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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2024年11月1日(令和6年11月1日)
所得税が発生してしまう年収ラインが103万円らしい
この「103万円の壁」とは、アルバイトやパートの方などが103万円以上稼いでしまうと、所得税の支払いが発生してしまう額のことです。
その額を超えてしまうと扶養から外れてしまうので、例えば学生のアルバイトの方は親の手取りが減ることを避けるために働く時間をあえて抑え、収入を103万円に届かないようにしていくケースもあります。
今回の国民民主党の提案は、この上限を178万円まで引き上げようとするものです。
手取りを増やすということを公約として掲げ、躍進した国民民主党の玉木代表は年収の壁の見直しを主張しています。
103万円以上稼いでしまうと、所得税の支払いが発生します。
その結果、学生のアルバイトの場合は親の扶養からも外れてしまい、ダブルで増税になってしまいます。
したがって、この103万円の年収の壁を178万円まで引き上げようとしているようです。
労働供給拡大効果は見込めるが賃金低下の恐れもある
率直に申し上げたいのは、年収の壁の見直しとは所得税の減税のような効果があります。
したがって、労働を抑制していた個人としては、所得税の課税なしに労働時間を延長することができます。
経済学的に言えば、労働市場における労働供給拡大となります。
賃金とは、原則的には労働需要と労働供給のバランスで決まりますから、賃金低下圧力が強まる可能性があります。
経営者が事業拡大しようと決断した場合を考えてみましょう。
求人を出しても労働者が集まらない場合と既に雇用している労働者の労働時間延長が可能となった場合では、どちらの賃金水準が高いでしょうか。
明らかに前者の方の賃金水準が高くなることは明白です。
しかしながら、現実には労働者を買い叩けるような環境を作ろうとしてしまっているのです。
手取りを増やすことを目的とした政策が賃金低下圧力を生むという皮肉なことになるかもしれません。
その結果、思ったよりも賃金が増えず、手取り収入が増えたという実感が無いという可能性があります。
別途、政府支出を増やし、さらなる減税を行い、需要を喚起して、経済を活性化させなければ、効果は薄いでしょう。
高額所得者ほど得をするのは格差拡大政策と言えるのではないか
もともと「103万円の壁」とは、年収100万円の人がもう少し働けるようになり、178万円に上がると、年収100万円前後の方にとってプラスだと思われている方も多いと思います。
しかし調べてみると、年収400万・800万円・1200万円・2000万円の方でも大きな恩恵があります。
実は底上げがあって、一律75万円の基礎控除という税金がかからない枠が、ほぼ全ての方に対して大幅に引き上がるということになります。
どの層であっても、手取りが増えるといった政策になっています。
(中略)
年収300万円の人は減税額が11.3万円、600万円の人も15.2万円の減税です。
例えば、夫婦それぞれが500万円を稼いでいる家では、26万4000円の減税となり税金を納めなくて済む計算です。
(中略)
ただ問題点もあって、例えば年収200万円の方の減税効果で8.6万円。
500万円の方が13.2万円だとして、1000万円では22.8万円。
国民民主党は試算を出していませんが、2000万円だとおそらく30万円ぐらいの減税効果があります。
そうなると、高所得者に恩恵が偏るのではないかという指摘はあると思います。
さらに言えば、年収の壁の見直しに関しては学生アルバイトや主婦(主夫)のパートタイマーだけに影響があるわけではありません。
私のような一般的な会社員にとっても恩恵があるのです。
しかしながら、所得税は累進課税という性質から、高額所得者ほど名目の減税額が大きくなります。
これは格差拡大を助長しているという批判を生む可能性があります。
もともと、高額所得者は多額の所得税を払っているので、それなりの減税の恩恵があって当然という意見もわかります。
割合で考えれば、高額所得者ほど減税額の割合を少なくすることも制度上できるので、そこまで不公平ではない年収の壁の見直しに落ち着くかもしれません。
現時点では、どこまで年収の壁が見直されるのかがわかりません。
けれども、仮に暫定措置として年収の壁が時限的に見直しされるということなのであれば、事務的な負担は大きなものになるでしょう。
自民党政権下で実施した定額減税では事務的な負担が大きなものとなりました。
同じ失敗を繰り返して欲しくはありませんね。
できるだけ理解しやすく、簡素で、恒久的な所得税減税として政策立案されることを切に願います。
財政破綻なんてあり得ない
もう一つの問題点は、やはり税収の問題です。
財源が本当に大丈夫かなというところです。
今回かなり幅広い恩恵で、8兆円規模の減税になります。
さらに、2024年は1人4万円の定額減税もあり、それが5兆円規模なのでかなり額が大きいです。
変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有する中央政府に財政的予算制約はありません。
言い換えるならば、お金を自由に発行できる日本政府がお金に困ることなんてあり得ません。
義務教育で中央銀行の役割を学んだ人も多いのではないでしょうか。
銀行の銀行、政府の銀行、発券銀行、この3つの役割をご存じでしょうか。
この3つの役割のうち、最も重要なのは発券銀行としての役割なのです。
日本銀行は出資証券の55%を日本政府に握られ、政策委員会(総裁、副総裁含む)のメンバーは国会の衆議院および参議院の同意を得て、内閣に任命されます。
したがって、日本銀行は事実上、日本政府の子会社のような位置づけになっております。
日本政府の資金需要に応える形で、金融政策を決定することができます。
仮に、景気が過熱して長期金利が徐々に上がることがあっても、日本国債を買い支えることができます。
また、政策金利(無担保コールレート)を引き上げることで、円安を是正することも可能です。
財政の健全性を心配するべきではなく、インフレ率に留意するべきなのです。
年収の壁を見直したことによる税収減少なんて全く問題ではありません。
むしろ、財政危機を煽られて、消費が冷え込むことの方が問題と言えます。
消費税廃止の方が格差是正と事務負担の軽減に役立つ
さらに、年収の壁を見直すということは年収を貰っている方もしくは働ける方に恩恵があります。
言い換えるならば、働けない方、何らかの理由で労働時間を抑制しないといけない方には恩恵がほぼありません。
例えば、80代以上の両親を介護しないといけないから残業できない現役世代のパートタイマーには恩恵があまり無いわけですよ。
そういった経済的弱者の方々にも恩恵を与え、インボイスなどの事務的な負担を無くすためにも消費税廃止が妥当と考えます。
日本経済全体を考えると消費税減税または消費税廃止が一番効果的であり、物価高対策にもなります。
以上です。