大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年2月6日(令和2年2月6日)
河合範安様のご意見を頂戴して「派遣」について考えてみた
本日は、進撃の庶民の寄稿ブロガー河合範安様の「派遣」に関するご意見について、考えてみたことを簡潔にまとめました。議論を喚起したいと思い、記事を作成しました。
※ご意見ご感想をお待ちしております。
河合様は民間企業の派遣業を全て禁止して、派遣を公共部門で扱うべきと主張されています。
その理由については、以下3つにまとめることができます。
1、ピンハネ、つまりは労働者を派遣することによって派遣先企業から得られる報酬を十分に分配しないということが横行しており、それらを無くすため。
2、公共派遣で労働者を一元管理することにより、企業と労働者のミスマッチを無くせるから。
3、公共派遣に登録した労働者は、職業訓練と充実した社会保障を受けられるから。
河合様のご意見を簡潔にまとめると上記のようになるのではないかと存じます。
以下、上記の認識でお話を進めていきたいと思います。
※間違っていたならば、ご指摘いただければ幸いに存じます。
派遣業とは労働需給の調整弁として機能している
まず、河合様のご意見に対する賛否を明確にする前に、基本的な認識を提示できればと思います。
そもそも派遣業とは「労働需給の調整弁として機能しているので、民間企業においては一般的に受け入れられている」と考えています。
例えば、IT企業におけるソフトウェア開発に関して申し上げます。
とある企業Aにおいては、ソフトウェア開発案件を多数抱えており、ITエンジニアが圧倒的に足らない状況になっております。
とある企業Bにおいては、ソフトウェア開発案件が終了してしまい、次期案件の受注に失敗してしまったので、ITエンジニアが圧倒的に余剰している状況になっております。
仮に、派遣業というものが完全に禁止することになったら、とある企業Aはソフトウェア開発に着手することすらできず、納品もできず、収益を上げることができません。
とある企業Bは次期案件が無いために、人員を抱え過ぎて人件費が多くなり、収益が一気に悪化してしまいます。
派遣業が存在するのであれば、普段から派遣労働者を受け入れておけば、ソフトウェア開発に必要な人員に応じて、
派遣労働者の受け入れ数を調整することによって、常に最適な労働力を確保して、ソフトウェア開発をすることが可能になります。
もちろん、派遣業を全部肯定するわけではございませんが、上記のような企業側のメリットが存在していることは事実なのではないかと思います。
派遣業には、正規雇用の派遣と非正規雇用の派遣に分かれる
IT企業A(派遣元)に所属する正規雇用労働者が別のIT企業B(派遣先)の現場配属されたり、受け入れたりということがございます。
この場合、派遣元に所属する正規雇用労働者の派遣先が決まらなかった場合でも、派遣元は原則として雇用を維持することになるため、雇用が不安定化するということは考えにくいと思います。
ただ、その他の非正規雇用労働者であれば、働いたらその分の賃金を受け取ることができますが、派遣先が無い場合は、簡単に失業してしまうので、極めて労働者に不利になってしまいます。
公共派遣ではなく、民間派遣に対する規制を強化することで対応可
上記のような基本認識の下、公共派遣に対して賛成か反対かと言われれば、現時点では反対せざるを得ません。
理由は2つございます。
1、民間派遣に対する規制を強化することで対応する方が混乱が少なく、現実的だから。
2、公共派遣が機能するのか不明だから
まず、1に関して説明させていただきますと、民間派遣におけるデメリットを規制強化によって解消することができるのではないかと思います。
まず、非正規雇用の派遣を禁止して、正規雇用でなおかつ専門職の派遣のみに限定することで、専門職以外の一般的な職種においては直接的に雇用しなければならないようにすれば、そもそもピンハネすることは無くなります。
※ちなみに本記事において、人材派遣における専門職とは、専門26種のことを指します。
ソフトウェア開発 ・機械設計 ・放送機器等操作 ・放送番組等演出 ・事務用機器操作 ・翻訳・通訳、速記 ・秘書 ・ファイリング ・調査 ・財務処理 ・取引文書作成 ・デモンストレーション ・添乗 ・建築物清掃 ・建築設備運転点検・整備 ・案内・受付、駐車場管理等 ・研究開発 ・事業の実施体制等の企画・立案 ・書籍等の制作・編集 ・広告デザイン ・インテリアコーディネーター ・アナウンサー ・OAインストラクション ・テレマーケティングの営業 ・セールスエンジニアリングの営業 ・放送番組等における大道具・小道具スタッフ
参考:政令で定める26業務
また、専門職の派遣に関しても労働分配率の下限を設定することによって、派遣労働者に十分に給与が支払われることになります。
例えば、労働分配率の下限を85%と設定するだけでも効果があるのではないでしょうか。
社会保障と職業訓練に関しても規制を強化して、派遣元企業が正規雇用の派遣労働者に対して、職業訓練の実施と社会保障と福利厚生を義務付ければ特に問題ないのではないかと。
専門職以外の派遣を禁止することに関して、ある程度の猶予期間(例えば3年間など)を設定し、
一般職の派遣社員はできるだけ派遣先企業の正社員になれるように政府が後押しして、混乱を招かないように留意する必要はあるかと思います。
2に関して説明すると、河合様のご意見だと、民間派遣を完全に禁止して、派遣元会社の運営者は公務員とするということですが、公務員になることを不服とする方も多いのではないでしょうか。
※どれくらいの公務員待遇にするのかという議論にもなるかと思います。
公共派遣の運営者を誰がどのような基準で人事査定して、給料や待遇をどのように定めるのでしょうか。
こういった制度的なところを明示していない段階では公共派遣に賛同できません。
さらに言えば、公共派遣が制度的に確立したとしても、元は別々の派遣元企業に在籍していた派遣元の運営者が協調して労働者を最適に民間企業に派遣できるのか不明です。
勤怠管理、派遣先との労働条件や派遣料の交渉、人材評価などを公共部門が効率的に行えますでしょうか。
民間派遣業という民間のビジネスを完全に国有化するということですから、派遣元企業の経営陣の反発が予想され、訴訟問題に発展する可能性がございます。
※派遣元企業が株式会社だったら、株式が紙くずになる可能性もございます。
派遣業が悪いのではない、正規雇用が増えないことが悪い
上記は進撃の庶民にアップロードした記事です。
以上です。