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反逆する武士

政治哲学 日本経済

ベーシックインカムと公共投資拡大を同時に実行しデフレから脱却する

更新日:

特別定額給付金 ベーシックインカム

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年2月14日(令和4年2月14日)

本日は進撃の庶民へ寄稿した記事のリライト記事でございます。
何卒よろしくお願い致します。

ベーシックインカムを論ずる場合の前提条件

まず、ベーシックインカムを論ずる場合の前提条件を明確にしたいと思います。
この記事におけるベーシックインカムとは、社会保障などを一元化するものではなく、社会保障などとは別に基礎的な所得を日本国民に配る直接給付政策とします。

1、社会福祉(年金、雇用保険、健康保険etc)を一元化して、ベーシックインカムとして給付する議論(社会福祉の現金化と一元化タイプ)
2、負の所得税として、低所得層に現金を給付する議論(貧困層補助タイプ)
3、社会福祉とは別に、積極財政として給付する議論(積極財政タイプ)

参考記事:ベーシックインカム議論のポイント-通貨・技術・労働の意味

ヤン様(高橋様)のブログ記事から一部引用させていただきましたが、私の主張するベーシックインカムとは3の積極財政タイプと言えます。

さらに付言するならば、ベーシックインカムを導入するのは我が国日本です。
日本国民に対して、銀行口座を申告してもらい、その口座に銀行預金を振り込むという形式にします。

日本国民に対して、年間50万円(月額4万円程度)を配るものとし、デフレ脱却してインフレ経済下になったとしても、ベーシックインカムの金額は増えません。

ベーシックインカムに年齢制限は無く、所得制限もありません。
ただし、犯罪行為をして有罪が確定した場合においては、支給を停止します。

犯罪行為が確定して、執行猶予もしくは懲役刑になった場合において、その期間中はベーシックインカムの支給を停止するべきと考えています。

例えば、ある日本人が刑法などに違反したため、懲役5年の判決が出て、5年間服役したとします。
その5年間はベーシックインカムは貰えませんよということです。

服役後、社会に復帰して真面目に働くためにもまずは手元にお金が無いと厳しいと思いますし、お金がないと再犯確率が高まってしまいます。
そのため、服役後はベーシックインカムの支給を再開するべきと考えます。

ここで強調しておきたいのは、犯罪行為をせずに、
真面目に働いた方がベーシックインカムを受け取る総額が大きくなるということです。

犯罪行為に手を染めてしまうときに、その人の脳裏にベーシックインカムが貰えなくなるという
直接的デメリットが浮かべば、それなりの犯罪抑止効果があるのではないかと。
※もちろん、ベーシックインカムは万能ではございませんので、限界はあります。

財源に関しては、すべて国債発行で賄います。
我が国日本のように、変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有する中央政府に財政的予算制約はありません。

以上、この記事を説明する上での前提条件を提示しました。
※この前提条件に関する批判も是非お願い致します。

ベーシックインカムは勤労所得が得にくい人々を救う

ベーシックインカムの最大の利点とは、働きたいけど働けない人々を相対的貧困から救うことが可能になることです。

例えば、シングルマザー(シングルファザー)がこれに該当します。
シングルマザーも能力が高い人がいらっしゃいますが、特に小さいお子さんを育てている場合ですと、突然熱を出したり、突発的な病気などで出勤することが難しい場合があります。

シングルマザーが突然仕事を休むとなると、雇用主としては(悪意が全くなく、思いやりが溢れていたとしても)シングルマザーを雇うのに抵抗を覚えます。
民間企業でいきなり休んでも問題ないのは一部の大企業だけでしょう。

仮に雇う場合でも、いつ休まれても大丈夫なように正社員や重要なポジションではなく、非正規雇用や重要ではないポジションに据え置く可能性が高くなります。

そうすると必然的に労働という行為で、所得が得にくい境遇に陥ります。

民間平均給与額の正規・非正規比較

少々古い統計ですが、上記を見てご理解いただけるのではないでしょうか。
正規給与所得者と非正規給与所得者を比較すると、非正規給与所得者は圧倒的に給料が低く、正規給与所得者と比べて、給与が4割未満なのです。

