大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年6月25日(令和4年6月25日)
人口は減少しても国内総生産は増加するパターンは存在する
長期にわたって経済が成長しない理由は、需要不足だという説が根強い。
引用元:日本の病は「供給過剰」にあり D・アトキンソン氏
しかし、日本人にお金がないから空き家が増えたのだろうか。
お金がないから電車に乗る人が減って、廃線が増えたのだろうか。
お金がないせいではない。
人が減ったからだ。
小西美術工芸社社長のデービット・アトキンソン氏(以下敬称略)は日本経済の病を人口減少が原因であり、供給過剰が原因と主張しているようです。
まず、人口減少に関してなのですが、人口が仮に減少してもお金持ちばかりの国民が生き残り、消費を活発化した場合はGDP(国内総生産)は増えます。
GDP(国内総生産)という指標の概念を理解されていれば、ご納得いただけると思います。
北朝鮮人民が100人いても、各個人が1ドルレベルで生活している場合、日本国民が1人で3万ドルレベルの生活をしていればGDP(国内総生産)は大きいでしょうに。
さらに言えば、三橋貴明氏(以下敬称略)は『人口減少衰退論という「嘘」を打ち破る』という記事の中で、決定的なデータを出しています。
そもそも人口減少しているのは、我が国日本だけではありません。
有名なところだと、ロシアなどが挙げられます。
※BIH:ボスニアヘルツェゴビナ
さらに言えば、物やサービスを生み出すことのできる生産年齢人口(先進国では15~64歳)が減少しているのは我が国日本以外にも存在しています。
※参考:生産年齢人口
そして、これが決定的なのですが、人口が減少し、生産年齢人口が現状していても、GDP(国内総生産)が増えている国家が存在しています。
デービット・アトキンソンは上記のようなことをご存知ないのか、意図的に無視しているとしか思えません。
消費税廃止が意味ない?
その原因を緊縮財政に求める人もいる。
引用元:日本の病は「供給過剰」にあり D・アトキンソン氏
政府は消費税を廃止すべきだと訴えてみたりする。
しかし、消費税廃止には本質的な効果はない。
低所得者にしてみれば、消費税廃止分だけは使えるお金に余裕ができるが、所得の低い状態には変わりはない。
デービット・アトキンソンは上記のように主張し、消費税廃止には本質的な効果はないと主張しています。
イギリス人だから、我が国日本の消費税の内容を全く理解していないのではないかと疑いたくなります。
経済学的には、可処分所得という概念があります。
簡単に言えば、所得から税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入を差し引いたものが可処分所得です。
※参考:SMBC日興証券『可処分所得』より
低所得の方々も生きるために消費行動をしなければならず、低所得が故に所得の内消費が占める割合が高いです。
したがって、消費税による徴収割合が高所得者よりも多いため、消費税には逆進性があるというのは常識です。
誰かの消費は誰かの所得である
それについてはデービット・アトキンソンも理解されていると思いますが、所得の低い状態には変わりはないというのは理解できません。
誰かの消費は誰かの支出ですから、消費税を廃止すれば、誰かの消費が増え、誰かの所得は増えます。
日本国内全体のお金の巡りが良くなり、低所得から抜け出すビジネスチャンスも多く、イノベーションも発生しやすくなります。
さらに、消費税廃止だけなく、民間設備投資拡大や政府支出拡大となれば、経済は加速的に成長します。
デービット・アトキンソンは資本主義というものをご理解いただけていないようです。
持続的な政府支出拡大は可能であり、需要が供給を作り出す
さらに現代貨幣理論(MMT)に基づいて、もっと大胆な財政出動ができるという提言もある。
政府の通貨発行には制約がないから、経済が伸びるまで需要を増やすべきだという需要ショック論だ。
正しく言うと、通貨発行に直接的な制約はないが、間接的な制約はある。
需要と供給は必ず同等でなければならない。
政府が増やした需要に対して、イノベーション(技術革新)がなければ、自動的に供給が増えはしない。
内部留保が増えるだけのことだ。
正確に申し上げれば、変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有している中央政府には財政的予算制約が無いと言えます。
したがって、格差是正とデフレ脱却を目的とした減税は可能ですし、持続可能な政府支出拡大路線を我が国日本は歩むことができます。
デービット・アトキンソンは通貨発行に直接的な制約は無いが間接的な制約は存在していると主張しており、それ自体は理解できます。
ただ、需要と供給は必ず同等でなければならないというのはどういった根拠に基づくのでしょうか。
それってデービット・アトキンソンの感想ですよね?
ちなみに、財政的予算制約は存在しませんが、インフレ率という供給制約はございます。
過度なインフレにならない限りにおいて、政府支出を拡大し減税することは可能です。
神の見えざる手はご存知なのか?
仮に、消費税廃止や公共投資拡大で需要を爆発的に増やしたとしても、イノベーションがなければ自動的に供給が増えはしないというのは現実から完全に乖離しています。
需要が供給を超えるレベルで増えるということは、物やサービスをこの世に生み出して売り出せば、所得や利益を獲得しやすい経済環境なのですから、供給は自然に増えます。
雇用が創出され、設備投資が増え、それが新たな需要を喚起することになり、需要増大型物価上昇(ディマンドプル・インフレ)となります。
例えば、セブンイレブンが和風ツナマヨネーズおにぎりを生産し、連日売り切れにでもなるほど需要が増加したら、コンビニを増やしつつ、おにぎりを生産する工場を建てるでしょう。
そうすれば、コンビニ店員が増え(雇用創出)工場が稼働すれば爆発的におにぎりを生産することが可能(供給が増加)となります。
少なくとも、おにぎりを生産する工場を新規で建設することはイノベーションとは言えませんが、需要増に応える形で供給は拡大します。
デービット・アトキンソンは資本主義と経済の実情を理解していないのではないでしょうか。
イノベーションのためにも需要喚起が必要だろう
結局、真の解決策はイノベーションに尽きる。
引用元:日本の病は「供給過剰」にあり D・アトキンソン氏
新しい商品を開発して、新しい需要を発掘する。
それを積極財政で支えるのだ。
真の解決策とは・・・理解できませんが、それはおそらくデービット・アトキンソンにとっての理想的な解決策であり、日本国民にとっての最適解ではありません。
上記でも様々申し上げましたが、資本主義そのものを理解していないイギリス人という印象です。
※ジョン・メイナード・ケインズの爪の垢でも煎じて飲むべきと言えましょう。
イノベーションに対して積極財政で支えるとおっしゃいますが、需要が存在しないところにイノベーションを巻き起こして何かメリットありますか?
新規の商品を開発して、需要が無ければ開発して終わりですよ?
企業の収益には影響せず、費用が増大するだけという可能性も十分あり得ます。
ブルーオーシャン戦略のことをおっしゃっているのかもしれませんが、それは各企業が個々に考えるべきことであって、国民経済全体の話とは別です。
民間企業が提供できない価値、それすなわち減税であり、給付金であり、公共財の提供(公共投資)であり、雇用創出を日本政府はやるべきなのです。
以上です。