大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年6月9日(令和元年6月9日)
ハイパーインフレという杞憂
財政破綻を主張する知識人は「国債を大量に発行して日銀が買いオペをして通貨を大量に刷ったらハイパーインフレになる」と主張しています。
ハイパーインフレとは年率13000%以上のインフレのことです。
我が国日本はハイパーインフレになるのでしょうか。
今回は結論を急がずに、そもそもインフレはどのような要因によって発生するのかという点を整理します。
インフレとは持続的な物価上昇のことです。以下に物価上昇の要因についてまとめます。
どのような要因によってインフレは発生するのか
1、有効需要増大型物価上昇
需要側の原因で生じる物価上昇のことです。
オークションでの価格上昇を想像してもらうとわかりやすいでしょう。
物やサービスが欲しいと言う人(需要)がどんどん膨らむことにより、需要が供給を上回る場合に該当します。
第2次世界大戦後の緩やかな物価上昇がこれに該当します。
私が消費税廃止や財政出動で目指しているのが、有効需要増大型物価上昇です。
日本人の所得が増え、それに伴い消費や投資が増え、最終的には物価が引き上げられるというインフレ・スパイラルにするべきだと主張しています。
2、生産費用増大型物価上昇
供給側の原因で生じる物価上昇のことです。物やサービスを生産する際、資源価格の高騰等による生産費用増大が発生した場合に該当します。
民間企業の自助努力ではどうにもできない場合に、物やサービスの価格へ上乗せされてしまいます。
我が国日本でも「狂乱物価」と言われる時期もありました。
原油価格が高騰してしまったために、トイレットペーパーの買い占めなどが発生しました。
これは民間企業の経済活動を阻害し、収益の悪化を招きます。
資源価格の高騰などの場合はやむを得ない場合が多いかと存じますが、できるだけ避けるべき物価上昇の種類であると言えます。
3、紙幣乱発型物価上昇
紙幣の過度な発行によって、通貨の価値が大幅に下落してしまった場合に該当します。
通貨価値の大幅な下落が一般物価の大幅な上昇の引き金になってしまったのです。
第1次世界大戦後のドイツや西暦2000年以降のジンバブエが該当します。
これは国民経済において最大限に回避しなければならない事象です。
なぜならば、お金の価値が一気に減ってしまい、物やサービスを手に入れることができずに、健康を害し、命を落とす可能性が高まってしまうからです。
ドイツは第一次世界大戦の後の戦後賠償のため、マルクを刷りまくりました。
それを批判したのがJ・M・ケインズです。
『平和の経済的帰結』を著して、いきなり有名になりました。
4、供給能力低下型物価上昇
災害等による物流の寸断、生産設備の老朽化、戦争による生産設備の破壊、物やサービスを供給するための土地が消失、民間企業から人材が離れる
物やサービスを生産するのに必要な原材料を調達する資金の欠如などといった理由により物価が上がる場合に該当します。
生産するための費用が増大したのではなく、物やサービスを生産できない、供給できないという状況によって発生するインフレです。
この場合にも、第1次世界大戦後のドイツや西暦2000年以降のジンバブエが該当しました。
ハイパーインフレになった国家として第1次大戦後のドイツとジンバブエは有名です。
この2つの国家は紙幣乱発型と供給能力低下型の混合によりハイパーインフレになりました。
ジンバブエのハイパーインフレは紙幣乱発と土地改革の失敗による供給能力低下が原因なのです。(参照URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/zimbabwe/data.html)
第1次世界大戦後のドイツのハイパーインフレは、敗戦による膨大な賠償金の支払いのためマルク紙幣を乱発し、ドイツ最大の工業地帯ルールを占拠されたことが原因なのです。
つまり、供給能力が極めて脆弱となり、中央銀行が自国通貨を大量に刷らない限り、ハイパーインフレにはなりません。
我が国日本が大東亜戦争に敗北した直後でさえも、500%程度のインフレになりましたが、すぐに収束しました。
当然、ハイパーインフレにはなりませんでした。
我が国日本はデフレ状態です。
少なくとも、大規模な金融緩和によって、ハイパーインフレになるというのは杞憂であると断言できます。
