
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2026年8月16日(令和8年8月16日)
本当にご無沙汰しております。
公私ともに多忙を極めているのですが、昨日と今日についてはかなり時間的余裕がありました。
その結果、政策研究に着手することができて、大変満足しております。
本日は、その政策研究の一部を備忘録的にまとめましたので、皆様にもご報告します。
三橋貴明氏の主張には間違いがあるのでは
わたくしは、現在の日本がBI(ベーシック・インカム)を導入することについては反対していますが、理由の一つが、
「BIを利用し、給与を削減しようとしてくる経営者が絶対に多数、出てくる」
ためです。(自粛要請に対する給付金、休業補償は当然「繰り返し」やるべきで、あくまで一般的なBIの話ね。私有財産権の侵害と一緒にしないで)「きみさあ、BIを5万円もらっているんだよね。じゃあ、給与を5万円下げても生活できるよね」
というわけでございますね。
引用元:新世紀のビッグブラザーへ「公務員給与を犠牲の祭壇に捧げるな!」より
2020年4月の記事ではございますが、三橋貴明氏(以下敬称略)が上記のように主張しています。
それは無理筋の批判なのではないかというのが、私の率直な意見なのです。
しかしながら、それはかなり感覚的なものであり、政策研究した結果ではありません。
したがって、ベーシックインカムによる給与削減懸念という問題に取り組むべきと以前から考えておりました。
結論から申し上げれば、労働市場における需給関係、最低賃金法、労働契約法、労働基準法という観点から、給与削減は心配無用と考えます。
なぜそのような結論に至ったのか、それを説明するために、丁寧に説明したいと思います。
復習:ベーシックインカムの定義とは
本記事の前提条件であるuematu tubasaが主張するユニバーサル・ベーシックインカムを定義していきたいと思います。
ユニバーサル・ベーシックインカムとは、すべての国民に対して定額のお金を定期的に支給する政策です。
政策目的は相対的貧困の最小化と格差是正となります。
ベーシックインカム推進の国際機関であるベーシックインカムアースネットワーク (BIEN) はベーシックインカムの定義を公開しました。
※参考記事:https://basicincome.org/news/2016/10/international-biens-clarification-ubi/
簡単にまとめると以下の通りになります。
1、定期的 (Periodic): 一定の間隔で支払われる (例えば毎月ごと)。1回限りではない。
2、現金給付 (Cash payment): 交換に適しており、受領者が何に費やすか決定できるものによって支払われる。
つまり、食べ物やサービス、特定の用途に限られた引換券などは該当しない。
3、個人向け (Individual): 個人に支払われる。世帯への給付ではない。
4、普遍的 (Universal): 資産調査なしにすべての人に支払われる。
5、無条件 (Unconditional): 労働要件や働く意思の実証なしに支払われる。
上記に該当するのが定義上はベーシックインカムとなります。
反逆する武士流のベーシックインカムとは
私の主張するユニバーサル・ベーシックインカムには、以下の条件をさらに付与します。
6、ベーシックインカムの財源として、税金を創設、税率の引き上げ、既存の社会保障の削減は行わない。
7、ベーシックインカムとして支給した現金は所得税の課税対象に含まれる。
8、ベーシックインカムの支給対象は日本国民に限られる。
9、ベーシックインカムの支給額は国民1人当たり月額5万円として、社会的影響を鑑み増減することは有り得る。
10、服役中はベーシックインカムの支給を停止する。
おそらく、拙ブログをご覧の皆様であれば、上記の内容はご理解いただけると思います。
それでは本題に入りましょう。
労働市場の供給と需要のバランスで給与削減が悪手になる
反逆する武士流のベーシックインカムを導入された場合、労働市場にどのような影響が出るのでしょうか。
私は、正社員が労働市場から退出するのは考えにくいが、アルバイトやパート労働者の2割から5割近くは退出すると考えています。
それは労働市場における供給が低下することを意味します。
さらに言えば、反逆する武士流のベーシックインカムで物やサービスの需要が増え、それに伴い労働需要は増えます。
簡単に言えば、人手不足は加速するということです。
居酒屋で例えるとわかりやすいです。
居酒屋で、アルバイトやパート労働者で何とか運営していたとして、月額5万円の支給が決定したら、どうなるでしょうか。
アルバイトやパート労働者が居酒屋での労働を辞め、居酒屋でお客様として飲み食いするようなものです。
さて、上記のようなことが全国津々浦々で同時発生したら、どうなるでしょうか。
給与水準の引き上げ、非正規雇用を正規雇用として切り替えるなどと言ったことはあり得ても、給与削減となるでしょうか。
そのようなことは通常考えられません。
もし、給与削減をしたら、アルバイトやパート労働などといった非正規労働者だけでなく、正規雇用者すら一気に辞めますよ。
それは経営としては控えめに見積もって大打撃ですし、最悪の場合、人手不足倒産に陥ります。
三橋貴明は敏腕経営者という側面もお持ちなので、それぐらいは容易に想像できると思うのですが。
フリーランスや自営業の方も同様で、ベーシックインカムがあるのだから物やサービスを安くしてくれと言われたら鼻で笑われますよ。
Webデザイナーがクライアントにそんなこと言われたら、信頼関係は崩壊し、仕事を受注しなくなるでしょう。
農家の方々が一般のお客さんにベーシックインカムがあるのだから、野菜を安くしてくれ、無償で譲ってくれって言われたら、売ってくれるわけありません。
