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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年6月10日(令和元年6月10日)
消費はどのような要因によって決定されるのか
私は消費税廃止こそが消費を増やすための最善策であることを説明してきました。
拙ブログをお読みの読者様は、消費を増やし、雇用を増やし、力強い経済成長を達成するためには消費税廃止が一番有効であると理解していただけたと信じています。
ただ、消費税廃止には唯一デメリットが存在します。
それは消費税廃止によって消費が増加し、過度に物価が上昇してしまう可能性が高まるという点です。
消費税は「消費の抑制」を目的とした税制ですから、それが無くなるということは消費を増やし景気を良くするというメリットと同時に、消費が増え過ぎるのを抑制する鎖が消滅するというデメリットも生じます。
現在の我が国日本はデフレ状態ですから、あまり想像しにくいとは思います。
しかしながら、万が一物価が上がり過ぎて低所得者の負担が過度に大きくなり、国民生活に混乱が生じてしまった場合を考える必要があります。
経済政策を真剣に考えるということは、現在の経済環境が変化した場合でも対応できるような政策を考えるということでもあります。
したがって、消費が爆発的に増え、物価が過度に上昇した場合も想定する必要があります。
それでは、過度な物価上昇にどのように対応するのかということを論じる前に、消費とはどのような要因によって決定されるのかという点を考えてみたいと思います。
国家経済全体の消費がどのように決定されるのかという難問に対して、経済学者は解答を試みました。(注:福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門 第4版』有斐閣、2011年p30-45より)
J・M・ケインズの可処分所得仮説、モディリカーニや安藤らによって考え出されたライフサイクル仮説、ミルトン・フリードマンの恒常所得仮説、トービンの流動資産仮説などが代表例として挙げられます。
簡潔にご紹介しましょう。
J・M・ケインズの可処分所得仮説
J・M・ケインズの可処分所得仮説とは「消費は現在の可処分所得に依存して決定する」というものです。
可処分所得とはお給料から税金を差し引いた残りであり、実際に日本国民が消費や投資に回すことができるお金のことです。
可処分所得仮説が正しいとするならば、減税したり、政府が公共事業を増やしたりすることによって消費が増えるということになります。
ライフサイクル仮説
モディリカーニや安藤らによって考え出されたライフサイクル仮説(生涯所得仮説)とは「消費はその個人の一生涯において稼ぐ可処分所得に依存して決まる」というものです。
ライフサイクル仮説が正しいのであれば、日本国民が生涯稼ぐ可処分所得を増やすことができれば、消費を増やすことができるということになります。
ミルトン・フリードマンの恒常所得仮説
ミルトン・フリードマンの恒常所得仮説とは「消費は、人々が現在から将来にかけて稼ぐことができる可処分所得の平均値としての恒常所得に依存して決まる」というものです。
例えば、会社員が支給される定額給与が恒常所得に相当します。競馬、競艇、宝くじに当たったことで得られる所得は変動所得と呼ばれ、恒常所得とは区別されます。
恒常所得仮説が正しいのであれば、毎月支払われる定額給与を増やすことができれば、消費を増やすことができるということになります。
トービンの流動資産仮説
トービンの流動資産仮説とは「消費は可処分所得に加え、流動資産の保有量に依存して決まる」というものです。流動資産を簡潔に説明しますと、すぐに現金化できる資産のことです。銀行の口座にある預金などを指します。
日本国民Aと日本国民Bが存在したとしましょう。年収が共に400万円で可処分所得が同じだとします。
しかし、流動資産を比較するとAは貯金が10万円しかないのに、Bは100万円の貯金がありました。さて、AとBを比較したらどちらがより多く消費するでしょうか。流動資産仮説が正しいとするならば、Bがより多く消費します。
参照URL:http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/1005/1/18_0016.pdf
ここまで、消費がどのような要因によって決定されるのかという仮説を紹介しました。
これ以上は極度に難しいお話になりますので、言及を控えたいと思います。
これらの仮説には様々な批判が寄せられており、どれも完璧に消費を説明することができません。
人間の行動である消費を単一の仮説で説明しようとすること自体に相当な無理があると思います。
なぜなら、人間は機械ではなく、感情を持った生き物だからです。
ただ、本節で紹介した仮説を学ぶことによって、消費の増やし方と減らし方を同時に理解することができます。
消費を増やしたいなら所得を増やせ
消費を増やしたいのであれば、可処分所得を継続的に増やす政策を実行します。消費を減らしたいのであれば、可処分所得を継続的に減らす政策を実行すればよいのです。
例えば、消費を増やしたい場合を考えましょう。可処分所得仮説においては、可処分所得を増やせばよいので問題ありません。
ライフサイクル仮説(生涯所得仮説)においては、可処分所得が継続的に増えれば、当然ながら生涯所得も増えるわけですから消費が増えます。
恒常所得仮説においては、定額給与を継続的に増やすことができれば、消費は増えます。
流動資産仮説においては、可処分所得を継続的に増やすと貯蓄も増えます。可処分所得から消費を差し引いた残りが貯蓄であり、可処分所得が増えた分を全額消費に回すことは少々考えにくいからです。
日本国民の場合は、銀行口座に預けられることが多いでしょうから、流動資産が増えるわけです。
したがって、必然的に消費は増えます。可処分所得を継続的に増やすという案は、代表的な仮説すべてに合致します。
我々のような一般庶民は難しく考える必要などなかったのです。
お話を本筋に戻します。どのようにすれば、消費増加による過度の物価上昇を抑制できるのでしょうか。
可処分所得の継続的増加を抑制するために、増税するべきなのです。
可処分所得とは給料から税金を差し引いた残りですから、増税すれば必然的に可処分所得の増加を抑制できます。
私はすべての増税を認めないわけではありません。
日本経済にとって、増税が必要な状況になったら、躊躇なく増税を主張するつもりです。