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経済ナショナリズムとは何か。経済ナショナリズムの特徴をご紹介する

更新日:

中野剛志著 『国力論

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年6月18日(令和元年6月18日)

経済ナショナリズムの特徴

経済ナショナリズムの特徴を簡潔にまとめてみました。

1、経済ナショナリズムは経済システムの多様性、自国の保有する産業の多様性を尊重する。

2、経済ナショナリズムは国家防衛政策を重視する。

3、経済ナショナリズムは、社会保障の充実と格差是正に親和性を持つ。

箇条書きにしてみましたが、一番から順に説明していきたいと思います。

経済システムの多様性、産業の多様性を認めよ

まず、経済ナショナリズムは経済システムの多様性を尊重します。
資本主義といっても、その国家ごとの特徴が多々ありますが、そのあるがまま認めていこうという考えなのです。

※アメリカの国家指導者に聞かせてやりたいです(笑)

親米派エコノミストは「アメリカ経済が好調だから、日本的経営や日本型資本主義から脱却して、アメリカ型になるべきだ」という意見に強硬に反対するのが経済ナショナリズムです。

日本の国情に絶対に合わないのです。

また、経済ナショナリズムは「産業は多種多様であるべきである」という考えです。

ある生産物を製造することができないとなると外国からの輸入に依存しなければなりません。

ある発展途上国において農産物の生産だけでGDPが決定されていたとすると、天候不順で農作物が大打撃を受けてしまった場合やその農産物の価格が大幅に下落してしまった場合にGDPが崩壊してしまいます。

つまり、ある産業だけに特化してしまうのは大変危険なことなのです。
例えるならば、資産をベンチャー企業一社の株に集中投資するようなものです。
リスクヘッジが全くできていないということでもあります。

経済ナショナリストは以上の理由から、自由貿易理論における「産業間の特化」に反対しています。

「産業間の特化」とは優位のない産業がまるごと消滅するような特化だからです。

日本は自動車を生産するのが得意で、中国が繊維製品を生産するのが得意だった場合には、日本は自動車の生産に特化し、中国は繊維製品に特化することになるが、そうなると日本の繊維産業が丸ごと消滅してしまいます。

その場合、衰退する繊維産業に従事していた労働者は、成長する自動車産業が吸収すればいいのだと経済学者や経済官僚は安易に考えています。

しかし、現実の社会では、ある産業に従事する労働者がまったく別の産業に転職することは容易ではありません。

産業構造の転換調整には時間が掛かります。
その間、衰退産業の労働者の生活は脅かされるものなのです。

このような「産業間の特化」では比較優位にない産業は著しい不利益をこうむることになるため、国内経済が分裂し、社会は不安定になってしまいます。

そのために、国は繊維産業の失業対策や雇用調整、ほかの産業への転換の促進といった膨大な調整コストを支払うことになります。

しかし、特化には「産業内の特化」というものが存在します。
これは、ある産業に属する個々の企業が製造する製品の範囲を絞り込むことです。

例えば、日本の繊維企業は高機能性材料、高級品あるいは製品デザインといった高付加価値製品に特化し、他方、タオルなどの低付加価値商品については中国の繊維企業に任せてしまうのです。

この場合、日本の繊維企業は完全に消滅することなく、中国の繊維企業と役割分担しながら、しぶとく生き残ることになります。

このような「産業内の特化」は一産業がまるごと消滅してしまうよりかは、国内社会の調整コストははるかに軽微なものになります。

国家防衛政策を重視せよ

次に、経済ナショナリズムは国家防衛政策を重視する点について説明したいと思います。

そもそも経済活動や国民生活は国家防衛という基盤の上に成り立つものなのです。

他国による武力攻撃の最中に安心して、買い物ができるでしょうか。
レジャースポーツができるでしょうか。

アニメやマンガを鑑賞することができるでしょうか。
企業活動ができるでしょうか。

また、軍事力の源泉は経済力です。
したがって、経済ナショナリズムにおいては軍事力と経済力は相互に強化しあう関係であると見なします。

他国による軍事占領が成功してしまったら、自国の国民のための経済政策を策定し、実行することが不可能になってしまいます。

自国経済が他国のための奴隷経済になってしまうことに経済ナショナリストは憤るのです。

社会保障の充実と格差是正に親和性を持つ

第三に、経済ナショナリズムは、社会保障の充実と格差是正に親和性を持つのです。

経済ナショナリストは社会保障を国民の怠惰を誘発する麻薬とは考えないのです。

なぜならば、しっかりとした社会保障体制が自国に構築されている場合に失敗を恐れずにリスクを取った挑戦的経済活動ができるのです。

それは、国民経済の活性化および国力の増強に寄与します。

例えば、失業対策や雇用対策が存在するから果敢に大事業に取り組めるし、老後の福祉、医療、年金が整っているから安心して現役時代に消費できるし、

こどもを産み、育てることに対する助成が存在するから安心して子供を出産養育できるのです。

ここで述べておきたいことは、国民国家において社会保障体制の整備にはナショナリズムが必要不可欠なのです。

なぜならば、仮にナショナリズムが全くない完全に自己中心的な経済人が存在するとしたら、大部分が「なぜ私の納めた税金を投入してまで社会的弱者、高齢者、子供などを助けなければならぬのか? 」と不満を漏らし、

社会保障の充実や整備を主張する政治家が選挙で落選してしまいます。

社会保障体制の構築や整備には同じ国民に対する惻隠の情が無ければならず、その源泉はナショナリズムなのです。

以上です。
経済ナショナリズムの記事が続きます。
何卒よろしくお願い致します。

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