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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年6月6日(令和3年6月6日)
現代貨幣理論を理解しない浜田宏一
経済学でいわばダークホースの学説、MMT(現代貨幣理論:Modern Money Theory)によると、政府赤字が出ても、政府は紙幣を発行すればいいので、通貨発行国は破産することはない。
引用元:聖帝・仁徳天皇の逸話に学ぶ「コロナ救済の最優先事項」
政府が貨幣を発行しすぎるとインフレーション(以下、インフレ)が起こって国民を困らせることはある。
インフレが起きないならば、財政赤字は国民の福祉を助けるというのである。
本日はイェール大学名誉教授である浜田宏一氏(以下敬称略)の記事を引用させていただきながら、現代貨幣理論に関する理解不足(というか理解する意思が感じられない)について批判していきたいと思います。
現代貨幣理論においては、政府赤字が出ても、政府は紙幣を発行すればいいので、通貨発行国は破産することはないと説明しているわけではありません。
その国家において、自国通貨を発行できるのかそうではないのかという点で事情は異なりますし、自国通貨を発行していたとしても、変動相場制なのか、通貨バスケット制なのか、固定相場制なのか、管理フロート制なのかで異なります。
為替相場制についての言及はないし、自国通貨なのかユーロのような共通通貨なのかに言及がありません。
ユーロの場合、自国都合で貨幣を発行できませんので、場合によってはギリシャのようにデフォルトする場合がございますよ。
ミッチェル教授やレイ教授のように現代貨幣理論を提唱している方々は、変動相場制が一番政策余地が大きいという点はしっかりと主張しているので、それだけでも浜田宏一が現代貨幣理論を学ぶ意志が無いことは明白です。
また、政府が貨幣を発行しすぎるとインフレになるとの話がございますが、厳密には違います。
正確に申し上げれば、政府が支出を増やしすぎるとインフレになるというお話でございます。
貨幣発行と政府支出は厳密には違いますので、実体経済に直接影響が出るのかどうかという点をご考慮いただきたかったというのが率直な感想です。
日本には財政的予算制約は無い
ただ、MMTは十分注意して使わないと危ないこともある。
引用元:聖帝・仁徳天皇の逸話に学ぶ「コロナ救済の最優先事項」
社会が今のようにデフレで困っているときに政府の予算制約を外すということは、ゼロ金利下の金融政策だけでなく、財政支出を併用せよ、さらにはむしろ財政が主役となって金融が追随せよということになる学説なので、20年来デフレ基調の続いている日本経済の時宜にかなっている。
浜田宏一はMMT(現代貨幣理論)について理解を示すようなことを主張しつつも上記のように言及しております。
政府の予算制約を外すという言葉を使用している段階で現代貨幣理論を理解しておりません。
変動相場制を採用し、自国通貨を保有する政府に財政的予算制約は存在しないと主張しているのが現代貨幣理論ですから、そもそも財政的予算制約は無いのです。
にもかかわらず、予算制約を外すというのはどういったことなのでしょうか。
わけがわかりませんよ。
また、現代貨幣理論においては財政が主役であり、金融が追随せよということを主張しているわけではありません。
それは現代貨幣理論に基づく政策であり、現代貨幣理論から導けるのは就業保証プログラム(JGP)です。
税金という概念がわからない浜田宏一
しかし、経済学者としては副作用の可能性も指摘するのが正直であろう。
引用元:聖帝・仁徳天皇の逸話に学ぶ「コロナ救済の最優先事項」
インフレが始まると、どこかで国民の期待が今までの長いデフレの期待からインフレの期待に急転することがありうる。
そこで金利一定の下で貨幣供給を続けると、インフレが止まらなくなる恐れがある。
そのような際には、かつて米連邦準備制度理事会のボルカー元議長が行ったように急速な利上げを速やかに行う必要がある。
中央銀行が受動的な名目金利一定の金融政策から離れて、能動的なインフレ退治の主体にいつ変わるのかを、MMT論者はより真剣に考察する必要があると考える。
主流派経済学の学者らしく、インフレ懸念を口にする浜田宏一ですが、こういった懸念は杞憂に過ぎないと思います。
消費者物価指数やGDPデフレーターなどのインフレを測定する指標が存在し、所得税や法人税などの景気が過熱した場合に税収が増えるような税制が存在し、物やサービスの市場において新規参入が存在し、価格メカニズムが存在する日本で、インフレ懸念というのはどういったことなのでしょうか。
あまりにも需要増大型物価上昇(ディマンドプル・インフレ)が発生しにくい環境が整っているからこそ、我が国日本はデフレに苦しんでいるのです。
さらに言えば、現代貨幣理論は「内生的貨幣供給説」を主張しております。
簡単に言えば、貨幣供給とは、返済能力を保持する家計(個人)や法人の資金需要を前提として、民間金融機関の貸出によって決まるという考えのことです。
要するに、政策金利を上げたり、テーパリング(量的緩和の縮小)をしても、民間金融機関の日銀当座預金(準備金)を減らしたり、増やすのを抑制するということなので、あまり効果的とは言えないのです。
財政が主役とはいいながら、しっかりと金融政策を主役に持ってくるあたり、現代貨幣理論をご理解いただけていないようです。
なぜ仁徳天皇のことを褒めながら、消費税廃止に言及されないのか理解に苦しみます。
以上です。