大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年12月28日(令和3年12月28日)
国民民主党政調会長の大塚耕平氏(以下敬称略)は現代貨幣理論に関して言及しており、現代貨幣理論に関するあまりにも酷い誤解を撒き散らしているようですので、是正したいと思います。
国民民主党の大塚耕平は現代貨幣理論を知らないのか貶めたいのか
第一は、国は負債だけではなく資産も有しており、純資産(資産マイナス負債)で考えることが必要と主張する。
引用元:MMTとTMTとRMT 「結論のない議論」よりも「現実的な具体策」
そのうえで、日本の純資産はゼロ近傍(負債と資産がほぼ同額)なので問題ないと結論づける。
大塚耕平は現代貨幣理論の要点を3つ挙げ、現代貨幣理論を説明しようとしておりますが、1発目から間違っております。
国(文脈からして日本政府のことだと推察します)は負債だけでなく資産も保有しているという事実関係までは理解できるのですが、純資産で考えるというのはちょっと理解できませんね。
どう考えても国債の発行主体なわけですから、純負債であるのは明白です。
※参考:日本国のバランスシート――「財政破綻」について考える
※財務省資料:令和元年度国の財務書類(一般会計・特別会計)
どの会計年度で日本政府のバランスシートを捉えるかにもよりますが、令和2年3月31日だと、約591兆円規模の純負債を抱えているのが日本政府なのです。
ちなみに、日本政府だけでなく日本という国家全体であれば、純資産国家と言えます。
詳細に関しては、拙著「消費税廃止への進撃」を参照のこと。
事実関係を根底から間違えており、これは現代貨幣理論(MMT)に関する議論に含めるべきではありません。
現代貨幣理論とは、会計的な事実関係を説明する理論でございますから、ちょっと理解できません。
おそらく大塚耕平は現代貨幣理論を批判している高橋洋一氏が主張している現代貨幣理論モドキを現代貨幣理論と誤解しているか、悪意を持って現代貨幣理論を貶めているかのどちらかかと存じます。
量的緩和とは日銀当座預金と国債の交換である
第二は、日銀が国債を買い続けることができる(事実上の引き受けができる)ため、政府は日銀に紙幣を印刷させれば財政は回り続けるという論拠だ。
引用元:MMTとTMTとRMT 「結論のない議論」よりも「現実的な具体策」
いわゆる「統合政府論(アマルガメーション・アプローチ)」である。
現代貨幣理論において、中央銀行が民間金融機関から国債を買い入れるということは触れられますが、紙幣を印刷して民間金融機関から購入するわけではないとも主張しています。
民間金融機関は日銀の口座を保有しており、国債を日本銀行に渡す代わりに日銀当座預金が増えるということを現代貨幣理論では説明しているのです。
これを万年筆マネーとかキーストローク・マネーと言います。
私はキーボードタッチ・マネーと呼んでいます。
要するに、現物のお金を印刷したり、実際に紙幣の移動が発生するのではなくて、数字を打ち込むことでお金が創造されるため、紙幣を印刷する必要がありませんし、国債を購入するための資金が尽きることはありません。
いわゆる「統合政府論」とはまた別と言えます。
おそらく現代貨幣理論を批判している高橋洋一に洗脳されている可能性がございます。
財政健全化は無意味であり、政府支出の上限はインフレ率である
第三は、財政健全化は度々先送りされ、かつ財政赤字は拡大しているものの、現に何も起きていない、インフレも発生していない、だから大丈夫だという論拠だ。
引用元: MMTとTMTとRMT 「結論のない議論」よりも「現実的な具体策」
MMTの提唱者の一人である米ニューヨーク州立大のケルトン教授も、自身の主張の正当性の根拠として日本の状況を挙げている。
この論点の3つ目に関してなのですが、確かに財政破綻(公的債務の債務不履行など)は発生しておりませんが、それがなぜなのかという点を説明しているのが、現代貨幣理論であるという点を完全に無視しております。
そもそも自国通貨発行権を保有している日本政府は自国の意思だけでお金を創造できるわけですから、少なくともお金が無いという理由で借金返済ができない、または国債の利払いができないということにはなりません。
そういった文脈や理論的基盤があって、ステファニー・ケルトン教授は日本の例を挙げてくださっているのです。
さらに言えば、欧米の英語圏の読者を説得するためにも、アジアの先進国である日本の例を出した方が説得力が増すという事情も多分にあるのではないかと推察します。
少なくとも大塚耕平は現代貨幣理論を理解する気がないのではないかと推察します。
拙ブログにおいては、何度も説明しているので、拙ブログの読者様からは呆れられてしまうかもしれませんが、重要なことなので、繰り返し説明します。
現代貨幣理論において、少なくとも国家財政という範囲において説明しているのは、変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有している中央政府に財政的予算制約は存在しないということです。
さらに言えば、政府支出の上限は国債の累積額や財政赤字額を気にするのではなくてインフレ率という指標でコントロールするべきであり、どのような経済を実現するのか、どの分野にお金を投じるべきなのかを考慮しなければならないという点がステファニー・ケルトン教授の主張なのです。
その中で、唯一の政策提言として、就業保証プログラム(JGP)が挙げられており、それに関しては様々な議論がございます。
現代貨幣理論を支持する人間の中にも就業保証プログラム(JGP)に懐疑的だったり、批判的だったり、否定的な方々がいらっしゃいます。
※ちなみに私は現代貨幣理論を支持しておりますが、就業保証プログラム(JGP)には懐疑的です。
租税貨幣論と内生的貨幣供給説も無視なのか
現代貨幣理論においては、大塚耕平が無視もしくは全く知らないこととして、2つ説明したいと思います。
まず、貨幣の起源とは何か、なぜ貨幣は国民生活に浸透しているのかという点を説明する貨幣論的側面がございます。
現代貨幣理論においては、貨幣の起源とは貸借関係であり、貨幣が国民生活に浸透しており、国民に広く受け入れられているのは、納税するための手段として貨幣を定義することで、貨幣に価値が付与されているからと説明しています。
※これも大雑把な説明なので、詳細は現代貨幣理論の文献を参照していただきたいと思います。
また、銀行が個人や民間企業にお金を貸し付けることでお金が創造されて、個人や民間企業が銀行から借りたお金を返済することで貨幣が破壊されると説明しており、これを内生的貨幣供給説と言います。
これは、外部からお金が供給されることで、銀行の貸出が生まれるとする外生的貨幣供給説(従来の経済学において一般的な説明)とは真逆の説明がなされており、イングランド銀行が内生的貨幣供給説が正しいと暴露しております。
上記で軽く説明した就業保証プログラム(JGP)と併せてこれらも説明できないと、現代貨幣理論を理解したとは言えません。
この記事では大雑把に説明しただけでございますので、拙ブログにお越しの読者の皆様で、現代貨幣理論を学びたいという方は、租税貨幣論、内生的貨幣供給説、就業保証プログラム、万年筆マネーといった単語でGoogle検索してみていただきたいと思います。
必ず、新たな発見と刺激が待ち構えていると思いますよ!(^^)!
結論、大塚耕平に誰か現代貨幣理論を説明してください。
以上です。