ハイパーインフレはデフレ脱却した後に、何かの理由で供給能力が著しく低下してから心配することだと思います。
デフレ脱却しつつ、インフレを抑制する方法はある
現代貨幣理論への批判や、財政破綻論を主張するエコノミストの多くは、ハイパーインフレになるから財政出動するべきではないと主張しています。
まず、冷静に反論させていただきますと、ハイパーインフレは年率1万3000%以上のインフレのことです。
よほどの大地震が発生し、日本のほとんどが瓦礫の山と化さない限りそれはないでしょう。
また、ハイパーインフレはなくても、インフレにはなるのではないかという批判をする方もいらっしゃいます。
私は適度なインフレ(2%以上10%未満)であれば、特段問題ではないと思います。
インフレとは物価の上昇であり、民間企業が販売する物やサービスの価格が上昇するということですから、企業の収益が増えます。
企業の収益が増えれば、労働者への賃金払いも増えます。
それがさらに消費や投資を増やし、インフレ・スパイラルになります。
※インフレ・スパイラルになったとしても労働者に賃金を払わない場合や、安い給料で働かせるのは論外なので、何らかの規制や罰則が必要かと思います。
この記事ではこれ以上触れません。
さらに付言すれば、デフレ脱却しつつ、インフレを抑制する方法はあります。
設備投資減税と設備投資補助金を同時に実施して、民間企業の供給能力を向上させればいいのです。
旧式の生産設備のまま生産を継続するよりも、最新式の生産設備を導入して生産を開始した方がより多くより質の高い生産になることは自明です。
例えば、おにぎりを生産する企業が生産機械を増やしたり、最新の生産機械に入れ替えたりしようとする場合を考えましょう。
話がややこしくなるので、おにぎりを生産する企業を「おにぎり生産企業」と呼び、おにぎり生産機械そのものを製造・開発している企業を「量産機械企業」と呼びます。
この場合、「おにぎり生産企業」が「量産機械企業」に対して「おにぎりを効率的に生産するための機械を購入したい」と打診します。
それを受けて「量産機械企業」が最新式のおにぎり生産機械を納入するわけです。もしかしたら、新規に開発するかもしれませんし、既存の生産機械を「おにぎり生産企業」に合わせて改善するかもしれません。
いずれにしろ「量産機械企業」としてはお仕事が増えますし、売上も増えます。需要が増えるわけですね。
このような現象が日本全国で活発化したらどうなるでしょうか。景気が良くなるとは思いませんか。
しかも、投資が投資を呼ぶということもあり得ます。
例えば、上記の例で申し上げると「量産機械企業」が儲かります。労働者の作業効率を上げるため、作業場にPM2.5を除去できる最新式のエアコンを設置しようとします。
それもまた設備投資になります。そしたら、「量産機械企業」に対してエアコンを納入する町の電気屋さんが儲かるわけです。
物やサービスが売れないデフレ状態において、設備投資が増えるというのは良いことであり、デフレ脱却の手助けになります。
設備投資が増えることにはさらなる利点があります。
長期的には供給が増えます。簡単に言えば、より多く、より効率的に物やサービスを生産することができます。
「おにぎり生産企業」が「量産機械企業」から購入した最新式のおにぎり生産機械を自社工場において導入した場合を考えます。
今まで、1時間に5000個しか生産できなかったのに、最新式のおにぎり生産機械を導入したら、8000個生産できたとしたら、生産性の向上となります。
言い換えるならば、非効率的生産が改善したということになるのです。
国家経済とは個々の企業の生産の集積なので、日本経済という国家経済全体の供給能力が向上します。
急な需要増大にも対応できる強靭な経済になります。
日本経済全体において、どんどん効率的な生産が増えれば、供給が増え、デフレ脱却した後の急激なインフレを抑えることが可能となります。
したがって、設備投資を増やすということはデフレ対策とデフレ脱却後のインフレ対策になるのです。
さらに付言すれば、設備投資の増加は民間企業の国際競争力の強化であると言えます。
なぜならば、他国の市場へ参入して、物やサービスを売り込むためには、安価で高品質な物やサービスを可能な限り費用を抑える必要があるからです。
したがって、政策的判断として輸出を増やして雇用を創出したいと考えるのであれば、設備投資を増やすことは有効であると言えるでしょう。
以上です。
明日も情報発信を頑張りますので、何卒応援よろしくお願い致します。