さらに付言するならば、高齢者で体が思うように動かせない方々、障害をお持ちの方、元気に働いていたが、うつ病になってしまった若年層など、様々な理由で働けなくなった方々がいらっしゃいます。

そういった方々を一括して、無差別に救うことができるのがベーシックインカムなのです。
お金があれば幸せになるとは限りませんが、不幸から身を守る盾になることは断言します。

ベーシックインカムの失敗例を学ぶ

南太平洋に浮かぶ島に、ナウル共和国という国家がございます。
人口は1万人に満たず、国土面積は21㎢程度です。

19世紀後半から始まったリン鉱石の採掘で莫大な収入が存在し、税金なし、医療・教育無料、年金保障など手厚い社会保障が存在し、ベーシックインカムが導入された国家です。

ナウル共和国の国民においては勤労意欲が失われ、失業率が90%を超えました。
リン鉱石が枯渇し始めると基本的なインフラを維持するのでさえ困難な事態にまで陥りました。

食料は輸入に頼っています。
そのほとんどが缶詰になります。

率直に申し上げれば、典型的なベーシックインカムの失敗例であると言えます。
我々は失敗例から多くのことを学べるはずです。

ベーシックインカムが成り立つ条件

上記のナウル共和国の失敗例を見て、ベーシックインカムが成り立つ条件をいくつか挙げさせていただきたいと思います。

1、国民生活を営むための物やサービスの大部分を生産できるだけの供給能力
2、勤労意欲の高い国民
3、ベーシックインカムの支給額が最低限度の生活を維持する金額以下であること

1つ目の条件について説明します。

ベーシックインカムが導入され、国民にある一定金額のお金が渡されたとしても、国内で消費されるのか否かは決定的に重要だと思います。

海外からすべて輸入するということになれば、自国通貨売りの外国通貨買いが発生するため、通貨価値が急落してしまいます。

自国通貨価値の急落により、どんどん輸入価格が上昇してしまい、最終的には海外輸入が事実上できなくなります。
価格が高過ぎて、購入できないような状態に陥ります。

そうすると、ベーシックインカムが事実上無意味になってしまいます。
お金を直接配ったとしても、それで物やサービスを購入しにくく(できなくなる)なるからです。

ベーシックインカムを導入するのであれば、その国家に多様な産業が存在し、自国民の需要を満たすだけの供給能力を保持していなければなりません。

2つ目の条件について説明します。

ベーシックインカムを導入したとしても、そのお金で物やサービスが購入できなければ意味がないということは物やサービスを供給する生産者が必要不可欠です。

したがって、勤労意欲に溢れ、ベーシックインカムだけではなく、労働によってもっと豊かになりたいと願う国民が多いと、好循環になります。

ベーシックインカムによる消費増により、物やサービスが沢山売れる、所得と雇用が生まれる、所得と雇用が生まれることによりさらに消費が増えるというインフレ・スパイラルに突入します。

uematu tubasa作成(著作権フリー)

3つ目の条件について説明します。

ベーシックインカムとは、最低限の所得保障ですから、本当に最低限の金額に抑制しなければなりません。

仮に、我が国日本において、月当たり200万円のベーシックインカムを支給したら、自発的失業が多発することは必定です。

であるならば、年間100万円の最低限の所得を保障して、勤労意欲を失わないレベルの支給額に留めておくのが妥当かと存じます。

勤労意欲を失ってしまったら、ベーシックインカムを利用して手に入れる物やサービスが供給されなくなるということにもなりかねませんし、公務員まで辞められてしまっては国家が機能不全に陥ります。

