大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2023年6月10日(令和5年6月10日)
本日は地域振興券に関するリライト記事です。
結論から言えば、地域振興券に関しては中立派になりました。
ベーシックインカムの方が政策的優先度が高いと言えます。
私のブログを初めて閲覧した方々にわかりやすいよう、私が主張するベーシックインカムを簡潔に説明しますと以下のようになります。
増税なし、社会保障削減なし、日本国民1人当たり月額5万円を永続的に支給し、所得税の対象になる給付金政策のことです。
以下、上記のベーシックインカムの定義でお話を進めていきます。
現預金の支給だと死蔵されてしまう問題
本日の記事は、地域振興券について詳細に取り上げます。
そもそも以前から考えていた問題意識から説明します。
ベーシックインカムや社会保障制度のお話が出るときに、お金を家計(個人)に給付すればいいというお話がございます。
ただ、それはあまり好ましくないという意見がございます。
なぜならば、現預金を給付する場合、死蔵されてしまう可能性が高いからです。
政府から家計(個人)に支給されたお金が使われずに貯蓄や借金返済に回る可能性が高いのです。
ベーシックインカムや社会保障でお金を家計(個人)に給付するのは、消費の喚起だけが目的ではございません。
しかしながら、重要な政策目的の一つであるということは間違いないと思います。
であるならば、どうすればいいのかということになります。
私は地域振興券を配布するのが適当であると以前は考えておりました。
地域振興券はどのような性質を持ち、現預金給付よりもどのような利点があるのかを簡単に説明したいと思います。
給付金の使途限定化
地域振興券は、財源の全額を日本政府が肩代わりして、地方自治体が発行する"商品券"という位置付けです。
また、発行元の市区町村内のみで使用でき、釣り銭を出すことが禁止されています。
参考URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E6%8C%AF%E8%88%88%E5%88%B8
言わば、地域限定で使用可能な紙幣であると言えます。
おそらく、通貨法との整合性のため、紙幣ではなく商品券ということになったのではないかと推察します。
地域振興券は地元の市町村でしか使用できないというのは、受け取った家計(個人)からしたら利便性が低いと思います。
けれども、日本経済全体から見れば、好ましいことになります。
海外の株式を購入したり、海外へ送金したり、インターネットで販売されている物やサービスを購入することができません。
したがって、お金が地方経済に落ちやすくなります。
地域振興券のような商品券を配布するときに、理想的なのは、地元の商店街での消費を増やすことです。
実店舗を持つお店でのお買い物が爆発的に増えれば、所得と雇用が増えやすくなります。
さらに付言するならば、つり銭を出すことも禁止されているというのも消費の喚起に役立ちます。
なぜならば、地域振興券の額面は1000円なので、損したくない場合は一回の買い物につき1000以上の金額にする必要があるからです。
1000円を超えた金額に関しては、純粋に消費が増えたということになりますので、消費の喚起という点では好ましいと言えます。
ベーシックインカムや社会保障のように現預金を給付する場合と比べるならば、使途限定ということになります。
したがって、地方経済の振興という政策目的には合致します。
一方で、公共料金や家賃への支払いに充当できるわけではありません。
低所得者層に対する恩恵は薄いのではないかという意見もあります。
価値保存の時間的制約が付与されている
地域振興券は交付開始日から6ヶ月間有効である商品券です。
参考URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E6%8C%AF%E8%88%88%E5%88%B8
したがって、貨幣の機能である「価値保存機能」が限定的にしか担保されていないということになります。
地域振興券は半年後だと紙切れになります。
したがって、地域振興券を受け取る側としては現金を貰った方がいいとお感じになる方もいらっしゃると思います。
もし、国内総生産(GDP)を重視するのであれば、日本経済全体としては、とても好ましいことになります。
なぜならば、給付された地域振興券はほぼ確実に6か月以内に使用されるからです。
デフレ脱却のためには、お金を使ってもらう必要がございますので、デフレ時代に適した”実質的な紙幣”であると言えます。
重ねて申し上げますが、国内総生産を重視するならば、家計(個人)に対する給付において一番好ましくないのは”死蔵”です。
つまりは、支給したお金が貯蓄や借金返済に回ってしまったら、デフレ脱却のためにならないのです。
お金が消費や国内投資に回らないということは、民間企業の売り上げも増えず、民間企業への投資も増えないということです。
民間経済の活性化に貢献するということになりません。
支払い手段が現預金から地域振興券に切り替わるだけという問題
地域振興券の配布に関して、批判がございます。
それは、地域振興券で支給された分のお金が間接的に貯蓄に回ってしまう批判です。
参考URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E6%8C%AF%E8%88%88%E5%88%B8
地域振興券で支給された分のお金が間接的に貯蓄に回るということはどういうことか説明します。
とある個人(仮にAさんとします)の手取り月収が15万円だったとします。
