大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年9月6日(令和元年9月6日)
アルゼンチンがデフォルト意思を表明
政府は国内短期債務の多くについて借り換えが不可能になり、ラクンサ財務相は28日、機関投資家が保有する国内法に基づく債券の返済期限延長計画を示すとともに、対外債務と国際通貨基金(IMF)からの借り入れについても返済期限延長の意思を表明した。
https://jp.reuters.com/article/argentina-bonds-investors-analysis-idJPKCN1VK0AA
この提案は議会の承認を得る必要がある。
また返済期限を延長するだけで、元本削減(ヘアカット)は盛り込まれていない。
アルゼンチン政府は、国内短期債務の借り換えが不可能となり、返済期限延長計画を示し、IMFからの借り入れについても返済期限延長の意思を表明するという暴挙に出ました。
明らかなアルゼンチン政府のデフォルト予告になります。
どんな神経していたら、このような恥ずかしい計画を表明できるのか理解に苦しみます。
議会の承認が必要であり、返済期限を延長するだけで元本削減は盛り込まれていません。
アルゼンチンは世界経済においてそれほど大きなシェアを占めているわけではありませんので、経済危機が発生しようとそれほど留意せずとも問題ありません。
ただし、それが世界金融を崩壊に導くことがないと確信できるならば・・・。
CDS炸裂により、ドイツ銀行破綻
ジアン氏は顧客向けノートに「間違いなくアルゼンチンの対外債務はデフォルトになるだろう。
https://jp.reuters.com/article/argentina-bonds-investors-analysis-idJPKCN1VK0AA
今回の発表自体がCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のデフォルト事由に相当するかどうかは定かでないが、この計画が実行されればデフォルトになり、CDSの保証が実行されるだろう」と記した。
アルゼンチンの対外債務のデフォルトは必死であるとドイツ銀行のホンタオ・ジアン氏は予想しております。
今回のアルゼンチンの返済期限の延長計画が実行されれば、CDSの保証が実行されます。
これほど怖いことはございません。
確実なことではございませんが、ドイツ銀行が破綻する可能性が飛躍的に高まります。
アルゼンチンのCDSの保証が実行されれば、どうなるかを簡潔に説明したいと思います。
まず、アルゼンチンの対外債務(おそらくUSドル建て)が返済期限延長となります。
その後、CDSの保証が実行され、アルゼンチンの国債を保有していた投資家やヘッジファンドなどに保証金が支払われます。
しかしながら、その保証金が払えなくなったり、収益が一気に悪化するCDS発行元が金融市場に出現します。
金融市場に疑心暗鬼が広がり、アルゼンチンの国債以外のCDSの保証料が跳ね上がります。
それが巡り、金融機関の破綻や信用不安からドイツ銀行が破綻するかもしれないのです。
ギリシャのCDSが炸裂して、ドイツ銀行が破綻するシナリオが一番有力でしたが、アルゼンチンが世界恐慌の引き金を引く可能性が急浮上しました。
アルゼンチンに対抗策はあるか
アルゼンチン政府は、同国をデフォルト(債務不履行)状態の瀬戸際に追い込んでいる外貨準備高の減少と通貨安に歯止めを掛けるため資本規制を導入した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-01/PX602UDWRGG501
同国中央銀行が1日発表した声明によれば、輸出企業に対し外貨の国内還流に5日間の期限を設定するとともに、外国貿易決済の場合を除き、外国為替市場での企業のドル購入に中銀の許可が必要となる。
また、個人のドル買いは月当たり1万ドル(約106万円)に制限される。
アルゼンチン・ペソの対ドルレートが大幅に下落するということは、1USドルを購入するために大量のアルゼンチン・ペソが必要になるということですから、返済金額が大きく膨らんでしまいます。
さらに、自国通貨安になれば、輸入品の価格が上昇して、国内のインフレが進行してしまいます。
したがって、外貨準備高を減らしてでも、自国通貨買いの外国通貨売りのオペレーションをこれからも継続するつもりなのでしょう。
アルゼンチンも何も対策していないというわけではございません。
外貨建て債務の返済額をこれ以上増やさないように、自国通貨の為替レートの防衛に必死です。
具体的には、アルゼンチン・ペソ買いのUSドル売りをして、対USドルレートをできるだけ下げないようにするため、外貨準備高の減少に歯止めを掛けようとしています。
資本規制が実施されます。
輸出企業に対して、外貨の国内還流期限を設定しました。
外貨をそのまま外国に再投資するということを防ぎ、外貨を国内に還流させることを目的としていると思われます。
また、USドルの購入にはアルゼンチン中央銀行の許可が必要になるようです。
USドルでの代金決済が難しくなるので、貿易関連企業は苦しい経営を強いられるようです。
為替レート防衛は難しい
ただ、現在の金融市場において、為替を実質的にコントロールしているのは、AI系のヘッジファンドです。
アルゼンチンの政情不安や経済危機などのニュースが出た瞬間、AIは何の感情も持たずに、アルゼンチン・ペソに強烈な空売りを仕掛けてくるでしょう。
そして、そのAI系のヘッジファンドの動きに呼応して、非AI系のヘッジファンドや個人投資家も空売りを浴びせるでしょう。
アルゼンチンの外貨準備は底をつく可能性もあります。
変動相場制に移行し、外貨建て債務を止めよ
かつてはアルゼンチンは固定相場制でしたが、今ではだいぶ自由化されたようです。
したがって、アルゼンチンは今以上に自由な変動相場制に完全移行して、外貨建て国債の発行を止めるべきです。
現時点で存在している外貨建て国債をできるだけ早期に償還し、自国通貨建て国債のみとするべきではないでしょうか。
そうすれば、債務を返済する意思さえあれば、アルゼンチン・ペソ建ての国債がデフォルトすることは無くなります。
あとは、できるかぎりアルゼンチン・ペソの急激な下落だけは抑止できるだけの外貨準備高を維持しつつ、外資を誘致して、アルゼンチン経済の供給能力を高めるべきでしょう。
以上です。