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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年6月3日(令和元年6月3日)
中国の包商銀行が破綻寸前で国有化される
日経新聞電子版の報道によると、中国の包商銀行が破綻寸前になってしまったため、中国当局に接収されることになりました。
期限は1年間とのことです。
事実上の国有化と言っていいでしょう。
重大な信用リスクが発生しそうになったためとのことです。
参考URL: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45251560U9A520C1I00000/
包商銀行が破綻したら、他の金融機関が連鎖破綻する可能性があったと解釈するのが妥当だと思います。
地獄への入り口が見えてしまったので、国有化に踏み切ったと言えます。
中国人民銀行は資金供給を強化
上記のような事態を他の民間金融機関はしっかりと情報収集しており、疑心暗鬼に陥っています。
他の金融機関に資金を融通したとしても、実質破綻するのであれば、資金を改修することができなくなるかもしれないからです。
したがって、短期の資金調達コストが徐々に上昇しています。
このような事態をただ座して見ているような中国ではありません。
中国人民銀行(中国の中央銀行)は市場にお金をどんどん供給し、民間金融機関の資金調達を手助けするように振舞っています。
参考URL: https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-29/PS8XSL6JIJUO01
中国企業の相互債務保証が連鎖破綻の原因になる
中国企業が民間金融機関から融資を受ける場合、他の企業による債務保証をしてもらう必要がございます。
それが、中国経済の連鎖破綻を誘発するような仕組みに発展してしまったのです。
例えば、中国においてAという企業とBという企業が存在し、Aがとある銀行から融資を受けるため、Bにも債務保証をしてもらうようにしたとします。
仮にAがお金を返すことができなかったら、Bからお金を取り立てることができるような仕組みを融資の際にすでに作っておくのです。
このような場合、BにAの債務を肩代わりできるだけの資金的な余裕があればいいのですが、それが無い場合、一気に不良債権問題が深刻化します。
さらに申し上げれば、そのような肩代わりできない企業の発生による不良債権が慢性的に発生すると、AやBに融資していた金融機関が破綻する可能性が高まってしまうのです。
これが連鎖破綻の真実なのです。
しかも、中国の場合、シャドーバンキングや個人金融(中国人から直接資金調達する)が発展しているので、より一層事態が見えにくく、リスクも見えにくいことになっています。
参考URL: https://jp.reuters.com/article/china-guarentee-tangle-idJPKCN1Q20CV
どの企業が健全な経営をしていて、どの銀行が破綻するのか、全く想定できないという事態になっているのです。
中国経済の真の恐ろしさがここにあります。
中国人民銀行はお金を大規模に供給するしかない
このような事態はすでに中国人民銀行はわかっているでしょう。
したがって、不良債権を買い取ったり、民間金融機関を事実上国有化するという荒業を持って、この事態に対処しようとしています。
私個人の意見ですが、その対処方法は正しいと思います。
民間金融の連鎖破綻が金融危機を招くぐらいなら、背に腹は代えられないでしょう。
ただ、副作用がとんでもないことになるかもしれません。
参考URL: https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-29/PS8XSL6JIJUO01
中国のようにインフレ経済下であれば、公的資金の供給や買いオペはインフレを助長します。
インフレにより、貧しい中国人民の生活はどんどん苦しくなってしまいます。
財政出動によるインフレではなく、金融緩和によるインフレなので、中国人民の所得が増えた結果のインフレではないからです。
また、元をどんどん刷ることになりますから、元が対ドルにおいて下落します。
アメリカから輸入する商品の値段が上がり、ますますインフレになります。
元安になると、資金逃避が発生し、元安が元安を呼ぶという事態に発展するかもしれません。
例えば、1ドル6元から、7元にまで元安になったとすると、このままお金を「元」に換えたままでは、そのお金の価値が減少し続けてしまうと投資家が判断して、資金を引き揚げてしまうかもしれないのです。
これをキャピタル・フライトと言います。
中国の最低賃金の伸び率は鈍化傾向
北京市人力資源社会保障局は5月10日、「北京市の2019年の最低賃金基準の調整に関する通知」(京人社労発[2019]71号)を発表した。7月1日から北京市の正社員(全日制労働者)の最低賃金基準が、月額2,120元から2,200元(約3万5,200円、1元=約16円)に引き上げられる。上昇率は3.8%で、2018年の6.0%を下回った。時給換算では、12.18元から12.64元に引き上げられることとなる。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/1922a6fb3414bcbb.html
インフレの悪影響を緩和するためにも、北京市は最低賃金水準を引き上げましたが、経済成長率の鈍化に伴い、伸び率が鈍化しました。
ジェトロからご紹介させていただきました。
最低賃金水準を引き上げて、そしてそれを遵守させねば、人民の不満が中国共産党に向かう可能性が高まると思われます。
しかも驚くべきことがあります。
最低賃金が適用されない場合あるというのです。
この最低賃金には、次の4つは含まれない。(1)「中班」(昼過ぎから夜にかけての勤務)、夜勤、高温、低温、地下、有毒有害物などの特殊な作業環境・条件下での手当、(2)残業、時間外賃金、(3)社会保険料と住宅積立金の個人負担分、(4)国と北京市の規定により最低賃金に計上しないと決められたその他の収入。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/1922a6fb3414bcbb.html
最低賃金をしっかりと適用させねばならない労働が上記において記載されています。
にもかかわらず、最低賃金の適用外となるということのようでして。
中国は本当に怖ろしい原始資本主義国家の様相を呈してきました。
一番都会である北京市ですら、このような有様ですから、地方や内陸部はどうなっていることやら。
以上です。