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情報技術(IT) 日本経済

【純粋機械化経済】技術的失業と頭脳資本主義AI時代の国家論を学ぶ

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大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年5月2日(令和3年5月2日)

純粋機械化経済を紹介

AI(人工知能)とはいかなる技術で、どこまで人間の知的振る舞いを真似ることができるのか、どのように人類の労働と社会構造を変化させるのか、爆発的な経済成長の始まりとは何か、人々が豊かになるには国家が何をなすべきなのか、日本はどのような運命をたどるのか―。
初めて知性を獲得した「機械」が持つ巨大な力の正体を明らかにし、その哲学的な意味や経済的・社会的な影響について多角的に解明する骨太の文明・経済論。

引用元:井上智洋著『純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落』のAmazonページより

本日ご紹介する書籍はベーシックインカム導入論者として有名な井上智洋氏(以下敬称略)の『純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落』になります。

私個人としては、ITエンジニアということもございまして、AI(人工知能)の動向は興味関心があるところであり、もっと踏み込んで言えば、AIが国家に与える影響を考察する論考に心惹かれます。

純粋機械化経済を読み進めると、AI関連の本というか、AI時代の国家論という色彩が濃いようです。

簡単ではございますが、内容を一部抜粋しながら、勉強になったことを備忘録的に残す記事となりますので、生温かい目で見ていただければと存じます。

第一章でAIを定義

本書では、AIを「知的処理を行うことのできるソフトウェア」と位置づける。
要するに、賢いソフトウェアをすべてAIに含めることにする。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.214-215).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

井上智洋先生は上記のようにAIを位置付けており、賢いソフトウェアはすべてAIというかなり広い範囲の意味合いで捉えているようです。

Shanon Lab株式会社の田中潤氏(以下敬称略)によると、ディープラーニングこそがAI(人工知能)であり、何らかのアルゴリズムと大量のデータによってソフトウェアそのものが自己判断したり、自己判断に基づく指令を出せるのが人工知能なのだそうです。

率直に申し上げて、田中潤のAI(人工知能)の定義の方が正しいと思うのですが、本書においては井上智洋の定義でお話を進めていくようです。

ただ、自動翻訳、チャットボット、音声操作アプリ、AIスピーカー、指紋認証、顔認証などを本書の中で挙げてらっしゃることから、ディープラーニングについては理解されているようです。

確かに、中国は人口が多く、また独裁的な国家であるために人権を軽視して個人情報を収集できるのでたくさんのデータが得られやすい。
先に述べたAIカメラによる監視は、その際立った例だ。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.712-714).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

中国はAIカメラで人民を監視しており、犯罪者や中国共産党に盾突く人間をどんどん逮捕するということを実行しており、人権軽視と言われても仕方ないです。

我が国日本は人権を守る国家ですから(少なくとも中国より人権重視なのは確実)データを集めにくいということは言えるかもしれませんね。

どのように法律を整備するべきなのかという点は国民的議論を行い、国会で決定する必要があると思います。

さらに読み進めていくと、第二章に関しては抽象的と言いますか、哲学的なお話がふんだんに盛り込まれており、抽象論や哲学的なお話が苦手な私としてはちょっと読むのが苦しかったです。

第三章で気になったことは技術的失業

歴史的には、AIに限らず新しい技術はしばしば人間から雇用を奪っており、そのような失業は経済学では技術的失業と呼ばれている。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.2288-2289).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

井上智洋はAIだけでなく、新規技術が人間から雇用を奪う事象のことを経済学では技術的失業と呼ばれていると紹介しつつ、歴史的に技術が雇用を奪う事例を紹介しております。

紡績機が普及すると職人さんが雇用を奪われてしまったので、紡績機を打ち壊す運動が発生した(ラッダイト運動)という話は有名ですね。

自動車の普及によって、馬車及び馬車を運用・整備する人が不要になり、電気メーターの変動を目視で確認する検針員という職業は我が国日本から消えます。

AIは雇用を人間から奪うというのはほぼ確実だと思います。
おそらく急激な雇用減少ということにはならないでしょうが、AIなどが雇用を奪う未来は容易に想像できます。

例えば、チャットボットなどは労働集約的な産業であるコールセンター業界から雇用を奪うことでしょう。

何らかの問題があって、消費者が企業に問い合わせをする場合、定型文がございますから、自動音声でお答えすれば解決することも多いと思います。

定型文などやお知らせなど、人間でなくても対応できることはチャットボットなどで対応して、どうしても対応しきれないような想定外なことに関しては熟練したオペレータが電話で応対するということになるのではないかと。

経済学者にすら誤解されていることだが、機械と労働者の代替関係のみが技術的失業をもたらすのではない。
機械と労働者の関係が補完的である時すらも、技術的失業がもたらされる場合がある。
むしろ、補完関係から生じる技術的失業の方がはるかに多い。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.2361-2363).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

簡単に言えば、機械(この場合、ソフトウェアやITツールなども)を導入することで節約できる人件費と機械を導入、メンテナンスする場合の費用を比べたら、前者の方が大きいのです。

