大変お世話になっております。
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年5月15日(令和元年5月15日)
本日は最低賃金の記事になります。
そもそも最低賃金とは何か
まず、最低賃金とは何かという説明をしなければなりません。
最低賃金とは、法律で定められた労働者の最低時給であり、その雇い主は最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
我が国日本においては最低賃金法が根拠法として定められています。
最低賃金法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=334AC0000000137
第一条 この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
最低賃金とはある意味、労働者にとってのセーフティネットであり、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
我が国日本は地域別最低賃金を定めており、47都道府県毎に最低賃金が定められております。
諸外国では全国一律の最低賃金が定められていることが多く、我が国日本はきめ細かく決められていると言えます。
これにより、我が国日本の地域間経済格差を最低賃金という物差しで測ることができます。
我が国日本における最低賃金の現状をグラフで見てみましょう。
最低賃金の加重平均額は年々右肩上がりで増えているようです。
加重平均額とは何かという点について、厚生労働省のHPから一部引用し、説明致します。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/05/yougo.html
「加重平均」
企業の賃上げ額を賃上げの影響を受ける常用労働者数を計算に反映させ、1人当たりの平均値を算出する方法をいう。
※「単純平均」及び「加重平均」の具体的な計算方法は次のとおり。
企業A 賃上げ額: 2,000円 常用労働者数: 70人
企業B 賃上げ額: 1,000円 常用労働者数: 30人
単純平均:(2,000円+1,000円)÷2企業=1,500円
加重平均:(2,000円×70人+1,000円×30人)÷(70+30)=1,700円
最低賃金の加重平均額とは、地域間の労働者数を加味した、より実質的な金額のことです。
最低賃金の加重平均額が右肩上がりということは全国平均としては、最低賃金が底上げされていると言えましょう。
今度は、最低賃金が一番低い地域と一番高い地域の差を見てみましょう。
平成14年度においては最低賃金の地域間格差が100円程度だったのに、平成30年度においては倍以上になっています。
地域間の経済格差が拡大していると解釈せざるを得ません。
最低賃金はどのように決定されるのか
最低賃金とはどのように決定されるのでしょうか。
おそらく、正確に答えられる人間は数少ないと思われます。
こちらも、厚生労働省のHPから一部引用致します。
最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_saiteichingin_02.html
具体的には、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されます。
最低賃金は公益代表、労働者代表、使用者代表の委員で構成された最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しており、一方的な意見で決定されているわけではございません。
言い換えるならば、政府の意向だけで決められるわけではないですし、労働者の意見だけで決められませんし、企業経営者だけで決めることができません。
したがって、最低賃金を一方的に操作すれば、問題は解決するといった簡単な問題ではないと認識しなければなりません。
さて、最低賃金の決め方についてもっと詳細に調べてみましょう。
最低賃金は最低賃金法第3条において『最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。』と定められております。
労働者の生計費とは、そのままの意味と捉えてよさそうです。
労働者が必要最低限の文化的な生活を営むために、必要なお金を割り出し、それを満たすような賃金水準にするということです。
ある意味当然ですね。
必要最低限の文化的な生活すら送れないようでは、セーフティネットとして最低賃金が機能しません。
類似の労働者の賃金とは、同地域の労働者全体の賃金水準、もしくは低賃金労働者の賃金水準のことです。
労働者全体の賃金水準を目安にするものと解釈できそうです。
一部の労働者だけとなれば、異様に高い水準の最低賃金になる可能性がございます。
通常の事業の賃金支払い能力とは、とある業種において正常に経営していた場合の賃金経費の負担能力のことであり、個々の企業の賃金経費の負担能力のことではありません。
企業側の支払い能力も加味されて最低賃金は決められるようです。
※ある意味当然ですね。最低賃金を支払えないから企業が市場からすべて退出してしまうのは避けねばなりません。
※上記の3つの考慮する点は厚生労働省のHPを参考にしました。
参考URL: https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0303-9c.html
最低賃金は引き上げるべきなのか
さて、最低賃金に関する議論に関して、核心的なところに踏み込みたいと思います。
最低賃金は引き上げるべきなのか否かという問題です。
結論から申し上げれば、最低賃金は引き上げるべきです。
なぜならば、最低賃金が低いままだと、働かなくても生活保護を受給した方がお得な状況が生まるからです。
また、労働意欲を促進し、低賃金労働者がより豊かにならなければ、経済的な豊かさが国家全体に行き渡ったことにならないからです。
ただ、現状の最低賃金の伸び率はあまりにも低過ぎると言わざるを得ません。
デフレ経済下においては、継続的に物価が下落します。
継続的に物価が下落すると、企業収益が伸び悩みます。
企業収益が伸び悩むと、企業は安心して昇給や時給単価アップに踏み切れません。
したがって、大規模財政出動と異次元緩和を以て、デフレ脱却することにより、昇給や時給単価アップを促す必要があります。
政策目標に最低賃金の引き上げ率を明記すべき
私は経済政策を立案する際には、最低賃金の引き上げ目標を明記するべきだと考えています。
GDPの実質経済成長率やインフレ率を政策目標として掲げるのは当然として、最低賃金という低賃金労働者にとって一番恩恵のあるものを政策目標に掲げるのは意義深いことであると考えるからです。
最近の経済政策に感じることなのですが、ある意味エリートと言いますか、地に足がついていない議論が散見されます。
私は弱者の味方でいたいと切に願います。
できるだけ、思いやりのある政治、思いやりのある経済を実現することが閉塞感のある日本において必要なことだと思います。
インフレ率が4%ならば、最低賃金の引き上げ率は8%とするべきと存じます。
基本的にはインフレ率にプラスして4%の最低賃金の引き上げが望ましいです。
それ以上にしてしまうと企業側の賃金経費の負担能力的限界にぶち当たるでしょう。
また、地域間の最低賃金の格差の是正も必要です。
現在は200円以上の格差がございますので、これを100円以内に縮小すると政策目標に明記するべきだと思います。
このあたりはエビデンスを揃え、議論を深めるべきです。
以上です。今後とも情報発信を頑張りますので、何卒よろしくお願い致します。