大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年1月10日(令和二年1月10日)
男系固執派の書籍を読んでみた
萬世一系を守る道―なぜ私は「女系天皇」を絶対に容認できないのか
単行本 – 2012/10 小堀 桂一郎 (著)
内容(「BOOK」データベースより)
皇室解體の陰謀、隠れ共和主義、無知な有識者たち…日本の寶を、國體の尊嚴を守るために立ち向かう。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小堀/桂一郎
昭和8年生まれ。
昭和33年東京大學文學部獨文學科卒業。
昭和36~38年舊西ドイツ・フランクフルト大學に留學。
昭和43年東京大學大學院博士課程修了、文學博士、東京大學助教授。
昭和60年同大教授、平成6年定年退官。
平成16年まで明星大學教授。
東京大學名譽教授。
専攻は比較文化、比較文學、日本思想史。
著書に『若き日の森鴎外』(東京大學出版會、昭和44年讀賣文學賞受賞)、『宰相鈴木貫太郎』(文藝春秋、昭和57年大宅壯一ノンフィクション賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
【総合評価】 星一つ!★☆☆☆☆
まず私の立場として、皇室における皇位継承問題においては女系公認論者です。
ただ、私とは異なる立場の方々の書籍も吟味する必要があると思い、購入致しました。
購入する価値があるかと言われたら、全力で否定させていただきます。
そもそも、男系継承を何故維持するべきなのかという肝心なところから逃げています。
また、文章自体も旧かな使いなので、読みにくいことこの上ありません。
読んでいてストレスが半端ではありません。
小堀氏は女系公認論者の言い分を記載し、それを批判するという形式でお話を進めている箇所がございます。
一部ご紹介します。
・・・(前略)・・・ここには明らかに、日本の國土の王たる人は私、天照大神の子孫である、今出發しようとしてゐるのは私の孫なる瓊瓊杵尊である、といふ事實が言ひ表されてをります。
(小堀桂一朗『萬世一系を守る道』,p56より一部引用)(注:uematu tubasaが一部読みやすいようにかな使いと漢字を直しました)
そこから、女神の子孫が皇室の系譜を形作つてゐるのだから、天皇の血統はもともと女系の發祥を有している、つまり女系天皇は源まで遡れば神勅によって正当性を保障されてゐるのだ、百二十五代の皇統が男系で一貫してゐるのは偶然の集積であり、結果として成立した伝統であるに過ぎないとの立論が出てくることになるのです。
天壌無窮の神勅により、そもそもの皇統の発祥は女神という主張があると言いたいのだと推察します。
小堀氏は天壌無窮の神勅に基づく女系公認論者の主張に批判を試みているのですが、内容が理解できません。
私としてはしっかりと批判していただき反論したいのですが、それがどうしても理解できません。
上記の文章が出現してから、約22頁ほど批判に費やされているのですが、何を主張しているのかわかりません。
さすがに約22頁分も文章があって、理解できないというのは私の読解力が低いだけではありますまい。
結局のところ、何を主張しているのかわからない箇所が随所に出現し、わけのわからない単行本になってしまっております。
理解できるところもあるにはあるのですが・・・。
残念です。
小堀氏は一般の日本国民に伝えようという情熱と誠実さを失ってしまったかもしくは一般の日本国民に理解してもらおうという考えがそもそも皆無なのかのどちらかだと思います。
このような人間になりたくありません。
考えは様々かと存じますが、作家とか学者というのは自分の考えに共鳴してくれる方々を一人でも多く輩出することを目的とするべきだと思います。
天壌無窮の神勅とは何か
上記において、天壌無窮の神勅という言葉が出てきますが、おそらく皇室や記紀についてご存知でない方にとっては何のことかわかりませんよね(>_<)
天壌無窮の神勅を簡潔に言えば、天皇及び皇族の方々が何故皇室として存在しているのか、皇室の正当性の根源的なお話であり、根拠になるものです。
神勅(しんちょく)ということばがあります。
https://www.izumo-murasakino.or.jp/kotoba-002.html
”勅”という字はみことのり、仰せになること、お言葉、が意味ですので、神勅は「神さまのお言葉」という意味になります。
日本の神話において、神さまのお言葉はたくさんありますが、その中で最も重要な神勅が三つあります。
「天壌無窮の神勅」「宝鏡奉殿の神勅」「由庭稲穂の神勅」
この三つの神勅を神道界では三大神勅と言っています。
三大神勅の最初の一つが「天壌無窮(てんじょうむきゅう)の神勅」です。これは日本書紀の天孫降臨の章において、皇孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上に降りられる際に、天照大御神がおっしゃった言葉です。
「葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の国は、これ吾が子孫(うみのこ)の王たるべき地(くに)なり。宜しく爾(いまし)皇孫(すめみま)就(ゆ)いて治(しら)せ。さきくませ。宝祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、まさに天壌(あめつち)と窮(きわま)り無けむ」
この日本の国は、私の子孫が王となるべき地である。
皇孫であるあなたが行って治めなさい。
無事でいるように。
皇室が栄えることは、天地がある限り永遠である。
というお言葉です。
おそらく日本人の大半は意識していないと思いますが、なぜ上皇陛下や天皇陛下のご一族が皇室として尊敬を集めてらっしゃるのでしょうか。
天照大神の子孫だからこそ、現在の天皇及び皇族の方々は皇室としての正当性があり、立憲君主であり祭祀王として振舞う正当性がございます。
天皇及び皇族の方々以外でも、超絶的に長い家系図が存在し、それが科学的にも証明されているのであれば、現在の天皇及び皇族の方々と同じくらい尊敬され、皇室と同じような地位にいて不思議はありません。
しかしながら、仮に超絶的に長い家系図を保有している家柄の日本人が存在していたとしても、皇室に成り代わることはできません。
天壌無窮の神勅を受けていないからです。
そこには長く続いた家柄が存在しているだけです。
そして、この天壌無窮の神勅を苦々しく思っているのが男系固執論者なのです。
天皇たる正当性、皇室たる正当性に男性であることという限定条件が明確に規定されていないからです。
天壌無窮の神勅には、天照大神の子孫であることだけが明記されており、性別は明記されていないのです。
したがって、その論拠を崩したくて小堀はいろいろ批判したのでしょうが、全く支離滅裂なのです。
男系固執論者の書籍だから星1つにしたわけではありません。
あまりにも書籍として粗雑過ぎるため星一つです。