
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年9月20日(令和3年9月20日)
オーストラリアがフランスとの潜水艦契約を破棄
米国、英国、オーストラリアは15日、インド太平洋の安定に向けた新たな安全保障協力の枠組みの設置で合意したと発表した。
引用元:米英、豪州の原子力潜水艦配備を支援 中国念頭に
3カ国による外交・安保担当の高官協議を立ち上げ、協力の第1弾として米英が豪州の原子力潜水艦の配備を支援する。
中国を念頭に抑止力を強化する。
アメリカ、イギリス、オーストラリアというアングロサクソン系国家であり、ファイブアイズに所属する国家が安全保障協力の枠組みで合意しました。
安全保障協力の第一弾として、アメリカとイギリスがオーストラリアの原子力潜水艦の配備を支援することとなり、それに伴い、オーストラリアはフランスとの潜水艦契約を破棄する旨を発表しました。
そもそもオーストラリアは通常動力潜水艦を配備・運用していたのですが、その潜水艦の改良改善と対中抑止力を高めるため、潜水艦を建造できる国家に国内での建造を条件にして「日本・ドイツ・フランス」の三国に潜水艦建造を打診していました。
我が国日本も4000トンレベルの大型通常動力潜水艦を建造している実績がございますし、2010年代半ばにおいては武器輸出三原則が緩和されたこともあり、初の大型武器輸出案件になるのではないかと騒がれており、私もFC2ブログで基本的には潜水艦の受注競争に勝利するべきだと論陣を張っておりました。
結果、フランス企業が建造した原子力潜水艦を通常動力潜水艦として改造して、オーストラリア国内で建造するという条件で、フランスが受注競争に勝利しました。
どういった理由で、オーストラリアはフランスとの潜水艦契約を破棄することになったのでしょうか。
オーストラリアは潜水艦建造計画に不満を表明していた
モリソン豪首相は、オーストラリア海軍の次期潜水艦隊を建造中の仏企業に向けて、「今後2年間の設計作業計画を2021年9月の締め切りまでに提出しなければならない」と警告した。
引用元:モリソン豪首相、潜水艦納期守れとフランスに警告
(中略)
フランスのNaval Group社は、2021年2月に設計作業計画を豪政府に提出したが、豪国防省が、「経費がかかりすぎる」としてこの計画を却下、同社は新しい設計作業計画の提出締め切りを2021年9月まで延期された。
オーストラリアはフランスとの潜水艦契約を結んだ後も様々な不満があったようです。
さらに、計画そのものの経費が掛かり過ぎるという問題もあり、新しい設計作業計画の提出締め切りを2021年9月まで延期したようです。
ここからは私の推測になりますが、フランスのNaval Group社は設計作業計画の提出締め切りを守れなかったので、オーストラリア側が見切りをつけて、アメリカとイギリスとの安全保障協力に踏み切ったのではないかと。
個人的に思うのは、日本から潜水艦を完全輸入していれば、少なくとも2020年代半ばには新型潜水艦の1番艦が進水していたのではないでしょうか。
完全輸入であれば、ハードウェアの設計はほぼそのままで、ソフトウェアだけをアメリカから技術協力を獲得するか、自国企業から調達することで対処できたでしょうし、そうすれば時間的短縮が見込めます。
どんなに長期間に渡る潜水艦建造計画だったとしても、我が国日本と契約していれば、10年以内で手堅く実践配備できたのではないかと思います。
フランスの駐豪大使と駐米大使を召還する
オーストラリアが当初計画したフランスではなく米英の支援で次期潜水艦を配備すると決めたことについて、仏政府は17日夜、駐米、駐豪州の仏大使を呼び戻すと発表した。
引用元:仏、駐米・駐豪の2大使召還 豪の潜水艦計画変更に抗議
米英豪の決定を「容認できない行動だ」として強く抗議した。
フランスのルドリアン外相はマクロン大統領の指示で、駐米大使と駐豪大使を無期限召還することにしたそうです。
遺憾の意を表す外交手段として、大使の召還は強烈です。
フランスはオーストラリアの潜水艦契約の破棄について本気で激怒しているようです。
太平洋に自国領土を保有しているフランスを対中包囲網に組み入れるのは、我が国日本の世界戦略上、重要なことなのでございますが、ここまで強硬な外交手段を採用してしまっては容易に拳を下ろすことができません。
フランスのNaval Group社の不手際やサボタージュによって、このような事態に陥った可能性がございますので、私個人としては自業自得としか思えません。
新情報があって、オーストラリア側に過失がございましたら、謝罪して訂正させていただきます。
インドネシアはオーストラリアに対する警戒を深めた
インドネシア外務省は17日、米英両国から技術供与を受けて原子力潜水艦の保有をめざす隣国のオーストラリアの方針について「注意深く見守る」とする声明を発表した。
引用元:インドネシア、豪の原潜保有方針を「注視」
地域の軍拡競争が続くことに深い懸念も表明した。
オーストラリアの隣国として、人口2.7億人以上を抱えるインドネシアがオーストラリアの原子力潜水艦を建造する方針について、懸念を表明しました。
かねてより、オーストラリア国内には対インドネシア脅威論が潜在的にございまして、インドネシア対策として「豪比相互訪問軍隊地位協定」を締結し、インドネシアを挟撃できるような体制を整えておりました。
地政学的にもインドネシアがオーストラリアにとっての直接的な脅威ですし、イスラム教原理主義過激派を抱えているわけですから、宗教的・対テロ対策という観点からも対立しやすい構造がございます。
インドネシアがオーストラリアに対する懸念を深めるのは当然ですね。
ただ、インドネシアも対中牽制のためには是非とも味方にしたい国家でございますので、懸念を払拭してほしいです。
オーストラリアが兵器生産企業を立ち上げへ
オーストラリアが兵器調達で米国頼みからの脱却に動き出した。
引用元:豪、兵器調達で脱米国依存 有事にらみ国内生産
ミサイルなど誘導兵器の国内生産のため10億豪ドル(約840億円)を投じて生産企業を設立する計画だ。
(中略)
今後、国防省が国内でのミサイル製造に向けた戦略パートナー企業を選定する。
米防衛大手のロッキード・マーチンやレイセオン、英BAEシステムズの名前が挙がっている。
関係者は「早ければ2年以内に生産が始まる」とみる。
オーストラリアが兵器調達でアメリカ依存から脱却するため、兵器を国内生産するための企業を設立するようです。
おそらく、アメリカ企業がそのパートナー企業として名を連ねるということは無いでしょう。
私はBAEシステムズで決まりだと思っています。
防衛産業の育成は平時から行っておかないと、対中武力衝突時に困ったことになる可能性がございます。
中国が対外的な侵略を行い、フィリピンやインドネシアまで進出したら、いよいよオーストラリアは対中国戦線の最前線に投げ出されることになりますから、今の内に供給能力の強化に乗り出すのは先見の明があります。
新型コロナウイルスのワクチンについて、輸入元から差し止められ、スエズ運河でのタンカー座礁事件を受けて、供給網が常に機能して、必要物資を必要な時に輸入できるとは限らないということをオーストラリア人は学んだそうです。
オーストラリアが自国企業の生産能力を高め、潜水艦も建造できるようになれば、オーストラリアは対中牽制とシーレーン防衛のために尽力してくれるでしょうから、我が国日本にとってもメリットがございます。
以上です。