってしまったのではないかと思います。
その影響で、アフターコロナにおいては、民間企業の供給能力が低下または供給能力の増強が困難であるため、インフレが生じる可能性がございます。
それをどうやって防げばいいのかと申しますと、設備投資減税もしくは設備投資補助金を実行して、企業には減税措置もしくは補助金を供与するというアメを与えて、供給能力の向上を促進させるべきなのです。
例えば、地元の飲食店で、最新の冷蔵庫を買い替えたり、食器洗浄機を購入するなど、細かいところでも生産性が向上するような機器を導入して、その導入費用の一部でも補助金や減税対象になれば、経済は回り出します。
生産性が高まり、インフレは抑制されつつ、設備投資を行う企業が増え、設備を納入または販売する企業が儲かるので、需要も喚起することができます。
短期的にはデフレ対策となり、長期的にはインフレ対策となります。
以上です。