大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年11月25日(令和元年11月25日)
リライト投稿日時:2021年2月7日(令和3年2月7日)
所有者不明土地を利用している者に課税
土地の所有者に課す固定資産税について、所有者が分からない場合でも、その土地で居住や商売をしている「使用者」に課税できるよう、政府・与党が地方税法を改正する方向で検討していることが24日、分かった。
https://www.sankei.com/economy/news/191124/ecn1911240004-n1.html
高齢化の進行に伴う相続の増加で所有者不明の土地は今後も増えることが予想されており、固定資産税を払わずに土地を使用できるという不公平な現状を放置できなくなった格好だ。
所有者不明の土地の問題に関しては、拙ブログでも時々取り上げているわけなのですが、所有者不明土地の所有者がわからない場合でも、その土地で居住していたり、商売をしている人に課税できるようになりました。
そもそも公共物を利用しておいて、税金を払わないという事例があること自体信じられないのですが、そういったことが横行していたようです。
ただ、固定資産税は資産所有者に行政サービスの対価として課税するという原則があるため、使用者に課税する場合は、戸籍などの調査を尽くした上でも所有者が特定できない場合に限定する。
https://www.sankei.com/economy/news/191124/ecn1911240004-n1.html
戸籍などの調査を尽くしたうえでも所有者が特定できない場合に限定されるので、すぐに使用者に課税されるわけではないようです。
土地の所有者を探しても特定できない場合はどうしようもなかったということのようなので、最悪の状況を回避するという意味合いが強いのだと思いました。
一部所有者だけでも土地売却が可能に
国土交通省と法務省は所有者の全容が分からない土地について、一部の所有者によって売却や賃貸ができる仕組みをつくる。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52281220X11C19A1MM0000/
所有者の所在が分からない「所有者不明土地」を対象とする。売却などの手続きを柔軟にすることで企業や近隣の住民が土地を取得しやすくし、九州本島の面積に相当するとされる所有者不明の土地の活用を進める。
これまでは、所有者不明土地の所有者がすべて判明しないと、土地売却が難しい法制度だったのですが、一部の所有者が判明しているだけでも、土地売却ができるようになり、国土強靭化計画を阻害する可能性が減少しました。
相続登記の義務化
1つは土地・建物の相続登記の義務化だ。登記は現在任意で申請期限もないが、改正案では相続開始から3年以内に登記することを義務付ける。
引用元:相続空き家、放置は禁物 登記義務化23年度にも
期限内に登記せず、督促にも応じない場合は10万円以下の過料とする。
不動産売買の所有権移転では登記が義務ではないのに比べ「異例の厳しい措置」と弁護士の上柳敏郎氏は話す。
不動産の所有者が住所などを変えた場合も2年以内の登記を義務付け、応じないと5万円以下の過料がかかるようにする方針だ。
土地・建物の相続登記の義務化が実現する可能性がございまして、現在は任意で申請期限もないらしく(そもそもそれは駄目だろうって話なのですがね・・・)法律の改正案で3年以内に登記しないと過料なのだそうです。
不動産売買によって、所有者が変更される場合も登記が義務ではない(それも駄目だろうって話なのですがね・・・)のですが、義務化され、義務違反で過料になる予定です。
私個人としては不動産売買や不動産相続による登記義務違反の場合は懲役刑でもおかしくはないと思います。
なぜかと申しますと、土地や不動産という公共財が付随した財産の所有権は明確にしないと争いの元になるからです。
あまりにも過激な刑罰を科すと、様々な人々から反発の声が出てきてしまうので、過料というところに落ち着いたのではないかと推察します。
遺産分割協議に期限を設ける
2つ目のポイントは遺産分割協議に期間を設けること。
引用元:相続空き家、放置は禁物 登記義務化23年度にも
亡くなった人の遺言がない場合、相続人は話し合いで「誰がどの財産をどれだけ相続するか」を決める必要がある。
(中略)
改正案は相続開始から10年を過ぎると原則として法定相続割合で分けるようにする。
「相続人が希望しなくても法定相続分の土地を持たされる可能性がある」と司法書士の船橋幹男氏は話す。
空き家を相続する場合、当然のことながら遺産という扱いになりますから、遺産分割協議をする必要がございます。
ただ、その遺産分割協議が進まないまま、空き家として放置されてしまうということがあるようなので、原則として10年という期限を設け、それでも決まらない場合は法定相続割合で分けることになるようです。
相続人が希望しなくても土地や建物を持たされる可能性があります。
したがって、固定資産税を支払うリスクがいきなり降りかかるという可能性もゼロではありません。
日本政府に土地所有権を引き取ってもらえるかもしれない
3つ目は「土地所有権の国庫帰属制度」の新設。
引用元:相続空き家、放置は禁物 登記義務化23年度にも
相続人が不要と判断した土地を国が引き取る仕組みで、相続人は10年分の管理費を払う。
売却や賃貸も困難な市場価値の乏しい不動産を抱える相続人のニーズは強いとみられる。
土地や空き家が売れない、貸せない、利活用できないという場合で、負動産という状態になっていた場合、国庫に帰属させるような制度を新設させるようです。
これでかなりの土地所有権が不明であるという状態を解消できるのではないかと個人的には期待しております。
首都圏以外に在住している方であれば検討の余地ありなのではないでしょうか。
登記官の権限が強化される
そんな中、所有者不明の土地を一定の条件を満たせば売却できる法律が成立しました。
日経新聞電子版の記事から一部引用させていただきます。
登記官に旧土地台帳を調査する権限などを与え、所有者がわかれば登記官が登記を変更できる。調べてもわからなければ、土地を利用したい自治体や企業の申し立てで裁判所が管理者を選び、売却できるようにする。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44919200X10C19A5EA3000/
登記官の権限が強くなり、登記官が登記を変更できると?
これは画期的ですね。
あまりにも私権が強いため、登記変更できないのが問題でした。
土地を利用したい自治体や企業の申し立てで裁判所が管理者を選定し、売却できれば、駅前開発で所有者不明だから開発できないということは無くなるでしょうし、公共投資で土地を利用したい場合にも解決方法ができたことになります。
ただ、問題がございまして、この法律によって解決可能な土地は全国の1%にとどまるとのこと。
抜本解決には至らないということのようです。
やはり、所有権の放棄のための制度設計と相続登記の義務化、それに伴う罰則の強化が急務であると言えましょう。
そのための法律が整備されるということで嬉しい限りです。
以上です。