大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年2月7日(令和2年2月7日)
緊縮リベラルの本「貧困を救えない国 日本 」
以下において、Amazon.co.jpから内容紹介文を引用させていただきます。
日本の相対的貧困率は15.7%(2015年。相対的貧困とは、2015年現在では手取りの年間所得が一人暮らしの世帯で122万円以下、4人世帯で244万円以下の世帯を指す)。
引用元: 貧困を救えない国 日本
人数で言えば1900万人以上にも上るが、日本には本当の貧困なんてないと言う人もいる。そんな人にこそ伝えたい現実がある。
一時的にせよ「飢えた」状態に置かれてしまい、万引きをしなければ食べ物にありつけない貧困家庭の子どもは少なくないのだ。
本書では貧困問題のリアルと本質について、社会調査とデータのエキスパートと、貧困家庭の現場を徹底して見聞きしてきたライターが語り合う。貧困への無理解に対抗するための本音対談。
●欧州はなぜ社会福祉が整備されているのか
●新築の家などの『強制出費』は罪が重い
●貧困家庭の冷蔵庫はものでいっぱい。
ただし、賞味期限切れの食べ物ばかり
●地方の若者の刹那主義
●なぜ貧困を放置してはいけないのか
●貧困対策を徹底的に考える
●政治家も官僚も、世論を恐れている
総合評価:★★★☆☆星3つ
まず、率直な感想を申し上げます。
緊縮リベラルの極致と言い切っていいと思います。
貧困問題に関する視座、貧困問題を深刻に取られる惻隠の情というところはとても良いと思いますが、いかんせん解決策が消費増税ですから、がっかりです。
消費税をアップしなくちゃいけない?
もちろん消費税アップだけだと低所得層の方々たちが辛いことになるし、批判がたくさん出てくるでしょう。
引用元:阿部彩;鈴木大介. 貧困を救えない国日本 (PHP新書)(Kindleの位置No.2594-2597).株式会社PHP研究所.Kindle版
私は所得税などもアップする必要あると思います。でも、所得税などのアップだけでは、絶対に足りない。
なので、消費税もアップしなきゃいけない。
貧困を救えない国 日本 を読んでいくとご理解いただけると思うのですが、財政学的な考察がほとんどないのです。
日本財政は火の車であるというところが前提となっているようなのです。
そりゃこの著者のような緊縮リベラルが安倍自民党の対抗馬だったならば、貧困を救えないでしょう。
あえて消費税に関して申し上げるならば、この著者は高齢者は所得税を払っていない、したがって、高齢者から徴税するためには消費税が必要であり、消費税率を引き上げるべきと主張しているのです。
高齢者と言っても所得が多い人もいれば、所得が少ない方もいて、大部分が年金を受給しております。
さらに資産を保有している方もいれば、全く預貯金が無い方もいます。
高齢者を狙い撃ちした徴税というのはどう考えても筋が悪いと言えます。
貧困撲滅のために、貧困層の高齢者を苦しめる消費税を引き上げて何をしたいのか理解できません。
公務員増員を提案するのは素晴らしい
今の福祉事務所の人員を二倍にして、ケースワーカーの専門家を増やしましょう、となるので、また公務員を増やさなきゃいけないというところに話が行きますね。
阿部 彩; 鈴木 大介. 貧困を救えない国日本 (PHP新書) (Kindle の位置No.2799-2800). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.
簡潔に説明しますと、福祉事務所とかケースワーカーと呼ばれる貧困対策の専門家が足りないし、人材の質が悪いという話になり、それでは貧困に喘ぐ人を救うことができないという話がございます。
そういった現状を 貧困を救えない国日本 では説明しつつ、その対策として人員を増やし、公務員を増やさなければならないという結論になっています。
昨今の公務員削減の風潮に異議を唱えているのは素晴らしいと感じました。
勉強の苦手な子に勉強を教える意味
中高生に学習支援をしているキズキ共育塾の安田祐輔さんという方がいらっしゃるのですが、先日お会いしたとき「勉強が苦手な子とか、その後の人生で勉強がそんなに必要ではない子のケアに学習支援がなぜ必要なのか」との質問に、成功体験の記憶を残すため、と答えてくれて、ずいぶん腑に落ちました。
阿部彩;鈴木大介. 貧困を救えない国日本 (PHP新書)(Kindleの位置No.3044-3047).株式会社PHP研究所.Kindle版.
貧困を救えない国日本 の中で、自治体などによる学習支援が行われていることに何度も触れられていますが、勉強が苦手な子に学習させる意味があるのか私も理解できませんでした。
学習によって成功体験の記憶を残し、人生を肯定的なものにするためには必要なことなのではないでしょうか。
ある意味自殺防止のため、人生に希望を持つために必要なことなのだと思います。
精神科を生活保護の窓口に
では、どうしたらいいか。
阿部彩;鈴木大介. 貧困を救えない国日本 (PHP新書)(Kindleの位置No.3324-3327).株式会社PHP研究所.Kindle版.
とにかく窓口を増やすべきです。
窓口になりえる場所はたくさんありますが、その筆頭は精神科ですよね。
現状、精神科の先生が生活保護についての知識を全然持っていないというケースばかりで、それはあり得ないこととして改善していかなきゃいけない。
生活保護の捕捉率を上昇させるために、精神科を生活保護の窓口にする必要があるのではないかという提言がございます。
生活保護受給や社会保障の受給というのは、どうしてもヒアリングが必要になってきてしまいます。
簡潔に言えば、なぜ社会保障や生活保護を受給するような状況になったのかをその本人から聞き取りするのですが、受給者としてはそれを聞かれることそのものが言葉の暴力なのだそうです。
さらに、地方自治体の窓口では生活保護をシャットアウトしているところもございますので、精神科を窓口にして、精神的に病んでいる人で心のケアを最大限行いつつ、生活保護を受給できるようにするべきとのことです。
アウトローな感じは出さない方がよかった
一度、エレベーターに駆け込んだら、エレベーターに「急な乗車はおやめください」ってアナウンスされて、「機械にまで、注意されたくないわ!」と叫んでしまったことあります。
阿部彩;鈴木大介. 貧困を救えない国日本 (PHP新書)(Kindleの位置No.1088-1090).株式会社PHP研究所.Kindle版.
周りの人たちから驚かれましたけど。
貧困を救えない国日本 では、日本とアメリカで許容される「常識」の違いがあり、あまりにも日本はその「常識」の幅が狭いのではないかというお話がございました。
詳細は実際に読んでいただきたいのですが、その主張自体は理解できます。
しかしながら、上記のような文章を掲載するべきではなかったと思います。
日本社会に馴染めないアウトローな人が貧困に対して冷淡な日本に毒を吐いていると解釈されてしまい、反射的に嫌悪感を持つ人も多いと思います。
実際、日本ではアナウンスや注意喚起が多いですけれども、危険な行為を抑止し、できるだけ安全な生活を営むために必要なことですから、やむを得ないと飲み込む必要がございます。
大人になり切れていない人間が騒いでいると低評価を受けるのではないかと危惧しています。
以上です。