大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年6月18日(令和2年6月18日)
たまには海軍戦略の話を
2020年5月、上級研究員のトシ・ヨシハラ博士は、中国が日本の海軍力(海上自衛隊の意味であるが「海軍」と記述する)をどう評価しているか、中国側の立場に立って調査・研究した興味深いレポート「中国の日本の海軍力観」を発表した。
引用元:中国海軍の脅威、トシ・ヨシハラ博士の「中国の日本の海軍力観」
ヨシハラ博士は、10年以上にわたって米海軍大学で戦略を教え、タフツ大学、カリフォルニア大学で戦略学部の教授を務め、国防政策委員会、下院外交委員会そして米中経済安全保障委員会で数多くの証言をしている。
本日は第三者が日本と中国の海軍戦力をどのように評価しているのかという話と共に、我が国日本が対中抑止及び対中優勢を保つためには、どのような海軍戦力が必要なのか、どのような海軍戦略が必要なのかを考えてみたいと思います。
日中の海軍戦力バランスは日本不利
ヨシハラ博士によると「中国は、GDPが世界第2位となり日本と立場を逆転した2010年以降、現在に至る10年間、艦隊の規模、総トン数、火力など重要な軍事指標において日本の海軍力を追い越した。対照的に日本の海軍は回復不能なほど能力が低下した」と中国、日本の情勢分析を紹介している。
引用元:中国海軍の脅威、トシ・ヨシハラ博士の「中国の日本の海軍力観」
実際、2010~2019年の中国の国防費の総額が約155兆円である一方、日本のそれは約50兆円と3分の1に満たない(公表ベース)。
アメリカワシントンDCに戦略予算評価センター(CSBA : Center for Strategic and Budget Assessments)という国防問題を中心に扱う調査研究機関の上級研究員であるトシ・ヨシハラ博士は上記引用元のように評価されてます。
完全なる部外者から見たら、日本と中国の海軍戦力バランスは日本不利であり、中国有利な方向に傾いており、その差は圧倒的と評価せざるを得ないようです。
確かに、金額ベースや艦船数などを見たらそう評価されても仕方ないでしょう。
私個人も、我が国日本の海軍戦力の質は上でも、物量戦を挑まれたら敗北は必至と戦力評価しています。
中国の弱点は克服可能なものばかり
中国の軍事兵器、機材の多くは完成品を入手して分解や解析を行い、その動作原理、構成要素や製造方法を明らかにする「リバースエンジニアリング方式」であるので、一般的に機器の信頼性が低いこと、艦艇やその装備品が最新鋭であっても乗組員の技量や練度について未知数であること、また戦力構成上対潜水艦戦能力があまり高くないことなど、いくつかの不安要素がある。
引用元:中国海軍の脅威、トシ・ヨシハラ博士の「中国の日本の海軍力観」
中国は弱いという論調がタカ派の新聞や軍事関係者において流行しております。
確かに、中国海軍は弱点を抱えてますよ。
兵器に関する信頼性が低く、兵士の技量や練度が未知数(おそらく相当低い)というのは、有事においては如実に不利に働くことでしょうが、これは時間が解決するものばかりです。
我が国日本がこのまま、中国の不透明な軍備拡張に対して無関心のまま、怠惰に時間を浪費するのであれば、中国は自国の弱点を克服して、牙を剥くこともあり得ます。
中国は外洋進出と統合運用を志向する
中国がマハンの「海上権力史論」を高く評価して、シーレーン防衛と制海権獲得の重要性を認識して「海洋国家」への転換を図り、海軍増強に努めてきた。
引用元:中国海軍の脅威、トシ・ヨシハラ博士の「中国の日本の海軍力観」
そして、シーパワーが徐々に形になってきた近年、海洋国家としてさらなる進歩に向け、中国の軍事分野における専門家たちは、陸海軍の統合運用の重要性を説いた「コーベットの理論」に戦略の方向性を移行しつつあると説明している。
中国はマハン(坂の上の雲に出てくることで有名な海軍戦略家)をしっかりと研究して、シーレーン防衛と制海権の獲得を志向しており、さらにはコーベットを研究し、陸海軍の統合運用も志向しつつあります。
海軍戦略としては合理的と言えます。
陸海軍の統合運用と海軍-空軍(または宇宙軍)の統合運用を中国海軍は目指すのではないかと危惧しています。
コーベットとマハンを研究するべき
上記において、我が国日本の海軍戦略が全く打ち立てられておらず、日中の海軍戦力がどんどん開いているということはご理解いただけたと思います。
これは緊縮財政だけの問題ではなく、海軍戦略の優劣が如実に表出した結果だと認識しております。
では、この圧倒的に不利な状況下を逆転させるためには、どうすればいいのでしょうか。
それには、我が国日本において、卓越した海軍戦略が必要なのではないかと考えます。
海軍戦略と言えば、マハンとコーベットなので、二項対立ではなく、両者の考えを上手にミックスした形式で、我が国日本の海軍戦略を打ち立てるべきなのです。
まず先人の知恵を借りて、巨人の肩に乗り、時代と技術の変化を加味して戦略を立てなければ、日本は海洋領域から中国の侵略を受けること必至です。
時間的余裕さえあれば、私が海軍戦略を構築してもいいのですが、何分難しいので、ちょっと厳しいです。
歯痒い毎日を過ごしております。
以上です。