大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2024年4月30日(令和6年4月30日)
読者の皆様、本当にお久しぶりです。
本日からブログを再開します。
リハビリのような記事になると思いますので、ご容赦いただければ幸いです。
高金利がむしろ景気浮揚に一役買っている?
過去2年にわたる急ピッチの利上げが、実のところ経済を押し上げているとしたらどうか。
引用元:FRB利上げ、むしろ景気の追い風だとしたら-逆張り論理に脚光
つまり、金利上昇にもかかわらず経済が堅調なのではなく、むしろ金利上昇のおかげで経済が好調なのではないかとの見立てだ。
学界や金融界の主流派にとってはあまりに過激であり、以前ならポピュリストであるトルコのエルドアン大統領か、現代貨幣理論(MMT)の熱心な擁護派だけが公の場で口にするような異端の理論だ。
現代貨幣理論の記事が最近は少なくなっており、寂しい限りです。
けれども、本日は久々にMMT(現代貨幣理論)の提唱者の一人である、ウォーレン・モズラーに言及している記事をご紹介します。
記事の内容を簡単に説明します。
政策金利の引き上げが景気抑制的な役割ではなく、景気浮揚的な役割を演じているというのです。
一般的には、政策金利の引き上げは、民間企業や家計にとってお金が借りにくくなる政策です。
したがって、国家経済全体にとっては、貨幣創造が発生しにくくなり、景気を冷やすと考えられています。
上記の記事では、むしろ景気を底支えしているという意見があるとのこと。
アメリカ国債の金利が債券保有者の懐を温めている
米政府の借金は35兆ドル(約5410兆円)と、ほんの10年前から2倍に拡大した。
引用元:FRB利上げ、むしろ景気の追い風だとしたら-逆張り論理に脚光
つまり、政府の借り入れ金利が上昇していることで、毎月500億ドルほどが追加で米国(および外国)の債券投資家の懐に流れ込んでいることを意味する。
この現象によって金利上昇が景気に対して抑制的ではなく刺激的になることは、経済学者ウォーレン・モズラー氏にとっては何年も前から明らかだった。
しかし、MMT提唱者の中心的存在として、モズラー氏の解釈は長らくまっとうな理論ではないとして退けられていた。
中央政府、この場合はアメリカ連邦政府が発行する国債が急拡大し、毎月500億ドルほどが債券保有者へ支払うことになっているのです。
500億ドルというと、為替レートにもよりますが、約7~8兆円が金利収入として民間経済に行き渡ることになります。
これが年間となりますと、大雑把な計算ですが、1年で約80兆円から100兆円となります。
もちろん、すべてがアメリカ国民の手元に入るわけではありません。
なぜならば、アメリカ国債は安全資産として世界的に人気が高く、外国人も多く購入しているからです。
しかしながら、かなり巨額の金利収入が民間経済に投下されていることはほぼ確実といえます。
しかも、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が量的引き締めをしております。
中央銀行が民間金融機関に対して、国債を売っているわけですから、金利収入の源泉を民間金融機関に渡していることと同義なのです。
したがって、政策金利(FFレート)の引き上げが貸出金利上昇に伴う貨幣創造の抑制というデメリットを薄くしています。
金利収入から金利支出を差し引くと
米国の家計は13兆ドル余りの短期利付資産から収入を得ており、利子を支払う必要のある消費者債務5兆ドル(住宅ローンを除く)のほぼ3倍に相当すると指摘する。
引用元:FRB利上げ、むしろ景気の追い風だとしたら-逆張り論理に脚光
現在の金利で計算すると、家計にとっては年間で差し引き4000億ドル程度の利益になると同氏は試算している。
ヘッジファンド運営会社グリーンライト・キャピタル創業者デービッド・アインホーン氏は上記のように資産しております。
いわゆる金利収入から利払い(金利支出)を差し引くと、アメリカの家計は年間で4000億ドル(約60兆円)の儲けとなるとのこと。
政策金利の引き上げで、逆イールドが発生しており、景気後退が噂される中で、消費が強いことが統計(※1)で判明しています。