ベーシックインカムがあるのだから、むしろ仕事は増えていて、生産者有利なのに何を言っているのかとトラブルになります。
最低賃金法違反になる可能性を考慮しているのか
労働市場の供給と需要が逼迫し、むしろ給与増額もしくは雇用の質の改善になるという話をしました。
その他の観点でも、ベーシックインカムでの給与削減は考えにくいと言える根拠がございます。
それが最低賃金法違反になる可能性です。
最低賃金はどの程度の賃金水準なのかという点については以下を参照していただければ幸いです。
※厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
簡単に説明しますと、令和7年10月以降、東京都の最低賃金は1126円となっております。
計算しやすいように、ある一人の東京都内で働く労働者の時給を1250円と想定します。
1250 × 8(1日の労働時間) × 20日(1か月の稼働日)=20万円となります。
反逆する武士流のベーシックインカムでは月額5万円ですので、ここから5万円を差し引くということになります。
明らかな最低賃金法違反となってしまいます。
我が国日本においては、三橋貴明のような経営者ではなく、最低賃金と同様の水準で働いている労働者は一定数存在しています。
そういった労働者は、最低賃金法で守られており、さらに政府の賃上げ方針を受け、最低賃金の引き上げは加速しています。
青森県の最低賃金の引き上げ率は8%で、東京都は5.4%なので、地域間の最低賃金の格差の是正に動いている模様なのです。
最低賃金法が機能している我が国日本でベーシックインカムによる給与削減となりますでしょうか。
三橋貴明が最低賃金法というものをご存じ無い、または最低賃金未満の給与水準で部下を働かせる無慈悲な経営者なのでしょうか。
そんなことは断じてないでしょう。
ベーシックインカムについて真剣に検討した上で、批判しているわけではなく、短絡的な思い付きの批判をしたとしか解釈できません。
給与水準とは労働契約に基づくという基本的なお話
また別観点で、ベーシックインカムによる給与削減という話を考えてみましょう。
私のように、最低賃金よりはかなり多めの賃金水準であり、正社員として働いている方の給与水準、福利厚生、賞与は削減されるのでしょうか。
それも考えにくいと私個人は考えています。
なぜならば、労働契約法に以下のような条文があるからです。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。(中略)
(就業規則違反の労働契約)
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。引用元:労働契約法
要するに、原則的には労働者の不利益になるような労働条件の変更はできません。
参考記事:賃金引き下げによる労働条件の変更について
仮にできたとしても労働者側と使用者側の合意があって、その理由は合理的であらねばならないということなのです。
例えばなのですが、会社の経営が傾いており、経営者の役員報酬を引き下げなどの様々な努力をした会社があるとします。
それでも経営危機から脱却できず、労働者の給与を削減しないと会社が倒産するということを労働者側に丁寧に説明して合意して初めて可能なのです。
したがって、ベーシックインカムの導入が賃下げの合理的な理由とはならず、現行法だけでも無効となります。
さらに言えば、ベーシックインカムの導入のときの法律、仮に国民基礎所得基本法と呼称しますが、そこに条文を追加すれば問題なしです。
「基礎所得の支給を理由として労働者に不利益になるような労働契約の変更、就業規則の変更を禁止する」
「上記条文に違反した者には、10年以上20年以下の懲役、または1000万円以上3000万円以下の罰金を科す」
もちろん、上記の罰則に関しては今後も検討する必要はありとは言え、厳罰に処すのが妥当と考えます。
福利厚生に関しても、労働契約の内容に含まれます。
賞与に関しては、よほど企業業績が悪い場合は減額や無支給ということもあるでしょう。
しかしながら、賞与とは通常、給与の何か月分などと規定されている場合が多いです。
したがって、それをベーシックインカムを理由として引き下げるとなれば、裁判で敗北は必至でしょう。
労働基準法で賃下げの限度額は決まっている
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
引用元:労働基準法
さらに言えば、労働基準法においても賃下げの限度額が規定されております。
仮に、経営者が従業員すべてに対して、就業規則に基づき、ベーシックインカムの支給分だけ減給の制裁を行ったとしましょう。
それはどれほど給与を引き下げるのかという問題も絡みますが、労働基準法違反になるかもしれません。
当然のことながら、従業員に対する制裁という建前がある以上、従業員からの反発はもの凄いことになります。
したがって、これが経営危機の引き金になるかもしれません。
ベーシックインカムでの給与削減を実施したら、最悪の場合・・・
以上のことから、法律的な観点から、様々検討しましたが、明らかにベーシックインカムを理由とした減給は厳しいでしょう。
しかも、労働者には職業選択の自由がありますので、とんでもない経営者には辞表を叩きつけることができます。
最悪の場合、最低賃金法に違反、労働契約法に違反、労働基準法に違反という三重苦に陥る可能性があります。
さらに言えば、これほどSNSが発達した世の中において、労働者を苦しめる企業というだけで一気に批判が殺到します。
労働者の賃金や待遇に関する法律に違反しているというだけでも相当程度企業イメージは悪くなります。
新規採用は極端に難しくなりますよ。
物やサービスを売ろうとしてもボイコットされるかもしれません。
取引先から取引停止を突き付けられる可能性もあります。
それも抑止力として機能するのではないでしょうか。
以上です。