家賃を口座振り込みで5万円を大家さんに支払い、残りの10万円で消費するものとします。
そこに地域振興券が2万円分配布され、6か月以内に使用しなければ損することになります。
Aさんは考えます。
「地元の商店街でコロッケを毎週のように購入するが、その支払いに地域振興券を使用して、浮いたお金を貯金しよう」と。
そして、地域振興券の支払いにより、浮いたお金とは現金なので、それを全額銀行預金として貯金してしまいました。
消費は全く増えず、支払い手段が「現金」から「地域振興券」に代わるだけなのではないかという批判が根強くあるのです。
しかしながら、老後2000万円問題への対策として貯蓄額が増えたという見方もできますよね。
地域振興券配布への批判に反論する
まず、第一の反論として、所得がない人(無職の成人、学生、うつ病など病気で働けない人など)に地域振興券が支給されたら、地域振興券が配布される前は、そんなに消費できない人なので、消費は喚起されるのではないでしょうか。
そもそも日常の消費ができなかった人にも地域振興券を配布することになれば、無から有が生み出されるが如く、消費は喚起されます。
そのような方々は、貯蓄するだけの現金も持ち合わせていないので、損しないように消費に励むことになります。
第二に、支払い手段を「現金」「銀行預金」から「地域振興券」に変更することができない支出もあるため、消費は喚起されるのではないでしょうか。
例えば、Aさんは大家さんに家賃を支払いますが、ほとんどは指定の銀行口座への振込かと思います。
地域振興券を銀行に持ち込み、銀行預金を増やすことはできません。
また、地域振興券が使用できない旅行先などで物やサービスを購入する場合は、地域振興券を使用することはできません。
地域振興券以外での支払いになります。
貯蓄する場合、地域振興券で支払いができない支出をして、その残りの支出額を地域振興券での支払いに変更することになります。
地域振興券での支払いに変更可能な日常の支出よりも多くの地域振興券を配布すれば、必然的に消費は喚起されます。
Aさんは、手取り月収15万円の中で、銀行口座への振込で5万円、インターネットでのお買い物に5万円支払うとします。
また。携帯電話料金や水光熱費の支払い(口座引き落とし)で2万円、住民税支払い(日本円での納付)で1万円、仕事のための交通費(JR東日本に日本円で支払い)として1万円という支出を毎月していたらどうなるでしょうか。
そこに2万円分の地域振興券があれば、確実に2万円は消費することになります。
第三に、地域振興券での支払いに変更できる支出がそれなりの金額があったとしても、それを遥かに超える金額の地域振興券を配布すれば消費は喚起されます。
Aさんが、家賃支払い以外の支出について、5万円程度は地元の商店街でお買い物していたとします。
そこに月8万円程度の地域振興券を配布すれば、3万円分は消費が喚起されます。
極端なことを申し上げれば、できるだけ多くの金額の地域振興券を配布し、できるだけ短い期間のみ使用可能とすれば、消費は喚起されます。
仮に私が100万円ほど、1日で地元の商店街で使用可能であるとして渡されたら、絶対に購入しないであろうと思われる高級布団と高級家具を購入することになるでしょう。
実際どれくらい消費は喚起されたのか
振興券を使った買い物のうち、振興券がなければ購入しなかったと回答した買い物の総額は、振興券使用額の18%程度あった。
引用元:地域振興券の消費喚起効果等について
また、より高価な買い物や多数の買い物、ないし、振興券がきっかけとなって行った買い物によって、支出が増加したとみられる金額は、振興券使用額の14%程度あった。
これらを合計して、振興券によって喚起された消費の純増分は、地域振興券使用額の32%程度であったとみられる。
支給対象者を絞った上で、一人当たり2万円程度という少額ながら、32%程度の消費が喚起されました。
2万円を遥かに超える金額を継続的に配布するのであれば、もっと消費は喚起されると思われます。
以下、犯罪組織罪務省さまからご紹介された動画
結局、地域振興券は再発行されるべきなのか
以上を踏まえて、地域振興券を再度発行されるべきなのかという点について述べたいと思います。
結論、地域振興券に関しては中立派であり、発行してもしなくてもいいのではというスタンスに落ち着きました。
前提条件が変わったらその限りではありません。
しかしながら、ベーシックインカムの制度設計に詳しくなったということもあり、そこまで魅力的に感じてはおりません。
ベーシックインカムでお金を全ての日本国民に配るればいいのであって、地域振興券を再発行する意味は薄いと考えます。
なぜならば、ベーシックインカムと地域振興券を比べた場合、地域振興券の利点は地方経済に使途を限定、比較的短い期間で使用されるという点だけだからです。
地域振興券を再発行して貯蓄が増えたところで、万が一のときのお金になるでしょうし、老後2000万円問題への対策になります。
もし仮に、私が政策担当者になって、どうしても地域振興券を再発行しなければならないとなれば、以下のような制度設計になります。
【1】支給対象は18歳未満の日本国民
【2】支給金額は支給対象者1人当たり、毎年10万円
【3】有効期限は半年間(4月1日支給の9月30日まで有効)
【4】地域振興券の支給金額は所得税の対象外
【5】地域振興券の政策目的は地方経済の活性化と少子化対策
【6】上記の地域振興券はベーシックインカムと併用されることを想定
【7】その他詳細に関しては、以前発行された地域振興券と同様
まずは上記のような制度で地域振興券を再発行して、政策評価を毎年行い、制度を改良するべきでしょう。
以上です。