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反逆する武士

現代貨幣理論

井上智洋氏『MMT現代貨幣理論とは何か』を読んでみたら勉強になる

投稿日:

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年12月20日(令和元年12月20日)

※昨日は大変失礼しました。
wordpressに翻弄されてしまいました。
近日中に、昨日の記事は復元したいと思います。

井上智洋氏の現代貨幣理論書が発売

先日、井上智洋氏(以下敬称略)の現代貨幣理論の入門書が発売になりました。
MMT 現代貨幣理論とは何か という題名で、島倉氏の著作とだだかぶりの題名になっています。

以下、Amazonサイトに掲載されている紹介文を掲載したいと思います。

いま世界の政治、ビジネス、経済論壇を席巻する現代貨幣理論(Modern Monetary Theory=MMT)について、知るべきことがすべて、これ1冊で、明快にわかる!

日本が/世界が変わる “異端”の経済学、最良の入門書。

「財政破綻の危機」は幻想か?
政府はどこまで借金ができるのか?

経済のマクロな仕組みの初歩から貨幣というものの本質論まで、
標準的な経済学の理論もふまえてMMTを中立的に分析。

ベストセラー『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』によって、AIによる雇用危機の可能性を提起、社会現象を惹起した、

日本でいまもっとも注目される経済学者のひとりである著者が、MMTが日本が長期低迷から脱するための理論となりうるか否かを明快に解説。

さらには、「すべての人々のための貨幣制度」を展望する意欲作!

以上、Amazonサイトからの紹介文の掲載を終了します。

現代貨幣理論を異端の経済学と紹介している段階で、あまりにも不誠実だと言えなくもないですが、本を売るためには仕方ないことなのかもしれません。

現代貨幣理論の”租税貨幣論”を適切に説明している

井上智洋は現代貨幣理論において、中立的な立場から論じるとはしながらも、現代貨幣理論の租税貨幣論を簡潔に説明しています。

租税貨幣論とは、金属などの商品との交換が約束されていない貨幣がなぜ民間経済において流通しているのかという問いへの回答として、税金を納めることができるから価値があり、民間経済で流通しているという理論です。

いわゆる商品貨幣論では、金属や何らかの商品と交換が約束されていない不換紙幣が民間経済で流通していることを説明できないのです。

何にも役に立たない(経済学的に言えば、効用がない)紙切れになぜ人々は価値があると信じて、物やサービスを購入するときの手段として利用しているのか説明できないのです。

井上智洋はモズラーの名刺の話を紹介し、租税こそが貨幣を動かす原動力なのだと説明します。

逆に言うと、租税の目的は貨幣を流通させるためにこそあります。
そのような貨幣の有様を指してMMTは「タックス・ドリブン・マネー(租税駆動型貨幣)」と言っています。
租税が貨幣の価値を保証するという見解は格別変わったものではありませんが、MMTは「租税の目的は貨幣の価値を保証することにある」と主張する点において独自性があります。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58617?page=4

素直に頭に入ってくるお話で、初心者向けに嚙み砕いて説明しているところが好印象です。

就業保証プログラムは裁量余地が少ない

JGPは、政治家や官僚の裁量にゆだねずに、自動的に景気の波を抑制できるという点において、伝統的なケインズ政策(マクロ経済政策)とは異なっています。

井上智洋. MMT 現代貨幣理論とは何か (講談社選書メチエ) (Kindle の位置No.1154-1155). 講談社. Kindle 版.

まず、井上智洋はJGPを就業保証プログラムではなく、雇用保障プログラムと言い換えて、ビルトインスタビライザーとして、好景気にはJGPに参加する人間が少なくなり、不景気にはJGPに参加する人が多くなると主張しています。

これは裁量的な(国会で議決されるなど)財政出動などとは別で、ルールに基づいた完全雇用へ近づけるための政策なのだと主張しています。

ある意味、人間は経済政策において誤りを犯すから、ルールで決めてしまえということであり、政府支出を一定水準に規制するマーストリヒト条約と同じ匂いがします。

こういったことに気付かなかったのは、私も盲点でした。
私はこういった裁量的な余地がない、予めルールで決められた政策を否定するわけではありません。

しかしながら、現代貨幣理論を支持する経済学者が裁量的な政府支出を否定するならば、断固批判しなければなりませんし、就業保証プログラムだけで経済政策は事足りるというのであれば、反論することになります。

我が国日本が抱える内外の問題を正しく認識し、そのために公共財が必要ならば、それを民間企業に生産してもらって、調達しなければなりませんし、民間企業の投資を活性化するためにも、税制改正をしなけばなりません。

完全雇用を達成すればそれだけで問題ないというのは、国家の役割を全く理解していないといわざるを得ません。
※現代貨幣理論では、政策面において意見が異なる余地があるとのこと

井上智洋はAIとBIの信奉者

生活保護は捕捉率(受給されるべき人のうち実際に受給されている人の割合)が2割ほどしかなく、残り8割ほどの人は、給付を受けられずに貧しい生活を強いられています。
また、生活保護には、労働して収入を得ると受給額をかなり減らされるので労働のインセンティブをもちにくく、「貧困の罠」から脱却し難いという欠点があります。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58618?page=4

井上智洋はAIによる生産性の向上により、大量に雇用が失われる事態を想定しており、ベーシックインカムに賛成しています。

私も大筋では賛成します。
上記の引用部分の通りで、BIに頼らず、社会保障を充実させるのであれば、生活保護を充実させるべきですが、捕捉率が低いという問題があります。

生活保護を受給するレベルで貧困なのに、生活保護を受給していない世帯の割合が多いということです。
これは社会保障の充実だけで解決できる問題ではありません。

さらに言えば、生活保護は働いたら、受給額を減らされるので、労働のインセンティブを持ちにくく、貧困状態からの脱却が難しいのです。

であれば、最低限のお金を直接給付して、あとは働くように促すべきではないでしょうか。

そのためには、裁量的な政府支出やJGP、最低賃金の引き上げなどに積極的に取り組みべきです。

以上のように、ちょっと亜流な現代貨幣理論を楽しむことができますので、拙ブログの読者の皆様にはお勧めの書籍です。

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