特にソフトウェアは限界費用ゼロ(追加的に生産する際の費用がほぼ無視できるほど低い、コピー&ペーストするだけ)だからです。

優秀なエンジニアが一人して、集客のためのECサイトを構築して、そこで商品をPRしつつ購入までできるのであれば、営業担当者が法人や各家庭へ足を運ぶ必要もありません。

そしてそのECサイトとその運用ノウハウさえあれば、複数企業で営業担当者を減少させるようなことが生じます。
これを大規模に行っているのがGAFAの一角のAmazonなのです。

失業した営業担当者は別企業で営業担当を行ったり、職種を買えて働こうとしますが、全員以前と同様に働けるかと申しますと、現実には難しいでしょう。

また、銀行員に関しても大失業時代は到来しております。
銀行業務でなおかつ事務的なことに関しては、スマホアプリでの入金や送金、ATMなどが業務を代替しておりますので、雇用は消滅しております。

自動運転が実用化されれば、タクシー運転手の雇用は少なくなるでしょうし、無人漁船で自動航行しつつ、ソナーで魚群探知しつつ、網を投げたりすれば無人漁業も可能です。

ベルトコンベアーで食事を運び、清掃などはルンバなど、調理も全自動になれば、飲食店からウェイターやウェイトレスは消えるでしょう。

一方で、ITエンジニアや全自動で業務を代替する機械などを製造するエンジニアなどの職種は労働需要が高まりますが、はっきり申し上げて誰もができるような簡単な仕事ではございません。

国民経済(国家経済)全体を分析するというマクロ経済学において、失業にどのような種類があり、どのように対処するべきなのかという点は極めて重要な議題であり、政策課題であると言えます。

大変勉強になりました。
私の電子書籍に反映したいほどの重要な内容となっております。

Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスはこういったことを良くご存知のようでして、雇用を消滅させるITの威力を憂慮しており、ベーシックインカムを主張しているようです。

第四章で気になったことはピグー効果

ピグー効果は、需要が不足すると、商品の価格が下がって手持ちのお金でより多くのものが買えるようになるので、消費需要が増大するという効果だ。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.2972-2973).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

ピグー効果とは、有効需要が不足した場合、商品価格が下がるから消費需要が増大する効果のことなのだそうです。

これ、完全にデフレ・スパイラルになりますので、消費需要が増大するのは短期的なことだったり、個別の商品においては需要が増えるというだけなのではないかと。

物及びサービスを供給する民間企業は商品価格が下落したら、その分売り上げが減少する可能性が高まりますので、従業員を解雇して人件費を減らしたり、給料やボーナスを削減する場合もあります。

そうしたら国家経済における消費需要は減少することは確実だと思います。
※もちろんどれほど減少するのかという点はデフレの進行具合や税制などに影響を受ける。

確実に机上の空論だと思いますよ。

摩擦的失業(転職の際の一時的な失業であり、就職するまでの働いていない期間で発生する失業)やミスマッチ失業(求人と求職で条件が不一致した場合に発生する失業)にも言及しており、第四章では経済学的な話が続きます。

(前略)
ところが、実際に技術的失業を解消するには、需要を喚起するようなマクロ経済政策が欠かせない。
ITによってコールセンターや経理係の仕事を奪われた人が、無事に清掃員や介護の仕事に就くには、清掃や介護サービス分の需要が増大していなければならない。

引用元:井上智洋.純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落(日本経済新聞出版)(Kindleの位置No.3138-3141).株式会社日本経済新聞出版社.Kindle版.

技術的失業とは、有効需要不足とは切り離されて論じられておりますが、井上智洋は上記のように主張して、需要喚起のためのマクロ経済政策が欠かせないと主張します。

この点は同意ですね。
ユニバーサル・ベーシックインカムだけでなく、公共投資や防衛力整備、消費税廃止などが必要であり、どんどん需要を喚起するべきでしょう。

第五章以降に関しては人類史的な話だったり、地政学的な知見などもふんだんに盛り込まれている。

ただ、一貫的思うのは、井上智洋は知識の習得、知識の共有、知識の集積、コミュニケーションが国家の盛衰や人々の生活を変化させる要因であり、頭脳ことが重要なのではないかという問題意識が根底に流れているのではないかという点です。

人工知能が支配していない国家という価値

AIに注力して、国力を高めるべきであり、そのためには人材獲得のために巨額の給料を支払ってでも外国人を招聘するのも当然という主張のようです。

その点に関しては、同意なのですが、仮にAIが一般的に普及しなくても、それはそれで価値が生まれるのではないかと。

例えば、中国のように映像診断や画像診断系のAIの力で反中国共産党の思想を持っている人事前に逮捕するような人権無視であり、言論の自由への弾圧が公然と行われているのであれば、日本はある意味自由空間としての価値が出てくるのではないかと。

したがって、AIの導入をしないことが賢明な判断と言われる未来もあるのではと考えます。

また、AIだけでなく、マイクロチップを脳内に埋め込むような過激なIT化も拒否することが人間の奴隷化を防ぐことになるという場合も十分あり得ますよね?

以上です。

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