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日本経済 現代貨幣理論

政策金利引き上げの条件とは何か。政策金利の定義と金融政策の選択肢

投稿日:

中央銀行

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2025年3月9日(令和7年3月9日)

本日は現代貨幣理論の基礎編であり、日本の金融政策の基本に立ち返る記事です。

政策金利とは何か

政策金利とは、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する短期金利(誘導目標金利)のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼします。

引用元:政策金利

まず、経済政策を語る上で、金利という言葉を安易に使うべきではありません。

政策金利、貸出金利、長期金利などが存在し、それぞれ別の意味合いがあります。

経済関連記事で、政策金利という単語が出た場合、上記引用元のような説明がされます。

我が国日本の政策金利は様々な紆余曲折があり、2024年3月からは無担保コールレート翌日物(オーバーナイト)と定めています。

※参考記事:日本銀行「金融市場調節方針の変遷を教えてください。」より

無担保コールレート(オーバーナイト物)とは、コール市場における無担保での資金貸借のうち、約定日に資金の受払を行い、翌営業日を返済期日とするものにかかる金利のことです。

引用元:日本銀行「無担保コールレート(オーバーナイト物)とは何ですか? 資金過不足とは何ですか?

要するに、日々の金融機関間における資金の過不足があり、日銀当座預金を借りて、翌日までに返済する場合の金利が無担保コールレート翌日物なのです。

現在の無担保コールレート翌日物はどのような水準なのでしょうか。

現在の政策金利は0.5%

日銀は24日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を0.5%程度に引き上げる追加の利上げを決定しました。
追加の利上げは去年7月の会合以来で、政策金利は2008年10月以来、17年ぶりの高い水準となります。

引用元:日銀 追加利上げ 政策金利0.5%程度に引き上げ 植田総裁が会見

2025年1月24日の金融政策決定会合にて、我が国日本の政策金利は0.5%程度に引き上げられました。

この政策金利引き上げによって何が発生するかと申しますと、長期金利の引き上げと貸出金利の引き上げになります。

例えば、一般法人向け貸出、個人向け貸出(住宅ローンを含む)、政府向け貸出、地公体向け貸出が貸出金利の対象となっています。

引用元:「貸出約定平均金利の推移」の解説

政策金利の引き上げがなぜ長期金利や貸出金利の引き上げにつながるのでしょうか。

それは説明すると、とても面倒な話なのですが、基本的なことを網羅的に説明したいので、丁寧に説明させてください。

政策金利がベースとなって、その他の金利も決まってしまう

まず、政策金利としての無担保コールレート翌日物の金利が0.5%に日本銀行が誘導します。

コール市場にお金を出すと、それを借りる金融機関が存在すれば、0.5%の利子が付与されて返済されます。

よほどの信用不安が発生しない限り、コール市場で返済されないことは無く、極めてローリスクな金融取引と言えます。

したがって、0.5%未満の貸出金利や長期金利というのは成り立たなくなります。

なぜならば、民間企業に0.5%未満の貸出金利でお金を貸してしまったら、貸し倒れリスクがあるのに、コール市場未満のリターンしかありません。

それは事実上のハイリスク・ローリターンということになってしまいます。

金融機関側からしたら、貸し倒れリスクを引き受けてお金を融通するのだから、政策金利よりも高い金利を設定させてくれということになります。

また、長期金利も同様のことが言えます。

日本国債は返済可能性が極めて高く、日本政府が借金返済意欲を喪失しない限り、必ず返済されます。

しかしながら、新規発行の10年物日本国債となると、10年後に元本返済ですから、資金拘束リスクがあります。

また、日本国債を購入後、現金化することができますが、債券価格の変動リスクも存在します。

そういったリスクがあるので、0.5%未満の長期金利で新規発行の10年物日本国債を購入すると、ハイリスク・ローリターンになります。

それは避けたいと考える金融機関は国債市場で国債を購入するのを控えるようになり、需要が減少します。

その結果、債券価格は低下し、逆相関である長期金利は上昇することになります。

以上のことから、政策金利こそがベースの金利なのであって、その他の金利は政策金利以上になる場合がほとんどです。

一般的には、政策金利 < 長期金利 < 貸出金利という状態になります。

設備投資が抑制され、不動産投資も抑制される

長期金利や貸出金利が上昇するとどういったことになるかと申しますと、民間経済への貨幣創造が抑制されます。

住宅ローンに限定して申し上げれば、住宅ローン金利が高くなると、ローンを組んだ個人の返済総額が増額されます。

その結果、住宅ローンを組んでまで新築の戸建てやタワーマンションを購入するのを控えようという方が一定数現れてしまいます。

住宅に対する需要が低下して、住宅価格の押し下げ要因となります。

したがって、不動産バブルが発生していると思われる場合は、政策金利の引き上げが間接的な不動産価格引き下げ誘導政策となり得ます。

また、半導体製造装置を製造している民間企業などへの貸出金利が上昇することで、民間企業の設備投資需要が低下します。

なぜならば、貸出金利の上昇で、民間企業の返済総額が増額してしまい、経営を圧迫してしまうからです。

設備投資とは短期的には需要の増大であり、長期的には供給拡大につながります。

したがって、設備投資が減少するということは短期的には需要減少になりますから、景気悪化の懸念材料となり得ます。

一方で、メリットもあります。

長期金利上昇に伴う自国通貨高に誘導しやすいという点です。

変動相場制を採用している限り、他国との相対的評価になりますが、長期金利の低い国より長期金利の高い国に資金が移動しやすいのです。

仮に、長期金利が0.5%の国と、長期金利が4%程度の国があった場合、長期金利が高い方の通貨にお金を移し、国債で運用した方が利益が出ます。

現在の日本こそが長期金利が低い国であり、現在のアメリカ合衆国が長期金利の高く国に該当します。

それが原因で、急激な円安が為替相場で発現しているのです。

仮に、我が国日本の政策金利が5%で、長期金利が7%だったとしましょう。

世界の資金の流れは圧倒的に日本に向かうことほぼ確実と言えます。

それは、円買いとドル売りが自動的に発生し、為替相場において円高方向に振れることになります。

政策金利を引き上げていい条件とは

以上を踏まえて、本日の記事の核心部分に踏み込みます。

政策金利は引き上げていいのでしょうか。

どのような条件があれば引き上げていいのでしょうか。

それを私個人としては、以下のように考えます。

上記4つの条件の内、3つ以上該当するのであれば、政策金利の引き上げを決断するべきと考えています。

設備投資減税も、中小企業投資促進税制が2025年3月末で期限切れですから、今年の4月以降は上記4つをすべて満たしておりません。

政策金利のメリットを最大化して、デメリットを最小化する環境が整えば、むしろ政策金利を引き上げるべきです。

しかしながら、現在の日本においては、上記4つ目の条件はぎりぎり満たしていると思いますが、それ以外は満たしていません。

最終手段としては政策金利を引き上げるという選択肢を保持しておきたい

政策においては、やはり選択肢が多い方が有利ですし、国家運営がやりやすくなります。

それは財政政策だけでなく金融政策も同様であり、私は政策金利の引き上げという手段を保持するべきと考えます。

もちろん、どのような水準で引き上げるのか、いつ引き上げるのかというところは経済情勢や雇用情勢を見極める必要があるでしょう。

以上です。

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