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反逆する武士

現代貨幣理論

『MMT現代貨幣理論とは何か日本を救う反緊縮理論』を読む。必読文献です

更新日:

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年12月7日(令和元年12月7日)

『MMT現代貨幣理論とは何か』を読む

「財務省が今、最も恐れるMMT。本書こそまさしく、その本格的入門書だ!」――藤井聡(京都大学大学院教授・前内閣官房参与)
「貨幣」と「財政」の真実の姿を暴き出し、世界を揺るがせている経済理論・MMT(Modern Monetary Theory)。
2019年8月、待望の邦訳が刊行されたランダル・レイ『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者自らが、そのエッセンスを徹底解説。
誤解や憶測が飛び交う中で、果たしてその実態はいかなるものなのか?
根底の貨幣論から具体的な政策ビジョンまで、この本一冊でMMTの全貌が明らかに!

引用元:Amazonco.jp「MMT現代貨幣理論とは何か 」の商品紹介文より

本日は書評ということで、「MMT現代貨幣理論とは何か」を読んだ感想を記事にしたいと思います。
以下、目次もご紹介したいと思います。

【目次】
はじめに

序章 MMTはなぜ注目されているのか

第一部  MMTの貨幣論
 第一章 貨幣の本質
 第二章 預金のメカニズム
 第三章 主権通貨国における政府の機能

第二部 MMTの政策論
 第四章 MMTの租税政策論
 第五章 機能的財政論
 第六章 就業保証プログラム

第三部 MMTから見た日本経済
 第七章 日本は財政危機なのか
 第八章 日本経済には何が必要なのか
 第九章 民主主義はインフレを制御できるのか

おわりに――MMTをどのように生かすべきか

総評:★★★★★文句無しの5つ星

本書は島倉氏(以下敬称略)が出版した現代貨幣理論の入門書と位置付けられています。

内容としては文句無しの5つ星と言えます。

主流派経済学の唱える「商品貨幣論」に対して、現代貨幣理論においては「信用貨幣論(貨幣負債論)」を提唱し、誰かの支出は誰かの所得であるという経済常識を説明されております。

また、経済学の信用創造において、民間金融機関に預けられたお金が又貸しされて世の中のお金が創造されたというのは嘘であり、中央政府の政府支出、個人や民間企業への貸出などによってお金が創造されることも説明されております。

さらに、変動相場制を採用していて、自国通貨を保有する日本政府は財政的な制約がなく、インフレ率が政府支出の上限であることにも言及されており、現代貨幣理論を網羅的に学ぶための良書と言えます。

スタグフレーションへの対応策が秀逸

現代貨幣理論を学ぶために、まずは購入して読むべき新書と言え、特に私個人が秀逸の内容だと思うところは、スタグフレーションへの対処策を島倉がレイ(MMT現代貨幣理論入門の著者)に質問して回答を得たところです。

そして、こうした商品価格の上昇に起因するインフレへの適切な対策 は「エネルギー貯蔵と忍耐( energy conservation and patience)」 とのことでし た。

引用元:島倉 原. MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) (Kindle の位置No.2960-2961). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

レイは石油危機によるスタグフレーションの原因は、エネルギーや食糧の価格の高騰であり、コストプッシュ・インフレ(生産費用増大型物価上昇)だと主張したそうです。

その対処策として、エネルギー貯蔵と忍耐であると主張しています。

「エネルギー貯蔵」とは、石油などのエネルギー商品を、価格下落時には政府 が所定の支持価格で購入して備蓄し、価格上昇時には売却する政策を意味し ています。

引用元:島倉 原. MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) (Kindle の位置No.2961-2963). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

まず、エネルギー貯蔵とは何かと申しますと、簡単に説明すれば、原油などのエネルギー資源の価格が安い時に購入して備蓄して、価格上昇時には売却するということです。

例えば、日本政府が石油備蓄基地を設立し、1バレル60ドル以下の水準になったら、原油を購入し、1バレル90ドル以上の水準になったら放出することで、民間企業の資源購入額を少なくすればいいということになります。

そうすれば原油価格の高騰による生産費用は増大しにくく、民間企業が供給する物やサービスの価格へ転嫁されにくくなります。

エネルギー価格高騰への対処策は私の頭の中には無かったので、とても参考になりました。

そして、忍耐に関しては、エネルギーや食糧の高騰は10年以上継続するので、忍耐も必要とのことです。

日本人は忍耐強い民族なので、問題はないかと存じます。
急激なエネルギーと食糧価格の高騰さえ何とかなれば、問題はないでしょう。

原油、小麦、大豆などの価格が低下している段階で、大量一括購入して備蓄して、価格高騰に備えるのが妥当でしょう。

これは個人的見解でございますが、日本はエネルギー価格の高騰に対して、省エネ化を推進し、第一次石油危機と第二次石油危機を乗り越えました。

エネルギー価格の高騰は、さらなる省エネ技術の発展にも寄与するかと存じますので、資源価格が低下している場合に大量に購入して備蓄することさえできれば、スタグフレーションは防止可能なのではないかと推察します。

就業保証プログラムには課題がある

私とは微妙に考えが違うでしょうが、島倉も就業保証プログラムについてその有効性を認めながらも実現するには課題があると認めているようです。

まず、 就業保証プログラムはあくまでも最低賃金水準での雇用を提供するものであって、 一定 のスキルによってある程度高い収入を得ている人々の失業 問題を解決するものではありません。

引用元:島倉 原. MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) (Kindle の位置No.2035-2036). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

つまり、就業保証プログラムは低所得者もしくは失業者に対して有効な「最後の雇い手」政策であり、高所得者の失業問題を解決するものではないということです。

誤解を恐れずに言及するならば、日雇い派遣で苦しむ労働者には福音でも、ヘッジファンドマネージャーがリストラされた場合、ヘッジファンドに再就職できるか否かを政府が保証する制度ではありません。

就業保証プログラムへの参加者の数が景気変動によって増減 すれ ば、同プログラムを通じた公共サービスが、安定的に供給できなくなる事態も生じ得ます。

引用元:島倉 原. MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) (Kindle の位置No.2040-2042). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

この点に関しては私も全く同意見です。

例えば、こども食堂を就業保証プログラムの中に組み込み、貧困世帯への食事提供を実施した場合、好景気になってこども食堂を運営する人間が極端に少なくなった場合はどうするのでしょうか。

こども食堂が無くなってしまうと、貧困世帯が飢えてしまい、人々の幸福が削がれてしまい、不安定な社会につながる恐れがございます。

最低賃金水準での仕事に限っても、その分野や職種はある程度多様なものであり、それぞれの仕事で必要とされる人数が、就業希望者のニーズとは大きく乖離することもあり得るでしょう。

引用元:島倉 原. MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) (Kindle の位置No.2045-2047). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

この点に関しても私は同意見です。

失業者のスキルには様々な種類がございますし、どれほど習熟しているのかも千差万別です。

失業者や低所得者の希望に沿う形の就業保証プログラムが見つかるかというと、絶対に一致するとは言い切れません。

そうなると失業者としては、就業保証プログラムに参加したくても参加できない、もしくは参加意欲を失うということにもなり、セーフティネットの意味が薄れてしまいます。

以上です。

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