大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年9月18日(令和3年9月18日)
さて、本日も自由民主党の高市早苗衆院議員を徹底的に批判していきたいと思います。
現代貨幣理論を採用するという誤解
2%の物価目標を堅持し、達成するまでの期間、財政健全化目標(基礎的財政収支の黒字化)を凍結する。
引用元: 高市前総務相、総裁選出馬を正式表明 物価2%達成までPB目標凍結
インフレの兆候が表れれば投資額を調整すると述べ、事実上のMMT(現代貨幣理論)採用方針を示した。
高市早苗衆院議員は基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を凍結することを公式に宣言しており、それ自体は評価できます。
個人的には、基礎的財政収支の黒字化目標など永遠に撤廃していただき、インフレ率(コアコアCPIやGDPデフレーター)を政府支出の目標であり制約として定義していただきたいというのが本音です。
ただ、大手メディアにおいては、高市早苗衆院議員は現代貨幣理論(MMT)を採用したという報道がなされているようでございます。
完全に間違いであると断言させていただきます。
現代貨幣理論の要諦とは、変動相場制を採用し、自国通貨を保有する中央政府に財政的予算制約は存在しないということであり、財政出動や積極財政は現代貨幣理論(MMT)に含まれません。
現代貨幣理論(MMT)に含まれる政策は就業保証プログラムだけであり、それ以外の政策に関しても、控えめに言ったとしても、現代貨幣理論(MMT)に基づいた政策であると表現するのが正しいと言えます。
高市早苗衆院議員が現代貨幣理論(MMT)に基づいた政策を実行されようとしているとは到底認めらえません。
いわゆる金融所得税の税率の引き上げに反対はしないが・・・
金融所得税制については、「逆進性」が大きい。
引用元:高市早苗著『美しく、強く、成長する国へ』 p204-205より
不満は出ると思うが、この時期には増税をさせていただきたい。
マイナンバーを活用して金融所得(配当所得と譲渡益)を名寄せして、50万円以上の金融所得の税率を現状の20%から30%に引き上げると、概ね3000億円の税収増になると思われる。
正直に申し上げて、いろいろ突っ込みどころがあり過ぎて、どこから言及していいものか迷うほどです。
丁寧に説明するので、少々面倒な話になりますが、何卒お付き合いいただければと存じます。
まず、上場株式の配当や利子に対しては、所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%が課税されることになります。
※参考:国税庁「株式等(上記の特定公社債以外の公社債などを除きます。)の利子等・配当等に対する税金」より
株式等の譲渡益に対する課税は20%で間違いございません。
※参考:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」より
したがって、配当や利子に対する所得税及び住民税の税率は合わせて20.315%であり、20%ではないので、事実関係を間違えております。
約20%という表記であれば、許容できますが、さすがに国会議員が税率を間違えるのは駄目でしょう。
また、金融所得(配当・利子所得と譲渡益)に対する税率は、どれほど金融所得が大きくなったとしても一定でございますので、逆進性が高いという主張は理解できます。
であれば、所得税と同様に累進課税にすれば問題は解決するでしょうし、逆進性が問題なのであれば、消費税の逆進性を問題にしないのは、ダブルスタンダードと言えます。
金融所得に関しては、生活にある程度の余裕がある層が投資をした結果いただけるお金であって、比較的富裕層に課税されることが多いですが、消費税は日本国内全ての事業者に対して関係します。
影響度合いは全く別次元ですので、税制改正に関する国会議員の態度として、極めて不誠実と言わざるを得ません。
さらに言えば、なぜ50万円以上の金融所得には税率を上乗せするのか、なぜ30%なのか、その数字の根拠が不明確です。
財源欲しさに適当に税率を引き上げただけで、特に税率引き上げに伴う経済的な影響や社会的影響を考察した結果ではないのではないかと疑問を抱いています。
個人的には、金融所得に対する課税の税率の引き上げには反対はしませんが、再考を促したいと思います。
※特に、累進課税化を強くお勧めします。
法人税を一律25%で、各種特別措置を廃止とは正気の沙汰ではない
「従業員への分配」を進めることだけを目的とするのならば、各種特別措置を廃止して法人税率を一律25%にして、5%以上の昇給を実施した企業については5%の減税措置を講じる方法もある。
引用元:高市早苗著『美しく、強く、成長する国へ』 p202より
高市早苗衆院議員は、法人税の引き下げを行うという愚策も検討しているようです。
法人税とは、社会にお金を還元しない企業に対する罰金のような性質を持っておりますから、法人税の税率を高めつつ、法人税の累進課税化を推し進めるのが「経世済民」という観点からは妥当と言えましょう。
法人税の税額控除や特別減価償却などの特別措置などを廃止するというのも、あまりにも粗雑な話であって賛同できません。
研究開発を行った企業に対して、税額控除や特別減価償却など実施しているのであれば、それらを残さないと民間企業の国際競争力が削がれてしまいます。
法人税の税率引き上げと法人税の累進課税化を行い、賃上げ減税と設備投資補助金と設備投資減税を実施して、守銭奴的な企業には増税を、社会にお金を還元する企業に対しては減税措置を講じて、経済を活性化していくという好循環を実現するべきです。
※参考記事:自由民主党の高市早苗衆院議員は私有財産制を否定するつもりなのか?
所得税を一律10%程度にするとは正気の沙汰ではない
日本経済が成長軌道に乗れば、将来的には、所得税課税最低限の引き下げとセットで所得税を一律10%程度にすることで、所得税収総額は減らさずに、各人が努力しただけ報われる税制とすることが私の理想だ。
引用元:高市早苗著『美しく、強く、成長する国へ』 p205-206より
現行の所得税は累進課税であり、税制における「垂直的公平性」を担保しております。
要するに、高額所得者は多額の税金を支払い、低額所得者は少額の税金を支払うことで、格差是正と景気の自動調節を実現しているのです。
仮に、高市早苗衆院議員の理想として、所得税の一律10%程度にしてしまうと、格差是正と景気の自動調節機能が失われてしまいます。
税金に関する基本的なことすら全く理解していないと自白したようなものです。
さらに言えば、所得税課税最低限の引き下げということは、低額所得者からより税金をむしり取るということですし、一律課税となれば、逆進性が高まります。
高額所得者の税負担割合が低く、低額所得者の税負担割合が高くなるというのは、税制改革においては絶対にやってはいけないことです。
税金とは悪行への懲罰であり、税は財源ではなく、景気の自動調節機能は重要であると理解している現代貨幣理論(MMT)支持者としては、到底理解できません。
高市早苗衆院議員は、景気の自動調節機能(ビルトインスタビライザー)を破壊したいという願望を吐露した「小泉構造改革」の継承者なのでしょうか。
以上です。