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反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年7月22日(令和元年7月22日)
空き家の定義
そもそも空き家とは何かという点について考えてみたいと思います。どのような条件に合致する住宅が空き家なのでしょうか。
空家等対策の推進に関する特別措置法によると、以下のようになります。
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。
http://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf
ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
民間所有の使用されていない住宅を一般的に空き家と定義しているようです。 どのような条件に合致したら未使用ということになるのでしょうか。
国土交通省の資料(空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針)を読み込むと、以下のようになります。
このような建築物等の使用実態の有無については、法第9条第1項の調査を行う一環として、調査時点での建築物等の状況を基に、建築物等の用途、建築物等への人の出入りの有無、電気・ガス・水道の使用状況及びそれらが使用可能な状態にあるか否か、建築物等及びその敷地の登記記録並びに建築物等の所有者等の住民票の内容、建築物等の適切な管理が行われているか否か、建築物等の所有者等によるその利用実 績についての主張等から客観的に判断することが望ましい。
http://www.mlit.go.jp/common/001080563.pdf
また、「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」と は、建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となると考えられる。
つまり、年間を通じて人が住んでおらず、他の用途にも使用されていない場合は空き家と判断するということです。
例えば、年間を通じて、電気・ガス・水道が使用されていない場合は空き家と判断される可能性が極めて高いでしょう。
この定義は概ね理解できる内容だと思います。確かに様々な判断材料の中から客観的な事実を用いて判断するべきでしょう。
空き家の分類
空き家の中ではどのような分類があるのでしょうか。
総務省の平成30年住宅・土地統計調査の用語の解説より、空き家の分類を確認しましょう。
なお、特別に断りがない場合、本書にて使用される用語は総務省の平成30年住宅・土地統計調査の用語の解説に準拠します。
参考URL:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_yougo.pdf
二次的住宅
別 荘・・・・・週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で,ふだんは人が住んでいない住宅
その他・・・・・ふだん住んでいる住宅とは別に,残業で遅くなったときに寝泊まりするなど,たまに寝泊まりしている人がいる住宅
賃貸用の住宅
新築・中古を問わず,賃貸のために空き家になっている住宅
売却用の住宅
新築・中古を問わず,売却のために空き家になっている住宅
その他の住宅
上記以外の人が住んでいない住宅で,例えば,転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など
※空き家の区分の判断が困難な住宅を含む。
平成30年の調査では空き家総数(約846万戸)であり、分類別で見ると、以下のようになります。
賃貸用の住宅(約431万戸)、売却用の住宅(約29万戸)、二次的住宅(約38万戸)、その他の住宅(約347万戸)
以下、わかりやすく図表でまとめてみました。
普通の日本国民としては「その他の住宅」が空き家と言われて一番ご納得できるものだと思います。
割合としては、賃貸用の住宅とその他の住宅が多いので、空き家を駆逐するためには、その2種類をいかにして減らすのかという観点で空き家問題を考えなければなりません。
なぜ空き家を容認してはいけないのか
まず、一番重要で身近なお話をさせていただければと思います。
経済学的なお話になると思いますが、空き家というのは壮大な住宅投資の無駄と言えます。
一戸建もしくは共同住宅を新築すると、GDP(国内総生産)の支出面における民間住宅投資が増えることになります。
ここで用語の定義をさせていただきます。
一戸建もしくは戸建てと表記する場合は一つの建物が1住宅であるものを指し、いわゆる一軒家のことであると定義します。
また、共同住宅とは一棟の中に二つ以上の住宅があり,廊下・階段などを共用しているものや二つ以上の住宅を重ねて建てたものを指し、いわゆるマンションなどのことであると定義します。
以下、一戸建もしくは戸建て、共同住宅という単語を使用し、説明を継続します。
本題に戻りたいと思います。
経済学的に言えば、住宅建設とは投資なのです。
しかしながら、その住宅が年間を通じて使用されていないということは、投資が活かされていないということであり、住宅投資の無駄に該当します。
常識的に考えて、住宅投資の無駄を許容しては駄目だと思います。
民間企業の設備投資に例えるならば、トヨタ自動車の社長が「プリウス」の生産工場を建設し、生産設備も整えたのに自動車生産ができていないようなものです。
資本主義社会において、許容できるお話ではございません。
住宅投資の無駄は国家的大問題であると認識しなければなりません。
さらに付言すれば、空き家とは壮大な機会損失であると思います。
機会損失は、簡単に言えば、「稼ぎ損ない」や「儲け損ない」のことをいいます。
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/business/bus063.html
これは、実際の取引(売買)によって、発生した損失ではなく、最善の意思決定をしないことによって、より多くの利益を得る機会を逃すことで生じる損失のことを意味します。
例えば、ビジネスにおいては、営業面で「買い需要」があって、売る側に売る意志があるにも関わらず、売る側の原因(問題)により、本来もっと売れたはずのものが売れない場合などに生じます。
この場合、具体的な問題としては、在庫切れや仕入れ不足、需要の読み間違えによる生産計画の失敗などが挙げられます。
例えば、現在我が国日本に存在する約846万戸の空き家がすべて民間賃貸住宅として、住宅市場に供給されており、一戸当たりの平均月額家賃が6万円で、すべての空き家に入居者がいたら、どれほどの家賃収入が得られたのでしょうか。
計算してみますと、一か月当たり、約5076億円もの家賃収入が得られます。
年間通じて、一か月当たり約5076億円の家賃収入があるとするならば、年間家賃収入は約6兆912億円となります。
我が国日本はGDPの1%超の家賃収入を得られるはずだったのに、得られていないのです。
そして、その得られるはずだった家賃収入に対する所得税も得られるはずでした。
もちろん、現実にはここまで大きな機会損失ということにはならないと思いますが、それでも年間1兆円以上の機会損失が発生していることは間違いないと思います。
また、現在我が国日本に存在する約846万戸の空き家がすべて政府もしくは地方自治体によって購入され、相対的貧困世帯に対して、無料で貸し出されていた場合はどうでしょうか。
家計負担で一番大きな割合を占める家賃負担が無くなるので、相対的貧困が大きく緩和されるのではないでしょうか。
少々極端な場合を想定してみましたが、いずれにせよ空き家をそのままにしているというのは、無駄です。
政府や地方自治体のお金の無駄使いは厳しく追及されるのに、民間住宅投資の無駄にはあり得ないほどの寛容さを発揮するのはいかがなものでしょうか。