その結果、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が政策金利の引き下げを躊躇しているほどなのです。
したがって、高金利によってUSドルの価値が相対的に高まり、ドル高という事態にまで発展しています。
なぜならば、USドル以外で資産運用するよりも、USドルで銀行口座やアメリカ国債で運用する方がリスク・リターンが大きいからです。
簡潔に言えば、USドルで運用するとコストパフォーマンスが良いのです。
さて、このアメリカの高金利政策なのですが、わが国日本でも採用するべきなのでしょうか。
私なりに検討してみたこと、思考実験を読者の皆様と情報共有していきたいと思います。
高金利政策のメリットとデメリット
個人的には、政策金利引き上げにはデメリットやメリットが両方存在すると考えます。
政策金利(無担保コールレート)が日本において5%に引き上げられた場合を考えてみましょう。
普通預金金利が5%近くに跳ね上がることで、現金・預金比率が他の先進国よりも高い日本の家計にとっては利益になります。
アメリカと同様に家計にとっての金利収入と金利支出を比較すると、おそらく金利収入が上回るでしょう。
また、現金・預金の魅力が高まるため、比較的安全資産とされている債券が売られ、債券利回りが上昇することで、債券投資家が儲かることもあり得ます。
一方で、住宅ローン金利が跳ね上がることはほぼ確実であり、民間企業が設備投資する際の貸出金利も跳ね上がります。
その結果、GDP(国内総生産)の住宅投資と設備投資が抑制されて、景気を冷やすことにはなるかと。
メリット・デメリットの両方が同時に生じるだろうと思われるので、政策金利(無担保コールレート)の変更には慎重になるべきかなと。
長期的に供給能力が低下するという悲惨な結果になるかも
私個人の意見としては、政策金利(無担保コールレート)の引き上げが景気を後押しすることはあり得ると思います。
その条件としては、日本政府の多額の公共投資及び消費税廃止で需要増大型物価上昇が継続しつつ、さらにそれが高水準で維持されることが挙げられます。
日本人の多数派は株式などのリスク資産を保有しておらず、銀行預金などの形で資産運用しており、それが金利収入となりて、家計を潤すことになるでしょう。
さらに日本政府による設備投資減税や住宅ローン減税などの民間の投資を冷やさないような政策を同時に実行すれば、景気は底支えされます。
しかしながら、これがより良い経済と言えるのかというと、少なくとも長期的には悲惨な結果になるかもしれません。
なぜならば、リスクを取り、設備投資や住宅投資するよりも、銀行預金など民間金融機関にお金を預けるだけでお金が入るからです。
わざわざ不確実性の伴う投資行動が少なくなり、日本経済の供給力が高まりにくくなる要因になります。
金融不安定性に脆弱な経済に
いわゆるアニマル・スピリットの縮小が長期的には日本経済の足を引っ張るようなことになるかもしれません。
さらに言えば、債券投資家や大手ヘッジファンドのような富裕層がリスクを取らず、付加価値を経済に対して提供せずしてお金を着実に増やします。
経済格差が拡大する可能性が高くなります。
一方で日本円で預金というポジションの魅力が高まるので、円高になりやすいし、少なくとも円安是正にはなります。
ベーシックインカムは高額所得者や低額所得者、無職者関係なくお金を配る政策です。
お金がある人間に優先的にお金を配るのが、高金利政策です。
私はこういった格差助長政策は、ちょっと受け入れにくいと思っています。
よほど日本政府の防衛、防災、治安維持、医療、介護、資源安全保障、食糧安全保障に対する公共投資が必要であり、難易度が高い経済運営になります。
高金利政策がお金持ち優遇ということになるので、キャピタルゲイン税を大幅に引き上げることは必須です。
何らかの金融不安が発生したときの打撃は大きいので、金融不安定性に対する何らかの対策も実施しなければなりません。
メリットデメリットが両方あると思いますが、私は高金利政策に賛同できません。
読者の皆様はどのようなご意見ご感想でしょうか。
コメント欄でご教示ください。
以上です。