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反逆する武士

現代貨幣理論

貨幣負債論を理解することは、経済全体を理解することとほぼ同義です

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大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年7月6日(令和元年7月6日)

イングランド銀行の貨幣観

本日は中野剛志氏(以下敬称略)の『富国と強兵』から、貨幣負債論(信用貨幣論)をご紹介し、お金の起源と真実に迫りたいと思います。

今日、貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れ られた特殊な負債である

中野 剛志. 富国と強兵―地政経済学序説 (Kindle の位置No.1080-1081). 東洋経済新報社. Kindle 版.

まず、貨幣の起源を説明するためには、貨幣が存在しないときの物々交換経済を想定して、お話を進めていきたいと思います。

とある農家が小麦を生産していて、とある漁師が秋刀魚を獲っていたとします。
両者の欲しいものが偶然にも一致したら、農家は小麦を漁師に与え、漁師は秋刀魚を農家に与え、等価交換されます。

しかし、現実においては物々交換が同時に行われることは稀です。
とある農家が春キャベツを収穫するのは春だが、漁師が秋刀魚を獲るのは秋というように時期が異なる場合が多いと思われます。

農家が春キャベツを漁師に渡したら、農家は漁師に対する「信用」が生じ、漁師は農家に対する「負債」が生じます。
漁師は、秋に獲った秋刀魚を農家に渡すことで「負債」が解消されます。

上記の例では、二者しか存在せず、交換される物も2品目しかありませんが、現代においては経済において、生産者と消費者は無数に存在し、交換される物やサービスも無数に存在します。

したがって、二者だけでは物々交換における「信用」と「負債」の関係の解消は極めて難しいものになります。

簡潔に言えば、現実には「売り手」と「買い手」があまりにも多種多様過ぎて「信用」を与えることも、「負債」を解消することも難しくなります。

農家が春キャベツを漁師に渡たすことにより、漁師は農家に対する「負債」が生じますが、その「負債」を他者に譲渡することは容易ではありません。
第三者に「春キャベツは不要」と言われてしまったら、それまでなのです。

このような困った事態を打開するためには、とある二者間の「信用」及び「負債」と、別の二者間の「信用」及び「負債」を比較して、負債を明確に計算できる単位を表示すればよいとなります。

例えば、春キャベツは1玉120円、秋刀魚は一匹130円などと表示すれば、どちらがどのような価値があり、その差分はどれくらいなのかが明確になります。

この共通の負債の表示単位のことが今日における「貨幣」なのです。

貨幣とは、円やドルといった共通の計算単位で表示された「負債」のことなのである。

中野 剛志. 富国と強兵―地政経済学序説 (Kindle の位置No.1111-1112). 東洋経済新報社. Kindle 版.

中央銀行のバランスシート上、貨幣とは負債である

日本銀行のバランスシート(貸借対照表)において、負債の部に、現金という項目が存在し、計上されています。

バランスシートにおいても、負債に計上されている以上、現金(正確には日本銀行券)は、負債であり、日本銀行にとっての借用証書であると言えます。

Q 銀行券が日本銀行のバランスシートにおいて負債に計上されているのはなぜですか?

A  日本銀行は銀行券の発行を1885年に開始しました。

当初、日本銀行の発行する銀行券は、銀との交換が保証された兌換銀行券でした。その後、金本位制度の採用を経て、金との交換が保証されました。
こうした制度の下で、日本銀行は、銀行券の保有者からの金や銀への交換依頼にいつでも対応できるよう、銀行券発行高に相当する金や銀を準備として保有しておくことが義務付けられていました。
このような銀行券は、いわば日本銀行が振り出す「債務証書」のようなものだと言えます。このため、日本銀行は、金や銀をバランスシートの資産に計上し、発行した銀行券を負債として計上しました。
その後、金や銀の保有義務は撤廃されましたが、一方で、銀行券の価値の安定については、「日本銀行の保有資産から直接導かれるものではなく、むしろ日本銀行の金融政策の適切な遂行によって確保されるべき」という考え方がとられるようになってきました。

こうした意味で、銀行券は、日本銀行が信認を確保しなければならない「債務証書」のようなものであるという性格に変わりはなく、現在も負債として計上しています。
なお、海外の主な中央銀行においても、こうしたバランスシート上の取り扱いが一般的となっています。

https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/outline/a23.htm/

日本銀行のHP上で、上記のように掲載されている以上、間違いのないことであり、貨幣はその発行元にとっての負債であると言えます。

これは、経済学や会計学に馴染みのない方にとっては、理解しにくいところだと思います。

ホームレスに貨幣を譲渡したらどうなるか

少々、難しい思考実験をしてみたいと思います。
とある日本国民が銀行の普通口座から、現金1万円を引き出しました。

この場合、日本国民のバランスシート上では、資産の部に変動が生じます。
1万円(預金)が1万円(現金)に変わります。

資産の総額は変動しませんが、預金が現金になります。
バランスシートにおいては、誰かの資産は誰かの負債ですから、日本国民の1万円は日本銀行の負債の部に計上されたままです。

そのような状態で、1万円札を握りしめた日本国民はセブンイレブンで「和風ツナマヨネーズ」を購入しようと思いましたが、一人のホームレスと出会いました。

そのホームレスは「お腹が減って、力が出ない」と言い、さめざめと泣き、物乞いをしていました。

その日本国民は義侠心の溢れる男でしたので、その 1万円をホームレスに与えました。

その場合は、バランスシート上ではどうなるでしょうか。
日本国民の資産の部から1万円(現金)が消え、ホームレスの資産の部に1万円(現金)が増えました。

ただ、日本銀行の負債の部に、1万円が計上されているのはそのままなのです。

ホームレスに貨幣を譲渡したらどうなるのかというお話で、結局何を伝えたいのかと申しますと、貨幣を保有しているから、負債を保有しているということではないということです。

貨幣の起源は負債であり、貨幣とは負債という側面がございますが、保有しているそれ自体が、その経済主体にとっての負債ということではないということは認識してほしいと思いました。

貨幣負債論(信用負債論)は誤解する方が多いのが特徴なのです。

以上です。

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