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大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2025年5月3日(令和7年5月3日)
本日はアメリカ経済の記事です。
IT関係の勉強に勤しむことになりましたので、次回更新までちょっとだけお時間頂戴したいと思います。
非農業部門雇用者数が減少傾向のトレンドは止まらない
米労働省が2日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、ロイター調査によるエコノミスト予想の13万人増を上回った。
(中略)
失業率は4.2%で前月と変わらず。
予想も4.2%だった。
第1・四半期の国内総生産(GDP)が縮小したことを受けて浮上した景気後退懸念が和らいだ。
しかし、トランプ大統領の二転三転する関税政策の影響が労働市場に現れるには時期尚早だとみられる。
アメリカの労働省が発表する雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、予想を上回りました。
また、失業率は4.2%で予想と一致しました。
景気後退に入るかどうかを判断する指標として、雇用統計はとても需要なのです。
一見すると、最近の雇用統計は悪くないように見えます。
しかしながら、今年の2月と3月の非農業部門雇用者数が速報値よりも下方修正されております。
さらに、政府部門の雇用者数がどんどん目減りしており、関税の負の影響が出てくることを考えると楽観視はできません。
したがって、少なくとも雇用という面からは景気後退一歩手前であると私は判断しております。
安全保障以外では予算削減に舵を切るトランプ政権
トランプ米政権は2日、2026会計年度(25年10月─26年9月)の予算教書を公表し、国防費を除く裁量的経費を総額1630億ドル削減することを提案した。
ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)の声明によると、25年度の実績と比較し、裁量的経費を23%削減し、17年以来の低水準に抑制する。一方、国防費は13%、国土安全保障費は約65%増額する方針。
アメリカの会計年度は10月開始で9月終わりなので、2025年10月から新年度予算が執行されます。
その新年度の予算教書が発表されたのですが、安全保障以外では予算削減するという軍事ケインズ主義的な予算になりそうです。
私個人としては、アメリカの財政赤字がどれくらい拡大するのか、どの分野に重点配分されるのかに注目してきました。
国境警備や軍事関連に予算を重点配備するのは理解できるのですが、安全保障以外の予算削減が気になりますね。
なぜならば、安全保障以外の予算規模が大きい場合、予算削減割合によっては黒字財政に陥る可能性が高まるからです。
予算が正式決定されるまで、まだ期間がありますし、上院下院両院にて可決されるかは微妙ですね。
仮に、黒字財政に陥ってしまった場合、民間経済に供給されるお金よりも民間経済から徴収するお金の方が多いということになります。
したがって、景気後退に陥る可能性が高まります。
それが失業の増加につながり、失業したアメリカ人が背に腹は代えられぬとばかりに保有する現物株式を売却します。
その株価下落を受けて、AI系ヘッジファンドが空売りを仕掛け、売りが売りを呼ぶということになるかもしれません。
現状の月次連邦財政収支を確認してみましょう。
月次連邦財政収支においては赤字財政が継続中
上記の画像は月次連邦財政収支になるのですが、予算削減を目指しているトランプ政権の意図とは裏腹に財政赤字を継続中です。
なぜか個人投資家は月次連邦財政収支という指標に着目していないのですが、私は着目しています。
この数字が黒字で継続した場合は要注意なのです。
かの有名なITバブル崩壊のときには財政黒字が計上されており、そのときの月次連邦財政収支を確認すると冷や汗が出ます。
率直に申し上げて、月次連邦財政収支が黒字になり、それが継続するようになったなら、私はアメリカ株の積立買い付けを止めるかもしれません。
現時点の月次連邦財政収支を確認すると、景気後退入りの兆候はありません。
原油価格はどんどん切り下がっていく
欧米の石油メジャー5社が2日までに公表した2025年1〜3月期決算は、最終利益の合計が前年同期と比べ29%減の205億3100万ドル(約2兆9500億円)だった。
原油価格の下落をうけ、13%減だった24年10~12月期と比べ減益幅は拡大した。
今後の業績はさらに悪化するとの警戒が強い。
(中略)
1〜3月期の減益幅拡大の理由は、原油価格の低迷だ。
米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の25年1〜3月の平均価格は1バレル約75ドル。
前年同期の82ドルと比べて約1割低下した。欧州指標の北海ブレント原油先物も前年同期比1割下げた。
コストプッシュ・インフレ(費用増大型物価上昇)の主要要因である原油価格の高騰です。
