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反逆する武士

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『2030半導体の地政学戦略物資を支配するのは誰か』を読む。必読

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大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年12月28日(令和4年12月28日)

本日は、半導体の地政学と題した書籍のご紹介しつつ、半導体の最新事情をご紹介します。

半導体が政治に与える影響を考察しましょう。

半導体不足が叫ばれているという社会情勢

2020年以降、半導体不足が叫ばれておりました。

なぜならば、新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワーク需要が高まったからです。

リモートワークに必要な機器や端末を製造するためには、半導体が必要です。

したがって、半導体需要が高まり、半導体供給を上回ってしまったのです。

半導体供給の強化を模索する政治的な動きも活発になりつつあります。

その政治的な動きを取り扱っているのが『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』という書籍です。

地政学と題するのは、定義上は間違っています。

なぜならば、地政学とは「地理もしくは空間が政治に与える影響を巨視的な観点から考察する学問」だからです。

半導体の政治学(半導体が政治に与える影響を考察する)と表記するべきでしたね。

しかしながら、書籍を売るためのマーケティングとしては優秀だと思います。

事実、私も上記書籍を購入しましたからね(^^)

2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』ではアメリカや日本の政治的動きが網羅的に紹介されております。

是非ともお読みいただければ幸いに存じます。

本日の記事では上記の書籍の内容を簡潔に紹介しつつ、半導体の最新事情もご紹介しましょう。

半導体を制する者が世界を制する

2020年5月15日──。
半導体を受託生産するファウンドリーの世界最大手、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)が、アリゾナに工場を建設する計画を発表した。

引用元:太田泰彦. 2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か (日本経済新聞出版) (pp.19-20). 日経BP. Kindle 版.

半導体を受注生産する世界的企業として、台湾のTSMCという企業がございます。

その台湾企業がアメリカ連邦政府の誘致と補助金によって、アリゾナに工場を建設することになりました。

アメリカの超党派議員による中国共産党の半導体支配を打破するという強い国家意思が見え隠れします。

サイバー空間を構築するためには電子機器や端末が必要であり、そのためには半導体が必要です。

ドローンやAIを制御して、戦争を遂行するためにも半導体が大量に必要となります。

したがって、地政学的観点から、半導体を制する者が世界を制すると言われるような事態になっているのです。

TSMCやアメリカ企業のインテルもアメリカ国内での半導体製造に乗り出しており、国家総動員体制と言い切っていいでしょう。

州政府も工場誘致のためのインフラ施設を整備するそうですし、半導体製造が軌道に乗ったら爆発的利益になり得ます。

そんな未来を確信している投資家もまた動き出しているようでして。

投資の神様(ウォーレン・バフェット)が半導体銘柄へ投資

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは14日、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の株式を41億ドル余り購入したと明らかにした。

引用元:バフェット氏のバークシャー、台湾TSMC株41億ドル超取得

投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは衝撃の発表をしました。

2022年11月14日、半導体生産で有名なTSMCの株式を41億USドル以上購入したようなのです。

ウォーレン・バフェットは自分が理解できないビジネスをしている企業に投資しないことで有名です。

半導体生産の将来性について確信を持ったので、TSMCの株式を購入したのではないかと推察します。

台湾有事という地政学的リスクがあっても有望株と認識したということになります。

実は私もTSMCを筆頭とする半導体銘柄に関しては注目しておりました。

しかしながら、台湾に対する軍事侵攻がほぼ確実な情勢なので、躊躇しておりました。

TSMCは台湾に工場が集積しているという弱点を克服するために動いているようです。

熊本とドイツに半導体の新工場設立へ

半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の日本への工場進出が決まってから1年あまり。
熊本県菊陽町ではおよそ1兆円を投じる工場の建設が2024年12月の出荷開始に向け、急ピッチで進んでいる。

引用元:見えてきたTSMC熊本新工場 主要4棟、投資1兆円

まず、我が国日本の熊本県にTSMCの新工場が設立されることがすでに決定しております。

雇用創出や経済活性化へ期待が膨らんでいるようですね。

日米同盟があり、戦火には巻き込まれないような地域への進出と言えます。

半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、欧州初となる工場をドイツに建設する方向で最終調整に入ったことが、23日分かった。
年明けに経営幹部が現地入りし、地元政府による支援内容などについて最終協議する。
早ければ2024年に工場建設を始める。
投資額は数十億ドルに達する見通しだ。

