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現代貨幣理論

【現代貨幣理論】なぜ貨幣は民間経済で流通して、信用されているのか

更新日:

現代貨幣理論の基礎
uematu tubasa著『現代貨幣理論の基礎

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年5月12日(令和3年5月12日)

本日は現代貨幣理論の基本的なところを再度まとめる記事になります。
なぜ貨幣は民間経済で流通され、信用され、受け入れられているのでしょうか。

貨幣で納税できるから(租税貨幣論)

お父さんが、子どもたちに「お手伝いをいをしたら、お父さんの名刺をあげるよ」というのですが、子どもたちは「そんなのいらない。何の意味があるの?」とお手伝いをしません。
そこでお父さんが「月末までに名刺を30枚集めないと家から追い出す」と宣言すると、子どもたちは必死に名刺を集めるようになります。
本来意味がなかったものが、納めろと言われた瞬間に価値を持つのです。

兄が名刺を40枚持ってて、弟が20枚しかなかったら、兄弟間で名刺10枚を何かと交換したりもします。
貨幣が納税の支払手段となることで貨幣が流通するという考え方です。

引用元:国の借金1千100兆円でも日本は破綻しない…現代貨幣理論=MMTとは?

上記引用元記事は、モズラーの名刺という有名な逸話になります。

なぜ貨幣(硬貨及び紙幣)が民間経済において流通していて、人々に価値があるものと認識され、受け入れられているのかという疑問に答えています。

政府が自国民に納税の義務を課し、納税する手段として貨幣を指定することで、納税のために貨幣を手に入れたいという動機づけが発生するので、国民が貨幣の価値を認識し、社会全体で貨幣が受け入れられるということです。

それを端的に説明しているのが、租税貨幣論なのです。

その租税貨幣論を理解するために、現代貨幣理論の提唱者であるステファニー・ケルトン教授が日本での講演でお話されたのが、モズラーの名刺の逸話なのです。

価値がほぼ無い名刺が、モズラーへ提出するという義務を課され、義務を果たさないことによるデメリットを提示され、強制力を伴うだけで、お金のようなものに変貌を遂げます。

現在の社会において、租税貨幣論だけで民間経済に流通しているということを説明するのは難しいと思いますが、貨幣が民間経済に受け入れられている主な要因としては説得力があると思います。

ちなみに、租税貨幣論における租税という概念はとても広く、国家権力によって強制的に徴収されるお金全般を指すらしいです。

したがって、社会保険料や罰金なども広義の租税に含まれるようです。

脱税などを行った場合、逮捕されたり、公権力の強制執行によって財産差し押さえになることもございますし、様々な法令や条例に基づく罰金などへの支払い手段として貨幣が規定されていれば、貨幣は価値あるものと認識されるのは当然でしょう。

法律で規定されているから(貨幣国定説)

さて、貨幣論を読み進めるとドイツの経済学者であるクナップの貨幣国定説という言葉が出てくると思います。

簡単に言えば、貨幣とは国家が定める法律によって法定通貨となり、政府支出に伴い民間企業や個人へ法定通貨が支給され、価値あるものとして認識され、受け入れられていくという考えのことです。

※間違っている可能性もありますので、さらなる勉強が必要ですね。

私個人としては、貨幣国定説も十分説得力があると思います。
民間経済において、物やサービスを手に入れるために貨幣を差し出しても、受け取りを拒否される可能性を可能な限り少なくする必要があります。

したがって、国家の内部で一番信用力の高い、中央政府が法律で定めることにより、信用力を高める必要がございます。

率直に申し上げて、誰が発行したのかわからない貨幣(地下帝国のペ〇カなど)や外国の中央政府が発行した貨幣などは安心して受け取ることはできませんし、民間経済での流通に不安が残りますので、法律で定めたお金で一律に決済するのは利便性向上という意味でも合理的です。

どう考えても複数貨幣による決済となってしまうと、飲食店での値段表示が大変になりますし、為替相場の変動によって、毎日どの貨幣で支払うのが一番お得なのかという点を考慮しなければなりません。

とても不便と言い切れます。

我が国日本では、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(以下通貨法と呼称)によって日本円が法定通貨と定められております。

第二条 通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。
2 一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。

この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。
3 第一項に規定する通貨とは、貨幣及び日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。

引用元:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律より

我が国日本においては、単位は円であり、通貨とは貨幣(この場合、財務省造幣局が製造した硬貨と言い換えても可)及び日本銀行券と規定されております。

第九条 貨幣で、その模様の認識が困難なもの又は著しく量目が減少したものは、無効とする。

引用元:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律より

さらに言えば、貨幣の無効も規定されています。

国家権力の消滅が通貨の信認を失わせる

上記内容を簡単にまとめると、なぜ民間経済において通貨(貨幣と日本銀行券)が流通して広く受け入れられているのかと申しますと、納税手段として必要であり、法律で定められているからということになります。

それを踏まえて、さらに議論を深めると、通貨の信認というよく分からない単語を用いて積極財政を批判する方々へ反論することが可能なのではないかと気が付きました。

政府支出を拡大することによって、通貨の信認が揺らぐということはありません。
なぜならば、政府支出の拡大によって日本円が法定通貨から外れるわけではなく、日本円が納税手段として機能しなくなったわけではないからです。

通貨の信認が揺らぐと批判される方々は、通貨がなぜ日本国内で流通して信用されているのかという点を理解していない方々と解釈せざるを得ないのです。

政府支出を拡大したらインフレになる(デフレ脱却できて良かったやん)とか、為替レートが下落する(急激な円安でなければ問題ないし、円安是正の為替介入で対処可能)という批判をしてくるならまだ実体経済のお話ですし、お金の移動に関するお話ですので、理解はできます。

逆に言えば、国家権力が消滅して強制的に税金を徴収することができず、外国勢力によって日本円を法定通貨から外すような法改正がなされた場合は、通貨の信認が揺らぐというか、通貨の信認が崩壊するでしょう。

以上です。

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