大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年9月26日(令和2年9月26日)
本日は、竹中平蔵のベーシックインカムについて論じていきます。
結論から申し上げれば、論外の一言です。
ベーシックインカムの利点は恥辱感が極めて薄いこと
生活保護費をパチンコやカジノで消費すると、「生活保護なのに」という非難の対象となり得る。
引用元:竹中平蔵氏の提唱するベーシックインカムは、どこが「亡国の政策」なのか
生活保護のように受給資格が問われる給付は、「私は受けていない生活保護を、あなたは受けている。
だから私はあなたを非難する資格がある」という考え方につながりやすい。
これに対して、「ベーシックインカムなのに」という非難のパターンは考えにくい。
誰もが受け取っている以上、「あなたはベーシックインカムを受け取っている」という非難は成り立たないからだ。
生活保護がベーシックインカムに取って替わられれば、生活保護に対する差別やスティグマ(烙印)視はなくなる。
また、人的支援を伴わないため、公的社会保障に関する人件費も削減できる。
もしも成功すれば、メリットは多大であるように見える。
ベーシックインカムの利点は生活保護と違い、恥辱感が極めて薄いことにあります。
誰もが受け取り手になるベーシックインカムは社会保障の受給に関する心理的抵抗感を引き下げ、生活保護水準の所得なのに、生活保護を受給する意思を表明しないということにはなりにくいのです。
さらに付言するならば、誰が生活保護などの社会保障を受給するべき人間なのか、受給可能な人間なのかという選別がございませんので、セーフティネットから漏れてしまうということを防ぐことが可能となります。
社会保障に関する人件費を削減できるというのは利点というのはかなり誤解を生み出しやすいと思います。
より正確に申し上げれば、追加的な社会保障整備であるベーシックインカムでは、追加的な人的パワーをそれほど消費しないということです。
言い換えるならば、公務員を採用、教育しなければ社会保障を整備できないという制約がかなり緩い制度であるということです。
地方自治体において、ベーシックインカムの部署を作り、そこに多少の人員を増やせばそれだけでよろしいのではないかと。
社会保障で生きている人間は死ねと?
竹中氏はもともと、ベーシックインカムを導入する必要性を主張していた。
引用元:竹中平蔵氏の提唱するベーシックインカムは、どこが「亡国の政策」なのか
コロナ禍による経済的打撃が明確になった本年5月にも、10万円の特別定額給付金に加え、「1人あたり月5万円のベーシックインカムを」という主張を行っていた。
年間では、1人あたり60万円となる。
日本の全人口を約1億2000万人とすれば、年間で約72兆円となる。
問題は、この「年間72兆円」の財源だ。
竹中氏の考え方では、生活保護や年金をはじめとする社会保障を廃止することにより、財源が確保できるという。
2019年、医療・年金・介護・生活保護などの社会保障給付費の合計は、年間約120兆円であった。
この120兆円を組み替えれば、ベーシックインカムの財源は余裕をもって確保できる計算になる。
竹中平蔵は典型的な新自由主義的ベーシックインカムを主張しており、1人当たり月5万円を支給する代わりに、社会保障を削減して財源を捻出せよとのこと。
冷静に批判させていただくと、生活保護受給世帯でなおかつ単身世帯(資産がない高齢者など)が一番貧困状態に陥りますし、医療や介護の手厚い保障が必要な方(難病の方など)が一番初めに死に追いやられます。
弱者に寄り添うようなことを言いながら、弱者を一気に貧困と死に追いやる竹中平蔵は経世済民から一番かけ離れたところに身を置いています。
いつか必ず地獄の業火で焼き尽くされることでしょう。
社会保障大規模改変の難しさ
人口の多さをはじめとする日本独自の課題も無視できない。
引用元:竹中平蔵氏の提唱するベーシックインカムは、どこが「亡国の政策」なのか
日本は人口が多い上、日本に根付いてしまった政府・行政・徴税・分配に対する不信感があり、社会システムも複雑だ。
