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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年8月11日(令和4年8月11日)
本日はベーシックインカムの制度設計のために読んだ書籍をご紹介したいと思います。
『よくわかる公的扶助論:低所得者に対する支援と生活保護制度』
本書は、「公的扶助論」と題しているが、社会福祉士養成カリキュラムに社会福祉士の国家試験受験のための指定科目とされている「低所得者に対する支援と生活保護制度」(2021年以降は、「低所得者に対する支援」)の内容に合わせて作成されたものである。
引用元:『よくわかる公的扶助論:低所得者に対する支援と生活保護制度』pp1より
大学や短大、社会福祉士指定要請施設等において、国家試験受験指定科目としての公的扶助論のテキストとして使用できるように、社会福祉士養成カリキュラムが要請している内容はすべて網羅している。
まず、上記の書籍を読むまでの簡単な経緯から説明します。
私はユニバーサル・ベーシックインカムを導入するべきと考えています。
そこで問題になるのが、既存の生活保護制度とどのように折り合いをつけていくべきなのかという点です。
その問題に対する解決策を提示するためには、そもそも生活保護制度とは何かを知らなければなりません。
しかしながら、生活保護制度を理解するための初歩的かつ網羅的な書籍は出版されておりませんでした。
社会保障制度の中の1つとして触れられているものが大半でした。
最近になって社会福祉士の国家試験受験のためのテキストとして上記の書籍が出版されていることを知り購入しました。
生活保護制度に関する基本的なことが網羅的に記載されており、生活保護制度に関する裁判事例なども記載されております。
社会保障制度を論じる人間として、最低限これは知っておくべきという内容が詰まっており、是非ともお勧めしたいです。
以下において、重要なところだけを一部抜粋しつつ、生活保護制度とベーシックインカムの整合性について論じていきたいと思います。
生活保護制度の収入認定をどのように扱うべきか
収入認定は、「月額による」ものとされており、「収入に関する申告と調査」に基づき、被保護者から収入申請書を徴収することにより行われる。
引用元:『よくわかる公的扶助論:低所得者に対する支援と生活保護制度』pp50-pp51より
(中略)
他の法律、特に社会保障の各制度などによる給付や、親族などからの仕送り・贈与等は社会通念認定することが適当でないものや必要経費を除いて、いずれも全額が収入認定される。
生活保護制度によって、とある世帯が生活保護を受給することになった後も、その世帯の収入状況は定期的に把握されることになります。
なぜかと申しますと、生活保護を受給した後も可能な限り収入を得ることが求められ、労働による収入が発生している場合があるからです。
それを生活保護における収入認定と言います。
収入認定にあたっては、必ずしも全額が収入として認定されるのではありません。
基礎控除や必要経費、社会通念上収入として認めるのが不適当なものを差し引いた金額を「収入充当額」とするとのこと。
世間一般的には、労働収入があるとそれだけ生活保護受給額が減額されてしまい、労働意欲が削がれるとのイメージがあります。
ただ、それは不正確だったようです。
一方で、他の法律による給付金などがあればそれは収入認定されるのだそうです。
つまり、ベーシックインカムの支給額は収入認定されることになります。
ベーシックインカムが収入認定されると別居が最適解になる?
私は初め、生活保護受給世帯にはベーシックインカムを支給しないという考えでしたが、その考えは改めました。
なぜかと申しますと、ベーシックインカムを貰っていないこと、それすなわち生活保護受給世帯と判明してしまい、恥辱感を与えることになりかねないからです。
ただ、ベーシックインカムというのは生活保護制度が補足できない低所得者に対する給付金という性格が強いので、収入認定から全額控除するのは駄目なのではと。
生活保護受給世帯があまりにも豊かになり過ぎて、労働意欲を喪失してしまうのも問題です。
一方で、ベーシックインカムを全額収入認定してしまうと、家族が多い生活保護受給世帯においては、同居するより別居した方が裕福な生活を送れることになりかねません。
ベーシックインカムが家族という共同体を破壊するきっかけになりかねないということになります。
例えば、日本国民1人当たり月額5万円のベーシックインカムが支給され、とある生活保護受給世帯が父母子ども2人の合計4名構成だったとします。
仮にとある生活保護受給世帯に対するベーシックインカムの支給額すべてが収入認定(20万円)されてしまうと、生活保護の受給額が大幅に減少してしまいます。
父親だけの単身世帯として、母と子ども2人は別居した方が、給付額が多くなるということが考えられます。
したがって、生活保護受給世帯のうち、世帯主のベーシックインカム支給額は収入認定されるが、その同居人のベーシックインカム支給額は収入認定から控除されるという制度に改変するべきなのではないかと。
捕捉率約2割の生活保護制度は機能不全に陥っている
最後になりますが、上記でご紹介した『よくわかる公的扶助論:低所得者に対する支援と生活保護制度』において学んだことを説明したいと思います。
生活保護制度というのは諸外国と比べて、捕捉率があまりにも低いということが言われています。
とある調査においては、我が国日本の生活保護の捕捉率は約2割と言われております。
残りの約8割は生活保護を受給可能なのに、受給していないということになります。
日本国憲法第25条に基づき、文化的で最低限度の生活を保障することを目的とした生活保護制度が機能不全に陥っているのです。
そのため、生活保護制度の改善を図るべきなのですが、私から言えるのは以下の2点です。
1、扶養照会の廃止
2、地方自治体の財政負担軽減
扶養照会の廃止
1点目の扶養照会について説明します。
扶養照会制度とは生活保護を申請したご本人の親族に「あなた身内でしょ、援助できませんか」と行政が問い合わせるもの。
引用元:ストップ・ザ・扶養照会より
他人に迷惑をかけたくない、自分の窮乏を身内に知られたくない申請者は、この扶養照会によって申請意思が委縮し、多くが辞退に追い込まれています。
生活保護制度の特性上、扶養義務者の扶養をまずは模索しなければならないようです。
緊縮財政の悪弊がここにも表れていると言えます。
さらに2013年の法改正によって、扶養義務者が扶養義務を履行していない場合に、生活保護を決定するときに扶養義務者へ通知されるなど、扶養照会が強化されたとのこと。
ある意味、日本は村社会であり同調圧力や世間体を気にする人間も多いです。
これは生活保護制度をできるだけ利用させないようにする安倍政権の失政と言い切ってよろしいでしょう。
このような生活保護制度を利用しにくい仕組みを廃止して、それを全国的に周知することで、生活保護制度の改善を図るべきかと存じます。
地方自治体の財政負担軽減
2点目の地方自治体の財政負担軽減について説明します。
現在、生活保護の費用に関しては4分の3が国庫負担であり、4分の1が地方自治体の負担となっております。
私はこれが地方自治体の水際作戦(生活保護の申請を窓口で断ること)の背景にあるのではないかと考えています。
地方自治体の財政負担が大きいので、あまりにも生活保護受給世帯が多くなると支出が多くなり、地方自治体の財政収支を悪化させます。
自国通貨発行権を持たない地方自治体としては、厳しい判断となり、水際作戦が発動する動機になり得ます。
仮に、現在の4分の1の負担が10分の1の負担となれば、地方自治体としては少なくとも水際作戦をやりにくくなると思います。
生活保護の費用の9割を国庫負担として、地方自治体が1割負担となれば、生活保護受給世帯の消費行動で、生活保護を認定した地方自治体が潤う可能性すらあります。
以上です。