![現代貨幣理論の基礎](https://rebelbushi.jp/wp-content/uploads/2020/08/cover5.jpg)
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年11月16日(令和2年11月16日)
インフレに怯えるのは無知だから
MMT論者は、日本では巨額の財政赤字が続いてもインフレが起きていないのだから、インフレを懸念することはない、と考えているのかもしれないが、それは二つの意味で危険である。
引用元:バイデン政権の米国がMMTを採用すれば世界が迷惑する理由
一つには、日本でもこれからインフレが起きるかもしれないからである。
もう一つには、日本で起きないから海外でも起きないとは限らないからである。
塚崎公義:経済評論家(敬称略)がまたMMTに関して不正確な記事を寄稿しているので、徹底批判したいと思います。
MMT(現代貨幣理論)論者は日本では巨額の財政赤字が継続していてもインフレが起きていないのだから、インフレを懸念することはないと考えているかもしれないが・・・とおっしゃってます。
まず、この想定そのものが間違いなのです。
インフレ懸念は当然ございます。
政府支出を増やし、減税を行い、民間企業の供給能力を超えた需要が喚起されれば、当然インフレになります。
MMT論者が普段どのような議論をしているのか全くご存知ないようです。
また、塚崎はインフレが今後日本で発生するかもしれず、海外でもMMTに基づく財政政策が実行されればインフレになるかもしれないと主張しています。
当然ですね。
デフレ脱却したいですし、需要増大型物価上昇なら歓迎します。
問題は過度なインフレになってしまうかどうかです。
さらに言えば、MMT支持者であり、MMT論者であるこの私ですらが、過度なインフレを抑制するためにはどうすればいいのかという内容を以前のブログ記事で掲載済みなこともご存知ないようです。
財政出動にトリガー条項を
MMT提唱者のステファニー・ケルトン教授は財政出動した際に、インフレが進行しそうになったら、特定の税金の税率を自動的に引き上げて、インフレを抑制する機能を付与するというトリガー条項に賛成しています。
また、インフレを抑制するため増税だけではなく、財政出動計画を当初予定から長期化することで、単年度の支出額を少なくすることにも賛同しています。
財政出動のインパクトを低減する提案と言えるでしょう。
例えば、3年で100兆円の財政出動を計画して、実行途中でインフレ率が4%を超えてしまった場合は、3年計画を5年計画に変更することで、年間33兆円超の政府支出を年間20兆円の政府支出にして、インフレを抑制することになります。
ハイパーインフレになるという批判を封じるためにも、トリガー条項とロングプラン条項(計画案の長期化)を財政出動に組み入れるのは有効ですね。
私個人としては、ストップ条項(過度なインフレになった場合の支出停止)も組み入れればなお良いのではないかと。
例えば、公共投資計画であれば、インフレ率が4%以上になったら、ロングプラン条項の発動、インフレ率が8%になったら、ストップ条項、インフレ率が10%になったら、トリガー条項で増税(法人税率の引き上げ)などです。
※参考記事:「MMTこそケインズの考えに最も近い」
インフレがインフレを呼ぶ?
問題なのは、人々がインフレになると思って「貯金を引き出して買い急ぎをしよう」と考えたときに、引き出す貯金があることだ。
引用元:バイデン政権の米国がMMTを採用すれば世界が迷惑する理由
皆が貯金を引き出して買い急ぎをすれば、本当にインフレになったり、インフレが加速したりするからだ。
塚崎は、インフレがインフレを呼ぶため、インフレが加速してしまうのではないかと懸念しているようです。
我が国日本のように物やサービスが売れない経済環境が長く続いた国家においては、むしろ良いことなのではないかと。
また、物価上昇ということは物やサービスを提供する側である民間企業の収益を増やしますから、それを設備投資などに再投下すれば供給能力を強化することができますので、インフレの沈静化になります。
確かに、インフレがインフレを呼ぶため、2桁以上のインフレになったらマズイと思いますが、そこまで過度なインフレにならない限りは特に問題無いのではないかと。
所得税や法人税などもございますので、物価上昇によって物やサービスが飛ぶように売れたら、どう考えても景気の自動調節機能が働くため、自然と増税になり、購買力が自然と抑制されると思います。
塚崎は所属税や法人税という存在を認識できていないか、ビルトインスタビライザーという用語を経済学の講義で学ばなかったようです(笑)
過度なインフレを金融引き締めで抑制か
米国の通貨であるドルは基軸通貨で、世界中で貿易や投資に使われている。
引用元:バイデン政権の米国がMMTを採用すれば世界が迷惑する理由
したがって、米国が激しいインフレに見舞われ、厳しい金融引き締めが行われると、世界中が困るわけだ。
米国がMMTを採用して、もしインフレが起きなかったとすれば、米国人が良い思いをするだけで、諸外国にはメリットは小さい。
だが、米国がMMTを採用してインフレが起きたら、世界の国々が大いに困るというわけだ。
USドルが事実上、世界の基軸通貨であることには同意しますが、アメリカが激しいインフレになり、金融引き締めが行われると世界中が困ると塚崎は主張しております。
ちょっと何を言っているのかわからない(笑)
FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のパウエル議長はゼロ金利政策を当面は維持して、量的緩和を継続する旨を発表しております。
仮に、将来的にインフレが加速して、インフレ抑制が政策議題として優先順位が高くなったとしても、財政政策でインフレを抑制することになるかもしれませんし、政策金利があまりにも高くなるとは限りません。
さらに言えば、政策金利が高くなり、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)による売りオペが決定されたとしても、USドルが調達できないわけではなく、調達コストが高まるだけなので、そこまで打撃にはならないのではないかと。
世界中の投資や貿易上の決済に関して言えば、USドル以外で決済すればいいだけでしょうし、むしろ政策金利の高まりでUSドル人気が高まるというシナリオも考えられます。
何がどう困るのかわかりません。
バイデン政権が誕生した場合は世界好景気になる可能性も
バイデン政権が誕生した場合は、その背後に急進左派が存在しており、具体的にはサンダースがおり、ステファニー・ケルトンが理論的支柱として君臨することになります。
グリーン・ニューディールを実行しつつ、インフラや医療関連の公共投資を行うので、アメリカ経済は潤うことになりますし、その結果アメリカ経済は復活するでしょう。
その恩恵をアメリカ以外の国家も受けることになります。
消費意欲が旺盛なアメリカ人に様々な物やサービスを提供することができれば、民間企業の売り上げが増えます(笑)
例えば、アメリカ人にトヨタの自動車を売ることができれば、トヨタが儲かりますし、それが地方の工場にまで波及して、景気が良くなれば日本全体が潤うことにもなり得ます。
何が困るのか理解できません。
以上です。