公共投資による乗数効果では弱者を救えるとは限らない

私はベーシックインカムだけではなく、国土強靭化計画にも大賛成であり、公共投資拡大を積極的に支持しています。

デフレ脱却と社会資本修繕事業(インフラメンテナンス)を同時に達成できる国土強靭化は是非とも行っていただきたい政策の中の一つです。

ただ、公共投資の拡大にも弱点があります。
公共投資による乗数効果では弱者にお金が行き渡らない可能性が高いのです。

乗数効果を簡潔に説明すると、公共投資を拡大する場合、公共投資を受注した企業だけではなく、それ以外の民間企業も仕事が増えて、所得が増えるということです。

政府支出を増やした場合、政府から直接仕事を受注した企業だけが潤うということはあり得ません。

例えば、日本政府が公共投資をする場合、土木関連会社や資材販売会社など、土木に関連する会社には政府から支払われたお金が行き渡りやすいと思われます。

土木作業員がお昼ご飯のときに、作業場の近所の定食屋さんに連日詰めかけたら、その定食屋さんは儲かるでしょう。

ただ、シングルマザーにはその恩恵は行き渡りにくいのです。
その定食屋さんでシングルマザーが働いていたとします。

その場合であっても、急に子供が熱を出してしまったら看病しなければなりませんし、病院に連れていかなければなりません。

その日、その時間は時間給が発生しないため、所得を得ることは難しくなってしまいます。

また、高齢者にはその恩恵は行き渡りにくいのです。
高齢者なので、体が弱く、長時間働けませんし、そもそも高齢者を雇う民間企業も少ないのが現状です。

つまり、労働によって所得を得にくい方々には公共投資での所得増は起こりにくいと言えます。
経済政策において、本当に救いたいのは、労働すら難しい弱者です。

乗数効果で救うことが難しい弱者も存在しているのであれば、直接給付という政策手段も採用するべきです。

ベーシックインカムでハイパーインフレは発生するだろうか

日本国民の1億2500万人に年間50万円のベーシックインカムが支払われると、年間では62.5兆円の財政出動となります。

限界消費性向は0.5とします。
増えた所得の内、50%は消費や投資に充てられると仮定するならば、約31兆円の財政出動と同じだけのインパクトを日本経済に与えることができます。

公共投資拡大や消費税廃止などと同時にベーシックインカムを実行したとしても、インフレ率は年率2%は超えると思いますが、年率10%は超えないと予想します。

スーパーインフレは3年間で累積100%以上の物価上昇ですから、スーパーインフレにはなりません。
ハイパーインフレは年率1万3000%以上ですから、ハイパーインフレにはなりません。

デフレで苦しむ国家で、ハイパーインフレを心配するのは杞憂です。

ベーシックインカムで爆発的に増えた消費で、民間の所得と雇用が増えるため、所得税と法人税による景気の自動調節機能(ビルトインスタビライザー)が働き、自然に景気過熱を抑制することになるでしょう。

さらに付言するならば、ベーシックインカムが導入されたら、経営者は設備投資を決断し、供給能力の増強に邁進するでしょう。

需要が爆発的に増えるのですから、その需要を掴み取れるだけの供給がなければ、資本主義社会で敗北すること確定です。

そうやって、供給能力が強化されれば、長期的にはインフレが鎮静化するのは道理でしょう。
一般物価は需要と供給のバランスで決まるので、需要が増えた分に対応するように供給が強化されれば、過度のインフレ(年率10%以上)は発生しません。

総括:現代日本であれば、ベーシックインカムを肯定してもいいのでは?

先日のベーシックインカムを否定する記事がございましたので、肯定する記事もあった方がよろしいのではないかと思い書かせていただきました。

ベーシックインカムを肯定する意見もありますよ? という意見表明であるとご理解いただければと思います。

ちなみに、私はリフレ派ではありません。
超・積極財政派であり、公共投資を大規模に実行し、富国強兵に邁進し、弱者を可能な限り救うことこそが我が国日本に必要なことだと考えています。

ある意味、究極の経済ナショナリストです。
政治家がもっと日本経済の供給能力を信じ、弱者の存在を認め、惻隠の情を持っていてくれればと思いますが、現状では難しいのでしょうね( ;∀;)

以上です。

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