大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年6月4日(令和4年6月4日)
欧州連合は海上輸送されるロシア産原油の輸入禁止を決定
5月31日の未明、欧州連合(EU)に加盟する27カ国の首脳は海上輸送されるロシア産石油の輸入を禁止することで合意した。
引用元:[FT]EU、海上輸送のロシア産原油を禁輸 輸入は9割減
欧州連合(EU)は海上輸送されるロシア産原油の輸入を禁止することで合意したようです。
パイプライン経由分は当面禁輸の対象外となるそうですが、海上輸送分の禁輸と合わせると、欧州連合(EU)のロシア産原油の輸入は年内に9割減になるとのこと。
原油や天然ガスといった資源こそがロシアの国家経済の根幹でございますので、優良顧客をロシアは失ったということになります。
今後はインドや中国といった顧客を中心に原油を売ることになりますし、かなりの割安価格で売らざるを得ません。
石油輸出国機構が原油増産で合意
OPECプラスは2日にオンラインで開いた閣僚協議で、7月と8月の増産幅を日量64万8千バレルと従来の43万2千バレルから引き上げることで合意した。
引用元:OPECプラス追加増産 サウジ、米大統領歴訪にらみ譲歩
ウクライナ侵攻による制裁で落ち込んだロシアの生産を部分的に補う姿勢をみせた。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国にロシアなどを加えた産油国連合「OPECプラス」は日量ベースで20万バレル以上も増産することで合意したそうです。
ロシアのウクライナ侵攻によるロシア産原油の輸入禁止で供給が削減されたので、原油価格が上昇しているため、供給拡大するようです。
産油国連合「OPECプラス」は原油増産に慎重姿勢を崩していなかったのですが、バイデン大統領がサウジアラビアに訪問することを受け、増産に踏み切ったようです。
アメリカとサウジアラビアは外交上の懸念(サウジアラビア人の著名ジャーナリストが殺害された事件をアメリカが問題視、親イラン勢力に対する支援が弱いなどサウジアラビアは不満を抱く)がございますので、解決の糸口をサウジアラビアは探っていたようです。
ただ、不安材料もございまして、産油国連合「OPECプラス」にはロシアも含まれており、ロシアへ配慮しなければなりませんし、7月と8月は増産しても9月以降は元の水準に戻す可能性もございます。
アメリカがどのように産油国連合「OPECプラス」へ圧力を加えるのか次第というところもございますが、9月以降減産する可能性もあります。
正直、予断を許しません。
原油価格は高止まりするだろう
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の7月物は前日比2.00ドル(1.7%)高の1バレル118.87ドルで取引を終えた。
引用元:NY商品、原油が続伸 時間外で3カ月ぶり120ドル台 金は反落
夕方の時間外取引では一時120.46ドルと3月上旬以来の高値を付けた。
原油需給が逼迫するとの見方から買いが続いた。
原油価格の国際的指標として有名なWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)にて、一時1バレル120ドルを超えてしまいました。
市場関係者は原油需給が逼迫するとの見方をしているようです。
6月2日にアメリカ・エネルギー情報局(EIA)が発表した週間の米石油在庫統計で原油在庫が市場予想以上に減り、産油国連合「OPECプラス」の増産だけでは供給不安は払拭されなかったようです。
おそらく原油価格は今後とも上昇しますし、上昇を見越した投機資金が流入するでしょうから、大手ヘッジファンドの影響で一般庶民が苦しむ展開が続きそうです。
日量200万バレル以上は原油不足か
EIAの調べではロシアの生産量は日量1050万バレルで、その半分程度を輸出に回している。
引用元:原油100ドル超の新常態 構造変化で地政学リスク響く
(中略)
仮に輸出量の半分が停止すると日量約250万バレル、4分の1の停止で約125万バレルが供給されないことになる。
国際エネルギー機関(IEA)曰く、ロシアの生産量を日量1050万バレルでその半分程度を輸出に回しており、その輸出が停止するとなれば、日量約125万バレル以上は供給されないことになるとのこと。
それだけでも産油国連合「OPECプラス」の増産規模では足りない計算になります。
上記引用元記事においては、イラン産原油やシェール・オイルなどの事情も踏まえても日量250万バレル以上は足りなくなるのではないかと主張しております。
個人的に理解できていないのは、上記引用元記事の中で、産油国連合「OPECプラス」が目標生産量に足りていないとの記述です。
意図的な原油生産のサボタージュをしている可能性があるとしか解釈できません。
※この件は引き続き調査したいと思います。
いずれにせよ、原油の需要と供給のバランスが崩れ、原油価格上昇傾向が継続するのは確実と思われます。
産油国連合「OPECプラス」が増産を発表しても市場が反応しなかったのも納得ですね。
ガソリン補助金は効果が高いのか
経済産業省はガソリン価格の高騰を抑えるため石油元売りに配る補助金について、28日から1リットルあたり31.8円に引き上げると発表した。
引用元:ガソリン補助31.8円に 物価高対策に基づき増額
全国平均で168円程度に抑えることをめざす。
経済産業省はガソリン価格の高騰を抑えるため、1リットル当たり31.8円のガソリン補助金を石油元売り会社に支給するそうです。
現在は36.7円(令和4年6月2日~6月8日)の支給額になっているとのこと。
※参考:経済産業省「燃料油価格激変緩和補助金」より
単純に疑問なのですが、ガソリン税の暫定税率を解除した方が価格は一気に下がりますし、消費者マインドにとっても良いと思うのですが、なぜ実施しないのか理解に苦しみますね。
ガソリン税の暫定税率を解除して、なおかつ石油元売りに配る補助金を支給するべきなのではないかと。
さらに言えば、ガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)が本当にガソリン価格の低下に寄与しているのかは不明です。
1リットル当たり36.7円の補助金ですから、石油元売りがガソリン価格を30円だけ下げて、差額を懐に入れてしまえば、6円以上儲かりますよね。
本当に価格が抑制されているのかモニタリングするとのことですが、官僚機構と業界団体の癒着があった場合はもはやブラックボックスと言えます。
費用増大型物価上昇へ
総務省統計局から発表された2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)4月分(PDF:313KB)によりますと、対前年同月比で消費者物価指数総合(CPI)は2.5%増となりました。
また、対前年同月比で生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は0.8%増となりましたので、1.7%程度の費用増大型物価上昇(コストプッシュ・インフレ)ということになっております。
賃金の上昇を伴わない物価上昇となると、一般庶民の購買力は低下することになりますので、対前年同月比で2.5%というアメリカよりは低水準であるうちに費用増大型物価上昇(コストプッシュ・インフレ)は沈静化する必要があります。
食料品に関しては天候不良などもございますので、すぐに供給拡大は難しいとは言え、ガソリン税の暫定税率を解除し、消費税を廃止することで人為的に価格を引き下げることは可能です。
緊縮財政を打破し、政治を動かすことができなければ、真綿で首を締めるような苦しみが継続するでしょう。
以上です。