所得把握や徴税や分配に関して、竹中氏が提唱しているようなシステムを導入した成功例とされる国々は、確かに存在する。
しかしその国々には、「総人口が数百万人以下」「既存の社会システムがシンプル」「政府や行政に対する信頼感がある」「重税感はあるが、社会と自分に確実に還元されるため、納得されている」といった日本にはない特徴が、数個備わっている。
引用元記事においては、社会保障の大規模改変は難しいのではないかと竹中平蔵の主張する新自由主義的ベーシックインカムに疑義を呈しております。
社会保障を削減することで、ベーシックインカムの財源を確保するということは、どの社会保障を残し、どの社会保障を削減するのかという選別が発生します。
利権が多過ぎ、社会構造が複雑過ぎの我が国日本でそれが可能なのでしょうか。
理論的には可能かと存じますが、政治的な軋轢や摩擦があまりにも大きいと言わざるを得ません。
社会構造を激変させると言っても過言ではございませんので、長い時間が必要になる可能性がございます。
詳細は上記の引用元記事をご覧ください。
竹中平蔵はベーシックインカムを語る上での前提条件を間違えているとしか思えません。
財政破綻懸念は杞憂に終わる
筆者の考える最悪のシナリオは、「財源がなくなり、国家財政そのものが1年か2年で崩壊する」という成り行きである。
引用元:竹中平蔵氏の提唱するベーシックインカムは、どこが「亡国の政策」なのか
マイナンバーを活用した所得把握と徴税のシステムが始動したとして、最初の数年間は、大小さまざまな不具合の連続であろう。
徴税に成功する前に、ベーシックインカムの給付が先行して実現してしまったら、何が起こるであろうか。
想像していただきたい。
変動相場制を採用し、自国通貨を保有する国家に財政的予算制約は存在しませんし、財務省も財政破綻はあり得ないと明言されております。
日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。
引用元:外国格付け会社宛意見書要旨
デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
逆に言いたいのですが、どうすれば財政破綻できるのでしょうか。
日本政府から国債償還の意思が喪失するのか、我が国日本が核攻撃を受け、政府そのものが消滅しない限りあり得ないでしょう。
また、ベーシックインカムを支給しつつ、徴税システムに不具合があったとしても、新規国債を発行したり、国庫短期証券で日本銀行からお金を明示的に供給していただくことで対応可能です。
国庫短期証券でお金を調達する件について理解するためにも、Overt Monetary Financingを理解しましょう。
略してOMFとさせていただき、お話を進めさせていただきます。
OMFを翻訳するのであれば、明示的貨幣供給ということになります。
簡潔に説明するのであれば、徴税と国債発行なしで日本政府は予算執行ができる仕組みのことです。
日本政府が「国庫短期証券」を発行し、日本銀行に持って行きます。その「国庫短期証券」の額面だけ、日銀当座預金が増えます。
その増えた日銀当座預金を元にして、政府小切手を民間企業に渡し、公共投資をしてもらい、民間企業は受け取った政府小切手を銀行預金に換えて、従業員の給与や取引先企業への支払いに充てます。
三橋貴明が作成した上記の図を見ていただければと思います。
OMFとは、①の民間銀行と日本政府のやり取りが、日本政府と日本銀行のやり取りに代わり、国債ではなく「国庫短期証券」に代わるだけなのです。
あからさまにお金を民間に配っているのです。
ベーシックインカムとは別の単語で直接給付政策を語ろうか
私なりに竹中平蔵が主張する新自由主義的ベーシックインカムとそれに対する日本国民の反応を見て、感じたことがございます。
ベーシックインカムという単語に対する感情的な反発はあり得ないほど強いものがございます。
したがって、積極財政型の直接給付政策を語る場合は別の単語で統一した方がよろしいのではないかと。
国民配当(National Dividend)が一番適当な名称なのではないかと存じます。
私が出版する予定のユニバーサル・ベーシックインカムの本も、この単語で統一するべきでしょうね。
以上です。