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反逆する武士

現代貨幣理論

就業保証プログラム参加者は特権階級なのか。供給力低下で物価上昇か

更新日:

現代貨幣理論の基礎
uematu tubasa著『現代貨幣理論の基礎

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年3月27日(令和4年3月27日)

本日は就業保証プログラムに関して、極めて重要かつ備忘録的に残すべきと判断したことを記事にしたいと思います。

復習:就業保証プログラムとは

まず、本日の記事の本論に入る前に就業保証プログラムについて簡単に説明します。

就業保証プログラムとは、現代貨幣理論の中の政策に該当します。

日本政府(もしくは地方自治体)が働きたい人は誰でも雇う旨を宣言し、誰でも雇う際の賃金も公表し、最後の雇い手としての役割を果たすことになります。

就業保証プログラムに参加することで獲得できる賃金が事実上の最低賃金となります。

日本全国で就業保証プログラムに参加する人間の賃金が仮に1500円であれば、1日8時間で1ヵ月20日就業であれば、24万円の月収になります。

また、健康保険や社会保険などといった社会保障も受けることができます。

景気後退期においては雇用の受け皿になり、好景気においては民間企業が就業保証プログラム参加者から労働者を雇用して、さらに高賃金を得ることができます。

しかし、様々な問題が指摘されており、就業保証プログラムでどのような仕事をするのかなど、制度設計的課題があります。

以下、上記を前提として、さらなる就業保証プログラム批判をしていきたいと思います。

就業保証プログラムで離職爆増か

上記は竜蔵様のツイートの魚拓を取りました。

私なりに上記ツイートを簡単に説明させていただきます。

就業保証プログラムにおいて、どのような仕事をしても事実上の最低賃金を得られるということであれば、民間企業から大量に離職者が出てくるのではないかという批判です。

仮に、ブラック企業で時給1000円未満で働いている会社員が存在するとします。

就業保証プログラムに参加して、どのような仕事をしてもいいので、時給1500円が支払われます。

その会社員は趣味がガンダムのプラモデル作りです。
ブラック企業で働きたくないので、辞表を叩きつけ、就業保証プログラムに参加して、ガンダムのプラモデル作りに着手します。

就業保証プログラムで供給低下か

この会社員個人にとっては就業保証プログラムは良い制度かもしれません。

ただ、この会社員が働くことで生まれるはずだった物やサービスは今後生まれることはありません。

それは国民経済全体で言えば、物やサービスを生み出す供給力が低下したということであり、供給低下型物価上昇圧力になります。

要するに、インフレになりやすい経済が出現しやすいということです。

この会社員1人だけでなく、民間企業で働く労働者の3割から4割が離職して、就業保証プログラムに参加したらどうなるのでしょうか。

需要に応えるための物やサービスを生産する人間が大幅に減少して、過度なインフレ(年率10%以上)になる可能性は高まるでしょう。

ただでさえ、最低賃金で不本意な非正規労働をしている方々が多くて問題になっている我が国日本において、就業保証プログラムが導入された場合、離職爆増となるのは火を見るよりも明らかです。

現代貨幣理論は国民経済全体の供給能力を重視する理論なのに、供給能力を低下させる政策を主張するのは矛盾しています。

就業保証プログラムの経費をどこまで認めるのか

就業保証プログラムでは働くために必要な経費をどのように扱うのかというのも問題です。

上記ツイートを参考に就業保証プログラムの経費について考えてみます。

モータースポーツ(4輪の自動車や2輪のバイクでレースに参加)をする場合は、モータースポーツ用の自動車やバイクが必要ですし、部品が故障したら修理する必要がございます。

また、燃料も必要ですし、練習場を借りて、交通事故に対処するための保険に加入する必要もあるでしょう。

そのお金は就業保証プログラムの賃金から出すのかという問題提起をされています。

もちろん最低賃金(仮に時給1500円)から出すのであれば、モータースポーツを就業保証プログラムの仕事として成り立たせることはできません。

モータースポーツで使用する自動車やバイクは一般的なものではなく、特殊仕様で高価だからです。

モータースポーツは経費の問題があるから、就業保証プログラムの仕事内容には含めないとなれば、モータースポーツでの就業を希望する失業者は失業者のままです。

もし、就業保証プログラムのための経費を仕事内容毎に別口で認めるのであれば、就業保証プログラム参加者の間の不公平感は高まります。

最悪の場合、就業保証プログラム廃止が決定するかもしれません。

就業保証プログラムの景気浮揚効果は限定的か

就業保証プログラムとは、金融危機発生時などの景気後退期の失業者増に対して効果を発揮する政策であり、デフレ対策として有効という側面があります。

ただ、上記ツイートで明示されておりますが、就業保証プログラムで完全失業者に最低賃金でフルタイム労働をやってもらったとしても、年間3兆円ほどの政府支出しか増えません。

景気浮揚効果は限定的と判断せざるを得ません。

本記事おいて説明させていただきましたが、民間企業から離職して就業保証プログラムに参加するということになれば、政府支出が増えます。

仮に、就業保証プログラムに参加する人数が倍になったとしますと、年間6兆円ほどです。

参加人数を倍にしつつ、上記ツイートで明示されている最低賃金を1500円まで引き上げたとしても年間10兆円程度になります。

就業保証プログラム参加者が特権階級?

供給低下型物価上昇と需要増大型物価上昇のダブルパンチでデフレを退治できますが、民間企業で働き、自由競争に明け暮れる労働者の方々から怨嗟の声が出ると思います。

一見すると趣味に没頭している方々が中央政府からお金を貰って、欲しい物やサービスを手に入れます。

けれども、民間企業で物やサービスを生産している方々には直接的な恩恵が無いからです。

就業保証プログラムに参加する人間が増え、民間企業で働く労働者が減るので賃金上昇圧力は高まると思いますので、間接的な恩恵はあります。

ただ、その間接的な恩恵も過度な物価上昇によって相殺される可能性があります。

そのようなことになれば、就業保証プログラム参加者に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)は増えます。

就業保証プログラムに参加する人間が特権階級になりかねませんし、我が国日本において特権階級の出現を許していいのでしょうか。

絶対に許すべきではありません。

就業保証プログラムには課題山積

私個人としては、現代貨幣理論を支持しております。

ただ、現代貨幣理論の政策部分としての就業保証プログラムには現段階では賛同できません。

あまりにも制度的課題が山積しているからです。

以上です。

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