引用元:台湾TSMC、欧州初の半導体工場 ドイツに建設検討

さらに、TSMCはドイツに新工場を設立する方向で進んでいるようです。

欧州地域への半導体輸出を見越した動きです。

なぜならば、TSMCの工場はアジア地域に集中しているからです。

地域分散という観点でドイツでの生産はリスクヘッジになるとの判断なのでしょう。

京セラも半導体生産に動いている

地味な動きなので、大手マスメディアは大々的に報道していないことをご紹介します。

京セラは半導体関連や電子部品などへの投資を拡大する。
2024年3月期からの3年で設備投資と研究開発費の合計を1兆3000億円と23年3月期までの3年間の約2倍に増やす。
保有するKDDI株を担保にした資金調達を初めて実施し、最大で1兆円規模の借り入れを想定する。
無借金経営を掲げてきたが、半導体関連市場が中期的に拡大するとみて、セラミック部品などに積極投資する経営に転換する。

引用元:京セラ、半導体関連などに1.3兆円投資 KDDI株も担保に

京セラという大企業が無借金経営から脱却してでも、半導体関連や電子部品への投資を拡大させるそうです。

しかも、京セラが保有するKDDI株を担保にして資金調達するとのこと。

自動車関連や情報技術関連の事業が京セラのビジネスの柱です。

したがって、半導体や電子部品を自前調達できるように設備投資するのではないかと推察します。

半導体の獲得競争にそもそも参戦せず、半導体を自前で製造するというのは、素晴らしい経営判断です。

半導体製造装置を増産か

さらに、地味ながら重要な日本企業の動向をご紹介しましょう。

CKDは26日、宮城県大衡村で工場用地と建物を取得したと発表した。
取得したのは同村にある東北工場の隣接地で、これから導入する設備を含めてトータルで約72億円を投じる。
同工場の敷地面積は従来の3倍の約10万7000平方メートルとなる。
半導体製造装置向け「流体制御機器」などの部品を生産する。

引用元:CKD、宮城に半導体製造装置部品の新工場 72億円投じ

CKDという東京証券取引所に上場している大手メーカーがございます。

宮城県大衡村というは、仙台市北部の小さな村らしいです。

※私は訪れたことがありません。

そこで東北工場を増設して、半導体製造機を製造するための「流体制御機器」の部品を生産するそうです。

半導体製造とは厄介でして、半導体を製造するための機械の部品を作るのにも半導体が必要だったりします。

要するに、半導体を大量生産して、その半導体をさらなる半導体製造装置へ割り振らないと供給力が拡大しません。

半導体を大量生産して、リモートワークで使うノートパソコンなどの実用品に割り振ってしまうと半導体の供給力が拡大しにくいのです。

我が国日本はTSMCのような派手な半導体生産は現状厳しいと言えます。

しかしながら、日本企業は半導体製造装置などでは重要なポジションを占めているのです。

日本企業限定で、半導体銘柄を集めた投資信託が売り出されたら、積極的に投資したいですね。

護送船団方式で半導体市場を制するのか

西村経済産業大臣は11日の閣議のあとの会見で、経済安全保障上、重要性が増す先端半導体の国産化に向け、日本の主要な企業8社が共同で新会社を設立したことを正式に発表しました。
(中略)
自動運転やAI=人工知能、それに、スマートシティーといった次世代の分野に欠かせず、世界でも実用化されていない2ナノメートル以下の先端半導体の量産化を、5年後の2027年をめどに目指すとしています。

引用元:先端半導体国産化へ日本企業8社が共同で新会社設立正式発表

我が国日本の主要企業が連合体となり、TSMCと互角に張り合えるような半導体製造メーカーを作るようです。

新会社の名前はラテン語で「速い」という意味の「Rapidus」となったそうです。

トヨタ、デンソー、ソニー、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社が出資するとのこと。

ちなみにキオクシアという企業は半導体製造を設計から製造まで行える企業です。

各階層を貫いて設計から製造までを自社で一貫して扱うIDM(IntegratedDeviceManufacture=垂直統合型デバイスメーカー)と呼ばれる企業もあり、インテルやサムスン電子などが代表例だ。
水平分業が進む前の昔ながらのビジネスモデルともいえる。
米国のマイクロン・テクノロジー、日本のキオクシアなどのメモリーのメーカーも、ほとんどがIDMだ。

引用元:太田泰彦.2030半導体の地政学戦略物資を支配するのは誰か(日本経済新聞出版)(p.33).日経BP.Kindle版.

現在は世界的な分業体制が構築されており、キオクシアのような1社完結型企業は貴重なのです。

また、三菱UFJ銀行がメインバンクで、経済産業省が後ろ盾になっているのも心強いです。

※間違っていたら、後日訂正します。

護送船団方式の復活であり、半導体生産に本格的に乗り出すようです。

私はこのビッグプロジェクトに対しては懐疑的です。

素晴らしい取り組みだと思いますし、成功してほしいと願っています。

しかしながら、日本企業の半導体製造の失敗を理解している人間としては、成功するイメージが湧かないと言わざるを得ません。

以上です。

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