大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2024年10月26日(令和6年10月26日)
本日は令和6年度の最低賃金の記事です。
拙ブログのお越しの方々に対しては、釈迦に説法かと存じますが、何卒よろしくお願いします。
そもそも最低賃金とは何か
まず、最低賃金とは何かという説明をしなければなりません。
最低賃金とは、法律で定められた労働者の最低時給であり、その雇い主は最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
我が国日本においては最低賃金法が根拠法として定められています。
最低賃金法 第一条
この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。引用元:最低賃金法
最低賃金とはある意味、労働者にとってのセーフティネットと言えます。
したがって、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
我が国日本は地域別最低賃金を定めており、47都道府県毎に最低賃金が定められております。
諸外国では全国一律の最低賃金が定められていることが多く、我が国日本はきめ細かく決められていると言えます。
最低賃金とはどのようなプロセスを経て決定されるのでしょうか。
おそらく、正確に答えられる人間は数少ないと思われます。
こちらも、厚生労働省のHPから一部引用致します。
最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しています。
具体的には、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されます。
最低賃金は公益代表、労働者代表、使用者代表の委員で構成された最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しております。
したがって、特定の政治勢力の一方的な意見で決定されているわけではございません。
言い換えるならば、政府の意向だけで決められるわけではないですし、労働者の意見だけで決められませんし、企業経営者だけで決めることができません。
また、最低賃金を一方的に操作すれば、問題は解決するといった簡単な問題ではないと認識しなければなりません。
最低賃金はどのような要因を考慮して決めていくのか
最低賃金は最低賃金法第3条において『最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。』と定められております。
労働者の生計費とは、そのままの意味と捉えてよさそうです。
必要最低限の文化的な生活を営むために、必要なお金を割り出し、それを満たすような賃金水準にするということです。
なぜならば、必要最低限の文化的な生活すら送れないようでは、セーフティネットとして最低賃金が機能しないからです。
類似の労働者の賃金とは、同地域の労働者全体の賃金水準、もしくは低賃金労働者の賃金水準のことです。
労働者全体の賃金水準を目安にするものと解釈できそうです。
一部の労働者だけとなれば、異様に高い水準の最低賃金になる可能性がございます。
通常の事業の賃金支払い能力とは、とある業種において正常に経営していた場合の賃金経費の負担能力のことです。
したがって、個々の企業の賃金経費の負担能力のことではありません。
企業側の支払い能力も加味されて最低賃金は決められるようです。
なぜならば、最低賃金を支払えないから企業が廃業、倒産してしまう事態は避けるべきだからです。
民間企業が廃業、倒産してしまったら、我が国日本の供給能力が低下し、供給低下型物価上昇(サプライダウン・インフレ)に陥ってしまいます。
参考URL: 厚生労働省「最低賃金の決定基準」
最低賃金の底上げと地域格差の縮小を目指せ
以上を踏まえて、私個人の最低賃金に関する基本的な考えを述べさせていただきます。
まず、最低賃金は引き上げるべきなのでしょうか。
結論から申し上げれば、最低賃金は引き上げるべきです。
なぜならば、最低賃金が低いままだと、働かなくても生活保護を受給した方がお得な状況が生まるからです。
最低賃金が不当に低い経済においては、労働意欲の減退を招き、国民経済全体の供給能力の低下につながります。
また、労働意欲を促進し、低賃金労働者がより経済的に豊かにならなければ、経済的な豊かさが国家全体に行き渡ったことにならないからです。
けれども、現状の最低賃金の伸び率はあまりにも低過ぎると言わざるを得ません。
費用増大型物価上昇(コストプッシュ・インフレ)経済下においては、賃金の増減とは無関係に物価が上昇します。
賃金はあまり増えないのに、物価だけ上昇してしまったら、低所得者層ほど物やサービスを購入できません。
それすなわち、経済的な貧困が深刻化することを意味します。
したがって、政府支出拡大と減税で、昇給や時給単価アップを促す必要があります。
さらに付言するならば、地方への公共投資を都市部よりも手厚く行うことにより、地方の最低賃金の引き上げを促すべきです。
理想的なことを申し上げれば、最低賃金の地域格差が全くない状態を目指すべきです。
なぜならば、東京一極集中からの脱却に一役買えるからです。
地方は首都圏などと比べて、賃金が低いですし、仕事も少ないから東京一極集中が進行しています。
それを是正するためにも、最低賃金の地域格差を縮小させるべきなのです。
令和5年度の最低賃金の現状とは
厚生労働省の令和6年度地域別最低賃金改定状況によりますと、令和6年度の最低賃金の加重平均は1055円でした。
最低賃金の加重平均だけを見れば、順調に上昇トレンドだということがわかります。
加重平均額とは何かという点について、厚生労働省のHPから一部引用し、説明致します。
「加重平均」
企業の賃上げ額を賃上げの影響を受ける常用労働者数を計算に反映させ、1人当たりの平均値を算出する方法をいう。※「単純平均」及び「加重平均」の具体的な計算方法は次のとおり。
企業A 賃上げ額: 2,000円 常用労働者数: 70人
企業B 賃上げ額: 1,000円 常用労働者数: 30人
単純平均:(2,000円+1,000円)÷2企業=1,500円
加重平均:(2,000円×70人+1,000円×30人)÷(70+30)=1,700円引用元:厚生労働省「主な用語の定義」加重平均より
簡単に言うと、最低賃金の加重平均額とは、単純な最低賃金の全国平均ではなく、労働者が多い地域の最低賃金が強く反映する数値であると言えます。
より正確に最低賃金を把握するには、最低賃金の地域格差を確認しなければなりません。
そして最低賃金の地域格差は前年度と比較すると若干縮小しました。
地域別最低賃金の最高額と最低額の差を「最低賃金の地域格差」とするならば、かつて100円程度だった地域格差が212円まで拡大したとも言えます。
近年は地域格差の拡大に歯止めが掛かりました。
しかしながら、地域格差の是正への道としては、はじめの一歩でしかないと言わざるを得ません。
政策目標に最低賃金の引き上げ率を明記すべき
私は経済政策を立案する際には、最低賃金の引き上げ目標を明記するべきだと考えています。
GDPの実質経済成長率やインフレ率を政策目標として掲げるのは当然です。
それに加えて、格差是正という観点から、最低賃金の引き上げと最低賃金の地域格差の是正を掲げるべきだと思います。
しかしながら、最近の経済政策に感じることなのですが、地に足がついていない議論が散見されます。
私は弱者の味方でいたいと切に願います。
できるだけ、思いやりのある政治、思いやりのある経済を実現することが閉塞感のある日本において必要なことだと思います。
消費者物価指数が4%ならば、最低賃金の引き上げ率は8%とするべきと存じます。
基本的にはインフレ率にプラスして4%の最低賃金の引き上げが望ましいです。
なぜならば、インフレ率を考慮して最低賃金を引き上げないと、低所得者の購買力が強化されず、需要が喚起されないからです。
また、地域間の最低賃金の格差の是正も必要です。
現在は200円以上の格差がございますので、これを100円以内に縮小することを当面の政策目標に明記するべきだと思います。
以上です。