原油先物価格で有名なWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の25年1月から3月の平均価格は1バレル約75ドルです。
けれども、トランプ大統領が相互関税を発表した途端にWTI先物が急落し、1バレル60ドルを下回りました。
※参考:WTI原油先物
なぜならば、高関税政策の導入で、景気後退懸念と世界貿易減少に伴う燃料需要の低迷が予想され、原油先物市場から資本が流出したからです。
原油先物価格というのは景気の先行き指数とも言われており、景気後退の懸念が強まりました。
相互関税の影響が反映されていないのに実質国内総生産がマイナス圏突入か
米商務省が30日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.3%減となった。
米経済がマイナス成長に陥るのは2022年第1・四半期以来3年ぶり。
トランプ大統領が打ち出す関税措置を前に、企業による大量の駆け込み輸入があったことが響いた。
2025年1月-3月期の実質国内総生産が年率換算マイナス0.3%と発表されました。
トランプ大統領が就任してから、内需を冷やすような政策ばかりが先行していたこともあり、中国への追加関税などもありました。
その結果、高関税政策導入の前の駆け込み輸入があり、一時的に輸入という国内総生産にとっての控除項目が増えてしまったようです。
一時的に実質国内総生産が落ち込むという話では済まないのではないかというのが私の見立てです。
なぜならば、相互関税が発表されて、結局のところ関税導入は中国以外の国家に対しては一時停止となりましたが、相互関税導入は7月以降だからです。
おそらく民間企業はトランプ大統領の政策変更という不確実性を嫌って、今も輸入を増やしていると思われます。
しかも、世界経済の先行きの不透明感(トランプ大統領という不確実性の高まり)があるため、大規模な設備投資とはなりにくいでしょう。
したがって、2025年4月-7月期も輸入増加と設備投資低迷で実質国内総生産が前期比微増となってしまうのではないかと。
国内総生産が低迷するということはお金の巡りが悪くなるということですから、景気後退懸念は一層強まります。
長期金利の高止まりは景気後退を助長しかねない
国債の金利上昇(=価格下落)は何が問題なのか。アメリカでは多くの人が借金をしてさまざまな消費行動をとります。
住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどさまざまです。
金利が上昇すればローンの支払額がふくれあがり、消費を冷やすことにつながりかねません。
さらには企業の借り入れ金利が上昇すれば設備投資などにも悪影響が出かねません。
そして一番大きな懸念材料は銀行の財務状況の悪化です。
アメリカの銀行は大量の債券を保有しています。
金利上昇(=価格下落)によって含み損が膨らめば、財務状況が悪化し、大きな信用リスクにさらされます。
最悪、銀行破綻につながるおそれもあります。
アメリカの10年物国債の利回りのことを長期金利と言います。
長期金利の高止まりは実体経済に様々な悪影響を及ぼすことで知られております。
上記引用元でも紹介されております通り、住宅ローンが組みにくくなりますし、それに伴い住宅需要も低下します。
さらに、企業の借り入れ費用は増えてしまいますし、国債を購入している金融機関の含み損になります。
個人的に心配しているのは商業用不動産の借り換え問題です。
商業用不動産が本当に怖いリスクとして顕在化するか
ほとんどの不動産は、多額の最終支払いを必要とする比較的短期のローンで資金調達されている。
通常、その支払いは新規ローンで賄われるが、金利の上昇により、借り換え後の返済額が賃料から得られる現金よりも高くなる可能性がある。
MSCIによると、2022年以降、オフィスの価値は平均23%、住宅は平均20%下落している。
簡単に言えば、商業用不動産は短期ローンでお金を借りて店子に不動産を貸して賃料収入でローン返済しているのです。
しかしながら、政策金利や長期金利の高止まりの結果、ローンを組むときの利払いが大きくなり過ぎてしまい、赤字経営に陥ってしまうのです。
その結果、赤字を垂れ流すよりは損切りして商業用不動産を売却しようという動きが加速して、商業用不動産市場から資本が逃げます。
また、商業用不動産ローンを提供している金融機関もダメージを受けますから、国債価格低下も相まって信用不安が醸成され易いと言えます。
これがとても怖いのですよ。
かつてサブプライムローン問題が顕在化していない時期のような不気味さを醸し出していると私は感じているのです。
昨年は話題になりましたけども、今年に入ってからは話題にはなっていないことがさらに怖いですね。
本当の株価暴落と信用不安というのは誰も騒いでいないときに末期的症状が出始めます。
サブプライムローン問題、リーマンショック、米中貿易摩擦、これらを経験してきた私だからこそ過剰に恐怖を感じているかもしれません。
いずれにせよ、この本能的に感じとってしまったことが顕在化するかもしくは取るに足らない問題だったのか答えはもうじき出るでしょう。
以上です。